第五章 コンはタフであった
その似顔絵は自分が大切に持っていたかったけど、里に送る手紙に同封してもらう事にした。
きっと、里に住んでいる両親達が喜んでくれると思ったから。
・・・ただ、今回の件は手紙に書かず、『陛下に書いてもらいました』とだけ書いておこう。
よよく考えたら、王都での事件を里に伝えても、きっと里の住民は、絶対信じないと思う。私だって、まだちょっと信じられないから。
王都は里よりも人口が多いから、事件が多発している事には納得できる・・・けど、その事件の規模や内容が、想像の二倍か三倍はぶっ飛んでいる。
・・・それに、その事件に頭を抱えているのは、決して私だけではない。皆が頭を抱え、あちこちで思い悩んでいる。
だからこそ、私の状況は決しておかしくはなく、至って普通の状況である事が、目に見えて分かるだけでも救われた。
「コン、もう立てるのか?」
「大丈夫だよ、アン。
・・・うわわわっ!!!」
「おいおいおい!!!
歩けるのは分かったから、落ち着いてゆっくりな・・・」
最近全然歩いていなかった反動なのか、立ち上がって歩こうした瞬間、頭がグワンっとなった。それに、足に力がなかなか入らない。前は城の中を縦横無尽に歩き回っていた筈なのに、あの感覚自体が薄くなっている気がする。
倒れそうな私の体を支えてくれた兄の手を借りながら、私は部屋にあるテーブルへゆっくりと足を動かす。
まるで介護みたいだけど、まず先に歩き方を元に戻さないとな。
前世でも骨折なんてしなかったけど、ショックで足が動かなくなるって、私の体は相当苦しんでいたんだな・・・




