歩みを進める ギン
「・・・ただ・・・
それよりも先に、ウルシの為に『墓』を立ててあげたいんです。」
「そうだね、貴族や王族へは、私が報告するよ。
ウルシ君は、多くの人々から愛されていたからね。きっと彼らが、ウルシ君の為に立派な墓を手配して
くれる。
あと・・・あの小屋は残しておいてあげよう。主を失っても、あの小屋でウルシ君は懸命に励んでいた
事実に変わりはない。
ウルシ君の生きていた証を、どんなに小さくてもいいから残しておいてあげよう。」
俺は自分の懐からハンカチを取り出すと、川の水を染み込ませ、コンのベタベタした顔を拭いてあげた。
その冷たさに少し震えるコンの体を、俺は静かに抱き寄せた。コンの体は、ありえないくらい冷たくなっていた。
吹き当たる風が徐々に冷たくなり、既に空が黒く染まっている。いよいよ本気で王都まで急がないと、大変な事になりそうだ。
野宿なんてできる気力もない現状、今はすぐにでも王都へと急ごう。そして、冷え切ったコンの体を温めてあげなくては・・・!!
「・・・コン、ごめんよ・・・
こんな頼りない兄ちゃんで・・・」
「今はそんな事呟いている場合じゃない、急げ。」
先程までの動揺が嘘の様に消え、馬車と同じ勢いで荷車は荒れた道を走る。荷車が壊れそうな勢いだったけど、壊れてもこの際構わない。
荷台の上に乗せているコンが心配ではあるが、兵士長が抱えてくれているから大丈夫だろう。




