俺と桜花②
部屋には所用で出かけていたキュロス以外が集まってくれた。
「ま、俺らにも関係のある話だからな」
「一応来ましたけど、お役に立てるかどうかは……」
ゴラオンは衛兵としての訓練からこの手の話し合いの重要性を分かっているが、ミレニアは分かっていなさそうだ。単純に、経験値不足なだけかもしれないが。
何事も経験なので、自分の時に困らないように学んでほしいものだ。
「じゃあ、『ホムンクルス』のジョブチェンジ先について説明するね」
何をするにしても、『ホムンクルス』とそのジョブチェンジ先の特性について知らなければ考える事も出来ない。
話はまず、そこからだ。
ホムンクルスは魔法戦特化型の魔法生物である。
そして、自前でMPを回復できないという大きなデメリットを抱え込んでいる。
それを回避するためにスキル『魔術士』ジョブの≪魔力回復≫というスキルがあるが、これでは全然足りないのが現状である。俺が毎日MPを供給しているのはそういう事だ。
ついでに、ホムンクルスは魔法生物の為、食事が「できない」。よって食事を利用したMP回復もできない訳だ。
ここまでがホムンクルスの基本情報になる。
ジョブチェンジ先は2パターンに分けられる。
まず、ホムンクルスの特性をより強くした『ホムンクルス・プラーネ』。
プラーネの方だと、MPをより多く消費して魔法の威力を底上げすることができるようになる。メリットデメリットはそのまんまだな。
もう一つの『ホムンクルス・レンディア』はホムンクルスを人間に近づけた様な能力になる。汎用性を高くするって言えば分かりやすいか?
具体的には、自前でMP回復できるようになるだけなんだが。他に何が出来るようになるって話でもないし、何かデメリットがあるって話でもない。この段階では本当にそれだけだな。
そうそう。付け加えると、レンディア側のジョブチェンジではその次のジョブチェンジで体が大きくなる。
プラーネの場合は据え置きだな。ずっと小さいままである。
体が大きくなる事も汎用性の一環ってわけだ。
俺が一通り説明し終えると、ゴラオンとミレニアは思考タイムに入った。
桜花は自分の中で考えがまとまっていないからこそ俺を頼ってきたので、考える事を放棄するわけではないが、この場ではみんなの意見待ちだ。
そして俺はというと。
「汎用性の高いレンディアの方が助かるな。MP的に」
火力は火術士で足りているので、わざわざプラーネのスキルで強化したいと思っていない。むしろマイナス要因のMP供給を無くす方が今後の探索に役立つと思っている。
なので、あっさりそうやって自分の意見を口にしてみたのだが。
「やっぱり、そう、ですよね……」
なぜか桜花はとても落ち込み、哀しそうな顔をした。




