帰路の途中にて ギン
「・・・・・・・・・・
・・・・・クソォ!!! クソォ!!!」
荷車の中で眠るコンは、まだウルシの残された足を抱き抱え、弱々しい寝息をたてていた。
救助用の馬車はもう全て出払ってしまったから、村にあった荷車を馬車代わりにして、ゆっくりと王都まで帰る。
その間、兵士長は小さく体を縮めているコンを抱きかかえ、彼女の体が冷えないようにしていた。
俺は荷車を引く馬車を誘導しているのいだが、さっきから動揺が隠せず、上手くできない。
仕方なく俺は、近くにある川辺に荷車を止め、一旦冷静になろうと川を見つめるが、全く落ち着つかない。
その苛立ちを何としてでも晴らそうと、俺は川に映る憂鬱に浮かぶ俺の顔を殴りつける。
でも、どんなにバシャバシャと水面を殴りつけても、俺の歪んだ表情は全く変わらないまま。
もうすぐ夕日が沈み、急がないとモンスターの活動が活発になるのに、俺は王都に帰る気すらも湧かなかった。
もう、モンスターに食われた方がマシだ・・・と思えるくらい、俺の心身も疲れ果てていた。
自分で自分を責め続けた結果、結局俺は何もできないままの自分だったのだ。
俺は結局、全てを妹であるコンに任せっきりで、肝心な時に立ち上がって、共に戦う事すらできなかった。
もし俺があの時、少しでも早く意識を取り戻していれば・・・
もし俺があの時、コンと共闘できていれば・・・
そう思い始めたら、もうキリがなかった。だが、どんなに自分を責めても、ウルシがもう帰って来る事はない。
コンが退治したと思われる、あの巨大スライムの亡骸が完全に無くなるまで、俺はしばらくその場に留まり続けた。
だが、亡骸が地面に溶けた後見つかったものは、何もなかった。
『足以外のパーツ』が見つかるかと思っていたが、服の切れ端すら見つけられず。
・・・これは考えたくないが、『酸化』か、もしくは『熱』か・・・
自分は兄でありながら、弟の最期に向き合う事もせず、その亡骸を見つける事すらできない、最低な兄だ。
やりきれない気持ちと無力感で、頭の中がグシャグシャだった。




