63話 偽物と本物
俺とミストレイが戦っている間にレーバテインが消えたらしい。
一体どこに消えたんだろう。
「おい!どうするのだオルクス様!」
ミリオンはワナワナと狼狽えながらそう訊いてきた。
「落ち着けミリオン、ここは冷静に冷静にだな……ああ何故なんだぁぁ!」
「オルクス様も落ち着けよ」
これでは何のためにミストレイと戦ったのか意味がなくなってしまうし、そもそも村に残って武闘大会に参加した意味もなくなってしまう。
非常に困るのだが……嗚呼【魔境器】作りたかったのに。
「どうかされました?」
俺が激しき落ち込んでいると、先ほどのおっちゃんが何処からともなく現れて俺にそう訊ねた。
てかほんとに何処から現れたんだろう。
でもこの人なら何か知っているかもしれない、レーバテインの行方を訊いてみよう。
「いやあの、景品のレーバテインが消えてしまっていて」
「ああそれでしたら、私が回収させていただきました」
「あ!そうなんですね」
良かったおっちゃんが持っていたらしい。
何処ぞの盗人に奪われたかと思ったわ。
「はい、それとレーバテインはこのまま私が預かりますので、今日の大会はお開きとなります」
「え?」
いやいや何言ってんだ、たしかにリングはめちゃくちゃになってるけど、まだ大会は継続中のはず。
それに製作者直々に譲ると言っているんだし、剣は俺のもの。
いや待てよ、さっきエルナスの御神体と言ってたな、もしかしてこのおっちゃんエルナスのお偉いさんか……。
「ちょっと待って、君何か変な気配がする、さっきのおじさんではないよね」
「……いやいや私はこの大会の審判ですよ、何を言って」
「ギフトスキル発動、真実の光」
ミストレイがそう言うと、突然ミストレイの右手が光出しおっちゃんを照らした。
「ぐっ、み、ミストレイやめろ」
光を浴びるや否や、おっちゃんの体はボロボロに崩れ始め、中から魔人が出てきた。
えー!魔人だったのか。
気がつかなかった、広域知覚センサーにもはっきりとした反応はなかったぞ。
「やっばりね、やぁ久しぶりだねベルフェス」
「ああ久しぶりだな、ミストレイ」
どうやら中から出てきた魔人とミストレイは知り合いらしい。
「紹介するね、この魔人はベルフェス魔王の側近の魔人だよ」
「へぇ魔王の側近かぁ」
「……魔王か、まぁあながち間違いではないな、だがなミストレイお前の言っている魔王に私は仕えていない、アビリティ発動、瞬間移動」
『シュン』
そう言ってベルフェスは姿を消してしまった。
まずいレーバテインごとやられてしまったぞ、急いで追わないと。
広域知覚センサーで見つかるかな……いた!
ここから東に700メートル先か、これなら追える。
「ミストレイ、俺に任せてくれアビリティ発動、瞬間ーー」
「いやいいよオルクス」
「え?」
そう言ってミストレイは瞬間移動を発動する俺を止めた。
「あのレーバテインは偽物だ、本物はここにある」
ミストレイはそう言って懐からレーバテインを出した。
いやいやどういうことだ。
何でレーバテインが2本もあるんだ?
「偽物?なんで偽物があるんだよ」
「それはね、元々エルナスの国王にあげたものが偽物だったって事だよ」
「いやでもあのレーバテインだって相当レベルが高かったぞ」
「ああ、あれねさすがはオルクスよく見てる、あれは偽造石の応用だよ、レベルを高く見せてるだけさ、本当は40もないよ」
偽物があるのはわかったけど、ならなんでエルナスの国王に偽物をあげたんだ?




