悲劇が止まらぬ現実世界にて とある新人刑事(4)
「元々彼女の両親が近所の住民から煙たがられていたから、彼女も同族として扱われていた事に、僕は怒
りを通り越して、呆れていたよ。
彼女は何度も何度も、周りに助けを求めていたんだ。
両親が駄目なら学校の先生に、学校の先生でも駄目なら近所の住民に、それでも駄目なら電話相談窓口
で・・・
学校側は彼女を助けないくせに、いじめやら虐待やらの電話相談窓口のポスターを、職員室前の掲示板
に貼っていた。
彼女がその前で立ち止まっている光景は何度も目にした、電話番号をメモしている姿も見かけた。
ただ、いつまで経っても彼女を助けてくれない現状から、僕は察してしまったんだ。
この世界は、彼女を助ける気なんて
これっぽっちもない
という事を。
給食を全部横取りされても
掃除で使った汚いバケツの水をかけられても
体育倉庫に何時間も閉じ込められても
それを『当たり前』として片付けていた、あの腐った集団は、彼女が亡くなっても、それを『当たり
前』として認知していた。
そして、彼女を突き落としてしまった僕には、何のお咎めもない。・・・いや、正確には、あったのか
もしれない。
暇つぶしに使う『おもちゃ』がいなくなった事で、僕がその『代役』を務めなくちゃいけない流れにな
った。
それは、先生ですら黙認している。もうこれには、僕でも耐えきれなかった。
今までずっとギリギリで耐えていたけど、もうこの世界で息をする事さえ苦痛なんだ。これ以上、この
世界には希望を見出せない。
衝動的とはいえ、僕が彼女を殺めてしまった罪を、咎められた方がまだ楽だったのかも。
僕はたった一人で、この罪悪感を背負わされたまま、この地獄を生きる事ができない。
この心境が、彼女に対する『贖罪』なのかも・・・と、勝手に考え込んでいた事も度々あった。
でも、それなら何故、彼女を追い詰めたクラスメイトや先生達には、何の罪もないのか、そこ
に矛盾を感じてしまった。」
彼のみ『罪』を感じ
周囲が『罪』を認めない
そんな環境が 更に外奈を追い詰めていた




