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北極星の竜召喚士  作者: 猫の人
北極星の竜召喚士
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狂気の軍⑦

 俺たちが苦戦しようが、それ自体は問題ない話として扱われる。

 俺たちが全滅するという想定をしているのだ。領主側としては。


 そしてそれが問題ないと、そう思われているという事でもある。



 領主側にしてみれば、俺たちが全滅しても構わないのだ。自分たちが無事であれば。


 俺たちは、俺は3年ぐらいで今のレベルにたどり着いている。

 言葉を反せば、3年あれば(・・・・・)素人がダンジョン攻略可能なところまでたどり着けるという証明になっている。

 一般的な兵士の訓練期間も3年ぐらいだし、一部兵士を冒険者として運用すれば当面のダンジョン資源の確保も大きな問題にならない。


 それに、全滅したとしても生き返らせればいいのだ。時間はかかるが、昔と比べれば死者蘇生の魔法が使える奴が増えている。不可能ではない。

 だから俺たちの全滅は痛手であってリカバリー不可能な致命的な被害ではない。

 この場を乗り切る事さえできれば何とでもなるのだ。領主の認識では。





 だからと言って、簡単に命を諦める気は無い。

 戦士たちの上司って奴は部下に死んでくれと頼むこともあるのだろうが、俺はそんなことを言いたくない。全員で生き残る道を探すのが、最後まで諦めないのが仕事だと思っている。

 職業倫理で言えば俺だけは、絶対に諦めちゃいけないのだ。


「壁まで移動! 四方を囲ませるな! 非戦闘区域を作るぞ!」


 ついでに、俺は死ぬ気など無い。

 いざとなれば俺だけは死なないように振る舞うつもりでいる。

 職業倫理はどこに行った? どこかに行ったのである。とうの昔に。


 ただ、まぁ。

 まだ諦めないで良さそうな状況なら、諦めないというだけで。

 ここで足掻いているわけだけど。


 今はまだ絶望するほど酷い状況ではない。

 ダンジョン5層で鍛えられたメンバーが8パーティ、約50人もいるので連戦には慣れっこなのだ。

 まだ大丈夫と、そう思っている。





 俺は皆を守る楯として戦いつつも、戦場をずっと探っている。確保した王都の兵士たちに意識を向け続けている。

 推測だけど、こいつらの中に敵が復活し続けるタネ(・・)がある。モンスターの無限湧きなど、ゲーム的思考で言えば何らかのギミックを攻略すれば終わるようにできているのだ。

 それを俺は探さなければならない。


 問答無用で全員殺させようとも思ったが、それで終わる確証が無いため、今のところはそれを実行していない。

 いざってなったら()るけどね?

 それで解決すると思った時もやるけど。


 ≪魔力掌握≫で捕虜のMP、魔力の動きを観察している。

 ほとんどの奴は何の変化もなし。つまり無実である。


 が、数十人から100と少しを調べていた所に、とうとう怪しい女を見つける。


 かなり強い魔属性の魔力を纏った、背の高い、若い女。

 高レベルの魔属性魔術師なのだろう。王都の兵士でないのは明白だ。

 ついでに、何かしらの魔法を使っているようにも感じる。


 ギルティ(有罪)


 俺はその女を拘束していた兵士に目配せし、その細首を断ち切るように命じた。

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