↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/210

帰路の途中にて ギン

「・・・・・・・・・・


 ・・・・・クソォ!!! クソォ!!!」


荷車の中で眠るコンは、まだウルシの残された足を抱き抱え、弱々しい寝息をたてていた。

救助用の馬車はもう全て出払ってしまったから、村にあった荷車を馬車代わりにして、ゆっくりと王都まで帰る。

その間、兵士長は小さく体を縮めているコンを抱きかかえ、彼女の体が冷えないようにしていた。

俺は荷車を引く馬車を誘導しているのいだが、さっきから動揺が隠せず、上手くできない。

仕方なく俺は、近くにある川辺に荷車を止め、一旦冷静になろうと川を見つめるが、全く落ち着つかない。

その苛立ちを何としてでも晴らそうと、俺は川に映る憂鬱に浮かぶ俺の顔を殴りつける。

でも、どんなにバシャバシャと水面を殴りつけても、俺の歪んだ表情は全く変わらないまま。

もうすぐ夕日が沈み、急がないとモンスターの活動が活発になるのに、俺は王都に帰る気すらも湧かなかった。

もう、モンスターに食われた方がマシだ・・・と思えるくらい、俺の心身も疲れ果てていた。

自分で自分を責め続けた結果、結局俺は何もできないままの自分だったのだ。

俺は結局、全てを妹であるコンに任せっきりで、肝心な時に立ち上がって、共に戦う事すらできなかった。

もし俺があの時、少しでも早く意識を取り戻していれば・・・

もし俺があの時、コンと共闘できていれば・・・

そう思い始めたら、もうキリがなかった。だが、どんなに自分を責めても、ウルシがもう帰って来る事はない。

コンが退治したと思われる、あの巨大スライムの亡骸が完全に無くなるまで、俺はしばらくその場に留まり続けた。

だが、亡骸が地面に溶けた後見つかったものは、何もなかった。

『足以外のパーツ』が見つかるかと思っていたが、服の切れ端すら見つけられず。

・・・これは考えたくないが、『酸化』か、もしくは『熱』か・・・

自分は兄でありながら、弟の最期に向き合う事もせず、その亡骸を見つける事すらできない、最低な兄だ。

やりきれない気持ちと無力感で、頭の中がグシャグシャだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。