↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱スキルな貧乏貴族の六男の俺、隠しスキル【地脈操作】で成り上がる〜辺境の死の谷を開拓でスローライフをめざすことにしました〜  作者: 森羅万象


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/18

第18話:物質昇華と創星領域の奇跡

迫り来る死の黒い魔力砲。しかし、覚醒を果たしたアルスの視界において、その凄まじい攻撃はまるで止まっているかのように遅く見えていた。


「【創星領域】——第一階層展開」


アルスが静かに右手を開き、前方の空間へと差し出した。


『能力発動:【物質昇華(グラビティ・アライメント)】』


アルスの指先から解き放たれた透明な波動が空間を伝播する。すると、アルスの前に立ちはだかっていた単なる洞窟の土石や砕けた岩屑が、根源的な分子レベルで一瞬にして再構築(錬成)を開始した。


ズズズズズ……ッ!!


一瞬にして立ち昇ったのは、漆黒の光沢を放つ伝説の超金属——『神鋼(オリハルコン)』で形成された巨大な三重の防壁であった。


ドゴォォォォォン……!!!!


汚染岩竜の解き放った絶大な魔力砲がオリハルコンの防壁に激突し、凄まじい爆音と光熱が洞窟内を吹き荒れた。しかし、神の金属で作られた防壁にはかすり傷一つ付かず、不浄のエネルギーは完璧に散乱・打ち消された。


「な……何ぃぃぃっ!?」


黒狼隊の隊長が鉄仮面の奥で目を剥き、絶叫した。


「ば、バカな! 普通の土石を一瞬でオリハルコンへと変換しただと!? そんな芸当、神の領域の術式だぞ……!!」


アルスは冷ややかな、しかし絶対的な威厳に満ちた青蒼色の瞳で敵を見据えた。


「【創星領域】——『星脈浄化陣(アストラル・ピュリファイ)』!」


アルスが天に向けて両手を掲げると、洞窟の天井を突き抜け、はるか上空の天から圧倒的な聖なる光の柱が降り注いだ。


ズドォォォォォォン……!!


その光は洞窟内を満たしていた毒霧と不浄の魔力を一瞬にして消滅させ、光の粒子へと還元していく。光に包まれた汚染岩竜は、おぞましい悲鳴を上げる間もなく体内の汚染物質が根こそぎ浄化され、崩壊すると同時に清らかな古代の純白の石像へと姿を変えて静まり返った。


「ヒッ……! ヒヒィッ……! 化け物……化け物だぁぁぁっ!」


圧倒的な神威を目の当たりにした黒狼隊の兵士たちは戦慄し、腰を抜かして逃げ惑った。隊長もまた、自身の敗北を悟り、煙爆弾を足元に叩きつけるとほうほうの体で暗がりへと逃げ去っていった。


敵が去った洞窟内。アルスはすぐさま倒れているガルドックとレリアのもとへ駆け寄った。


「二人とも……諦めないで! 【物質昇華】——細胞再生!」


アルスの両手から溢れ出た温かい黄金色の光が、二人の傷ついた体を包み込む。折れていた骨が素早く繋がり、傷口がみるみるうちに塞がっていく。


「ん……ぐっ……!? お、俺は……一体……?」


「アルス……? あたたかい……森の悲鳴が……消えた……?」


ゆっくりと目を覚ましたガルドックとレリアが、信じられないといった様子で己の手を見つめた。完璧な治癒。痛みすらも一切残っていない。


「よかった……! 本当によかった……!」


アルスは緊張の糸が切れたようにその場に座り込み、涙を拭った。


洞窟の外へ出ると、そこには奇跡の光景が広がっていた。

【創星領域】の浄化光波は森全体へと伝播し、黒く枯れ果てていた『琥珀の森』の木々が一夜にして青々と蘇り、以前を遥かに凌ぐ豊かな生命の光を放っていたのだ。精霊たちが歓喜の歌を歌いながら、アルスの周囲を輝く光の粒子となって舞い踊る。


「アルス様……! なんという奇跡だ……!」


駆けつけたクラウスが単眼鏡を落としそうになりながら、震える声で感嘆の声を上げた。


「これが……【創星領域(テラ・ドメイン)】。地脈の完全掌握と、物質の根源的変革……。アルス様、あなたは真の意味でこの世界の主となられた」


「ううん、僕はただ……みんなと、この街を守りたかっただけだよ」


アルスは蘇った森の木々に優しく触れ、微かな笑みを浮かべた。しかし、彼の瞳はすでに、北方の空——帝国軍の潜む暗雲の向こう側を見据えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。