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北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
冒険者ギルド
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俺と桜花①

「『秘薬草』採取10セット、『獣の牙』に受注依頼を出しました!」

「『ホムンクルスの核』5セット、『人工培養液』5セット、『オーク紳士団』が受注しました!」

「『地砕竜の殻』、在庫を作る様にとの指示です!」

「ちょっと、『治癒の薬』が納品されたけど、数が少ないわよ!」

「すみませーん、『癒しの木の枝』が足りませーん!」



 冒険者ギルド『北極星』の裏方。ギルド運営スタッフはとにかく忙しい。

 伝票片手に走り回り、決まらない仕事を受けてもらう為にどこかのクランへ頭を下げ、納品が遅いと生産部門の尻に蹴りを入れる。

 予定はある程度立てているし、そのための計画は事前に決められたとおりに進めようとしている。


 だが、どうしてもトラブルの種は尽きない。

 体調不良で急遽パーティに穴の開いたクランに人を入れ。

 天候の問題か途中で失敗でも重ねたのか、薬は既定の数を用意できず。

 戻ってきた冒険者が予定通りの戦果を得られない事もしばしばある。


 計画とは、机上の空論と言い換えられるあやふやなものだ。

 それを確かなものにするべく、ギルド職員は必死に走り回っているわけだ。





 そうやって俺の手を完全に離れてしまった感のある『北極星』だが、それでも俺、レッド=スミスがギルドマスターである。


 他の誰かよりも強いわけじゃない。

 他の誰かの様にカリスマがあるわけじゃない。

 智謀やその他、他の誰かより優れていると自信を持って言えるモノなんて持ち合わせていない。


 強いて言うなら、ジョブ解放ができるだけの凡人である。

 そのジョブ解放だって絶対に俺じゃないと駄目だという話でもない。グランフィストと近場の日本人はいがみ合っているが、他所の土地から人を引っ張ってくればそれだけで特別とは言えなくなる。


 まぁ、変にプレッシャーのかかる地位にいなくていいのは助かるので、お飾りギルマスで全く問題ないのだが。



 そんな俺の所に、初期メンバーである桜花がやってきた。


「マスター、次のジョブの事で相談があります」


 桜花は『魔術士』の『ホムンクルス』だ。

 先日レベルアップして、『魔術士』が『火術士』にジョブチェンジした。俺も『竜召喚士』にレベルアップしている。


 そうなると、次は桜花の『ホムンクルス』がジョブチェンジする予定になるわけだ。

 桜花の相談事とは、『ホムンクルス』の両極端なジョブチェンジでどうするべきかという話と思われる。


 基本、なりたい自分を目指すようにと言ってあるが、特にこだわりが無ければ仲間の意見を聞いてバランスを取るのが正解だからな。桜花は俺に遠慮するところがあるし、これまでホムンクルスのジョブチェンジについて何も言ってこなかったので、どうすればいいか迷うところがあるのだろう。



「立ち話するような事でもないか。部屋に行かないか?」

「はい、マスター」


 こういった事はみんなで相談する方がいい。

 俺はパーティメンバーに招集をかけると、桜花を連れて自分の部屋に向かった。

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