第十三章 救出完了
住民の救出に終わりが見え始めた頃
コンは 『とある人物』に名前を呼ばれ・・・
私が〈キュウビ〉を振りかざしながら〈ノリト〉を唱えると、刀部分が水色に光り始め、周囲の空気を飲み込んでいく。
地面に散らばっていた落ち葉や枝が私の周りをグルグルと周り、私の長い髪がトグロを巻く。そして指先が、だんだんと冷たくなってくる。
光が徐々に大きくなるにつれて、冷気が全身をじわじわと覆っていく。ウルシ君は近くに木に掴まりながら、私を見守ってくれている。
周りで様子を伺っていた兵士達は、その場で固まってしまう。
口をパクパクさせている兵士もいれば、目を輝かせながら見てくれている兵士もいる。
事情を知らない兵士達が近づいて来たらどうしようかと思ったけど、どうやらその心配は必要ないみたいだ。
・・・もしかして、兄やバカラさんが、予め『根回し』していたのかもしれない。
そして、周囲一帯が水色の光で覆われ、私自身も眩しくて目が開けられない状態になったと同時に、〈キュウビ〉を地面に突き刺した。
すると、〈キュウビ〉が差し込まれた地面から、バキバキと『氷の根』が伸びる。
そのまま氷の根は猛スピードで家を覆ったかと思ったら、壁に張り付いていたスライムもどきは、一瞬にして氷の塊になってしまう。
冷気は周囲に流れ込み、家の近くに生えている木々の枝先には、霜が降りている。
霜は地面にも降り注ぎ、一瞬にして一体が『白い森(霜の森)』と化してしまった。
スライムもどきを一網打尽にはできたけど、これは・・・・・あんまり下手に使えなくなってしまったな。
私は恐る恐る、凍ったスライムもどきを指でほんのちょっと突いてみたら、一瞬にして砕け散ってしまった。
元々そんなに強くなかったせいか、他のスライムもどきも、落ちてきた枝がぶつかっただけでも崩れ去ってしまう。
完全に成敗できた事が確認できた兵士達は、急いで家の戸を開けようと、鞘に入ったままの剣を戸の隙間にねじ込み、強引に開けようとしている。
どうやら内側からしっかり施錠がされているらしく、ようやく戸が開いても、今度は家具の塊が家の入り口を抑えていた。
「コンさん、どうしましょう・・・?」
「うーん・・・
強引に家具を退ける手もあるけど、それだと時間が・・・」




