第一章 新たな新人さん
「そういえば、コンさんは山奥の方から来たんですよね?
じゃあ、此処よりも沢山自然が溢れていたんじゃないんですか?」
「そうね、毎日毎日見ていた風景だから、新鮮味はもう感じられないけど。確かにこの庭より、多くの植物
に恵まれていたよ。
・・・有毒も含まれていたけどね、はははっ。」
「それが『自然』ですよ。」
新人庭師さんめ、上手い事を言いおる・・・
確かに山には多くの植物が共存している。その中には、『毒』のある植物が含まれていないわけがない。
山に住む植物は、山それぞれの生き方を見せてくれる。決して誰かに植えられたわけでもなければ、好んで山に住み着いたわけでもない。
たまたま、あの山に根を張った、ただそれだけ。だからこそ、山に生える植物は、中庭の植物とは違った美しさがあるのかもしれない。
それは、里に生きる私達からすれば、この上ない『恩恵』であった。
中庭の植物は、『観賞用』としての役割を果たしているけど、山に現存する植物は、里で生きる者にとって、『生活の基盤』である。
『毒』がある植物も、使い方によっては『薬』になるし、食べられる植物は『食用』に、物を作る時には『材料』にしていた。
野草を食べていた・・・なんて、此処では大声で言えないけど、しっかり手順を踏めば、別に苦くもないしクセもない。
中庭で取れた雑草の中には、かつては食べていた草もいくつか混じっていた。
ただ、その場でムシャムシャ食べる事はできないから、捨てるしかないのがちょっと残念だ。




