第五章 コンはタフであった
あれだけの事件に巻き込まれながら
コンが回復に要する時間と労力は それほどかかっていない
それは何故か それは彼女の周囲を見れば 一目瞭然である
「コンー、ご飯持って来たぞー」
「アン、ありがとう!」
「ほら、ギンも食べなさい。看病もいいが、自分の身も考えないと、またコンに怒られるぞ。」
「殿下・・・いつも俺がコンに怒られているみたいな言い方は・・・」
「実際そうじゃん、お兄ちゃん。」
あれだけの体調不良、治癒にどれくらい時間がかかるか分からず、ちょっと不安ではあった。
けれど、体調も精神も、たった一週間で全快してしまった。
・・・寝不足だったのかな・・・?
それとも・・・疲れすぎとか??
私自身、そんな事は全然無いと思っていたんだけど・・・
でも良かった、下手に薬を使わず、自力で治癒できたんだから。若いからかもしれないけど、人獣って、治癒力が人間よりも高いのかな?
・・・いや、それも確かに絡んでいるのかもしれないけど、皆が献身的に看病してくれたからこそ、こんなに早く全快できたのだ。
ヴァルは前に話していた、『神々の国の首都』の本以外にも、面白い本をいくつか持って来てくれた。
この世界の文字はもう、ヴァルの熱心な教育の甲斐あって、今ではもうスラスラ読めている。
ヴァルが横から解説を加えてくれたから、普通に一人で黙読するより、内容がすぐ覚えられた。
・・・ただ、私とヴァルが話し込んでいる最中、兄は看病の疲れもあったのか、椅子の上でコクコクと頭を揺らしながらうたた寝をしていた。
そんなに疲れているのかな・・・と思ったけど、元々兄はそれほど本が好きではなかったから、きっと・・・読書中の静寂な時間帯が、睡魔を誘っただけかな・・・
お見舞いに来てくれたのはヴァルだけではない、陛下も自ら私の部屋まで足を運び、私の『似顔絵』を描いてくれた。
相変わらずの手捌きと出来栄えに、思わず私も兄も、言葉を失ってしまった。
褒めたいけど、素晴らしすぎて何処をどう褒めればいいのか分からなかったから。ちょっとした陛下のアレンジが加わっている箇所もあれば、忠実に書き写した場所もある。だが、どちらも目立ちすぎず、絶妙なバランスでリアル感があった。
こうゆう風に、絵を自分なりにアレンジしながら描ける人って、脳が一体どうなっているのか知りたくなる。




