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沼地の村にて 教官は赴く

『亡骸箱詰め事件』から数日が過ぎた頃

とある教官が 異例の『現地調査』へと赴いたのであった

「・・・なぁ・・・本当に此処なのか?」


「えぇ、間違いありません・・・

 村の住民が何人か聞いているのです。」


そう言いながら、年老いた村長は体を震わせていた。村長の息子も、さっきからずっと辺りキョロキョロと見回している。

気は進まないが、課せられた仕事はこなさないと、後々怖い。特に兵士長、普段は温厚なのだが、『怠惰』には人一倍厳しい。


俺と兵士長は、10歳以上も年齢の差がある。俺はもう、もうすぐ五十を迎える、老ぼれ直前の、兵士歴約三十年の『教官』

今回は、調査の依頼があった村が、俺の生まれ故郷であった事から、久しぶりに『現地調査』へと赴いている所存。

『現地調査』はだいぶ久しぶりだ、訓練兵の遠征訓練に何度も赴いてはいるが、調査となればまた仕事の難易度は上がる。

それこそ、調査の報告書をしっかりまとめないと、まともな報酬が手に入らない。

難易度が高い分、給料もそこそこ加算されるが、プレッシャーが重い仕事でもある。いや、『教官』だって責任は必要だが、責任感にも違いがある。

『兵士』と一口で言っても、部署によっては仕事の内容が全く異なる。

だから、急に他の部署から仕事を依頼されると、受けた側の人間からすると、ちょっと迷惑。だが、今回ばっかりは仕方ない理由がある。

・・・というのも、この前女王陛下から頂いた『腰痛に効く塗り薬』を、お袋に届ける目的もあった。

お袋はもう七十を超えているが、しっかり歩けるし、俺の事も忘れていない。

だが、さすがに体の劣化には敵わず、最近は腰を痛めて、ベッドから出る事が難しくなっていた。

俺のお袋は、若い頃城で、陛下の『指導者』だったのだ。

お袋は若い頃から様々な学術的な賞を受け取る程の秀才で、陛下が結婚した事をきっかけに、『指導者』を退いて、この田舎での隠居生活を始めた。

・・・だが、お袋はこの田舎に帰って来てからも、使われていない空き家を自ら改造して、周りにある村や町からも子供達を集め、学習塾の先生として活躍していた。

だからこの村のみならず、周囲の村や町に住む人間なら、お袋を知っている。

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