神様との雑談(2回目)
当面の目標は、安全の確保。
これは自分だけじゃなくて周囲も含む。
それを達成するのに手っ取り早い方法がグランフィストを出ていく事。
ちょうど大地の都のダンジョンに挑もうと思っていたから、しばらくは向こうで生活すればいいよな。
で、長期目標としては東方の中央政府への仕返し。
これは気長にやるしかないし、ヤマト村の交易部隊が特産品であるジョブ解放を大量販売しているので、まぁ何とかなるだろう。
問題はレベル上げに有効なダンジョンをあちらが抑えている事だけど、グランフィストまできてレベル上げをしてくれれば色々と都合が良いので芙蓉姫経由で誘うだけ誘っておこう。
あと、芙蓉姫には東方の今ある特産品や技術を大量流出させることもお願いしておこう。
対価として西国の外地を進呈といったところか。交易の中継地点を一つ確保させて、中央を無視した取引をできる形を整えておきたい。
技術流出はお馬鹿な行為に見えるだろうけど、短期的には大きく稼げるし、長期的にはこちらの技術を受け入れる土壌を作ってくれるのでやっぱり利益があるんだよ。
今は日本人勢力による技術チートが始まりだした時期なので、既存の技術にしがみつくとカビの生えた伝統と一緒に消えてなくなる可能性があるんだよね。
時代の変化、その節目を見逃してはいけないのだ。
「とまぁ、そんな事を考えてここに来たわけだ」
「なるほどね。外は大変だ」
大地の都のダンジョンは、後半は地下帝国攻略と言う謎の展開になったが約1月であっさりと攻略できた。
4層から5層に進むためには地面を掘らなきゃいけなかったし地下で灯りを持ち込まねばならない環境だったので苦労したが、それが出来る仲間を現地で採用したので短期間で攻略できたのだ。
戦闘方面では5層の難易度はどこも変わらなかったので、ギミックが面倒くさいというだけの話である。
んで、神様とこうやって話をしているけど。
報酬は、無し。
お喋りそのものが報酬って事になるようだ。俺みたいな無神論者はともかく教会勤務の聖職者には確かに報酬だろう。前回だって神様と話をしたって事のおかげで聖人扱いされつつあったから間違いない。
名声は名声で使い道がある。
どうせだから後で暗殺(未遂を)されるとするかね。東方から送られた暗殺者に俺が暗殺されたと大々的に宣伝すればきっと面白い事になる。
神様には、バランが聞いた“世界の終わり”について聞いてみた。
何の目的でこの世界を運営しているかは知らないけど、スパコン相当の貴重なマシンを使ってこの世界を運営しているとしたら、他の目的の為にこの世界を終わらせるかもしれないと思ったからだ。
まぁ、世界がいきなり終わるとか言うのは神様ですらわからないと返されてしまったがね。なんでこの世界を運営しているのかも知らないようだ。
この神様は今いる世界における管理者ではあるが、更にその外の住人ではないらしい。
「神様がパソコンやスマホのOSで君たちの世界がゲーム用のアプリみたいな関係って言ったら理解できるかな? 僕はあくまでシステムであり、世界を管理はするけど起動と終了はユーザーがするものなのさ」
中間管理職、おつ。
パソコンやスマホって定期的に買い替えるよね。
あの襲撃についても、神様の上による外部からのパッチのような物だったので、全貌を把握している訳でもないという。
付け加えるなら、俺たちの世界の全てを「知る事ができる」し「干渉も可能」だけど「常に全体を見ている訳にも行かない」うえに「システム的な制限も存在する」という。
この神様は限定的な全知とでも言えばいいのか? 超越者ではあるが全能でないのは確かだけど。
アカシックレコード的なアーカイブがあるので過去の情報は引き出せるみたいだけど、全知の場合は未来まで把握しておくモノだっけ?
まぁ、いいや。
もしかしたら前回や今回の問答で神様が嘘をついて楽しんでいる可能性もあるけど、だとしたら俺にはどうしようもない話だ。
力の差がありすぎるので大人しくしておこう。




