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最弱国の魔素無し第四王子戦記(無限の魔素と知略で最強部隊を率いて新王国樹立へ)  作者: たぬころまんじゅう
第五章

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突破

 ロスティスは現場に到着後、消火作業を指揮し、行方がわからない部隊長たちを探して指示を出すことに時間を取られてしまう。煙と炎が視界を塞ぎ、騎兵の馬がいななきながら作業を進める中、ロスティスは苛立ちを抑えきれなかった。


「早く消せ! 糧食が失われれば、軍は持たんぞ!」


 だが、火の勢いは強く、第二師団の混乱は収まらない。その頃、ステファンは後方防衛陣で孤軍奮闘を続けていた。聖盾隊の重装兵を前面に押し出し、アジル隊の猛攻を何とか食い止めていた。盾の壁が衝突し、剣の閃光が飛び交う中、ステファンは自ら剣を振るい、部下を鼓舞する。


「怯むな!教皇の名の下に、敵を押し返せ!」


 アジルの斬撃波が盾を砕き、数名の兵が吹き飛ぶが、ステファンは即座に補充を命じて陣形を維持。戦いは緊迫感に満ち、互いの息遣いが聞こえるほどの近距離で、金属の絶叫と血の臭いが渦巻いていた。


 ステファン自身は武技に優れている自覚はあったが、アジルと剣を交わし打ち倒すのは困難と判断し、早々に守りに徹することに切り替えた。一旦そうと決めたステファンの守りは硬く、アジルの攻撃を何度も紙一重で躱し、受け流す。だが、アジルも化け物めいた力で押し返し、衝撃波を連発。盾兵の列が少しずつ薄くなり、ステファンの額に汗が滲む。


 状況が一変したのは、北からフランツの3000が戻ってきた時だ。補給庫の炎を背に、血に塗れた剣を携えて、フランツ隊はステファンの防衛陣を挟み撃ちにする形勢で襲い掛かる。西からはアジル隊が、北からはフランツ隊が――二方向からの猛攻に、ステファンの陣は軋みを上げる。


 アジルは足枷が外れたかのように、思い切り攻勢に出た。オーラを爆発的に高め、剣を振り抜く。


「今だ、押し込め!奴らを粉砕しろ!」


 アジル隊の歩兵たちが吼え、槍を揃えて突進。ステファンの盾壁に巨大な亀裂が入る。ステファンは必死に陣形を立て直すが、フランツの登場が決定的だった。フランツは自ら先頭に立ち、剣を一閃。斬撃波が北側から盾兵を斬り飛ばし、ステファン隊の防御を一気に崩す。


「おおおおおおおおおお!!」


 フランツの声が響き、アジルと挟み撃ちの連携が完璧に決まる。犠牲になった盾兵から叫び声と、金属の響く乾いた音が戦場に響き渡った。ステファンはアジルと剣を交えながら、北側のフランツの脅威に気を取られる。その一瞬の隙を、アジルは見逃さなかった。剣先のオーラを集束、刃先に蓄えた高密度の魔素の粒子を一気に放出。斬撃波がステファンの脇腹を掠め、深い傷を刻んだ。血が噴き出し、ステファンは膝をつきながら剣を構える。


「ぐっ・・・・・・こんなところで、終われるかああっ!」


 アジルの追撃を何とか凌ぐが、傷の痛みが動きを鈍らせる。ステファンの部下たちは上官の負傷に動揺し、盾壁がさらに乱れる。



「隊長を護れ!盾を厚くして馬を寄せろ!」


 部隊長の叫び声が夜の戦場に響き渡った。聖盾隊の残存兵たちが即座に動き、ステファンの周囲を盾で囲む。重装の盾兵たちは体を張って壁を形成し、馬を操る兵が急ぎ足で近づく。ステファンは脇腹から血を流しながら、剣を構えて立ち上がろうとするが、傷の痛みが体を震わせる。


「やめろ、俺はまだ戦える!」


 教皇軍の誇りを懸けた騎士の意地が、そこにあった。部隊長はステファンの肩を強く掴み、無理矢理馬の鞍に押し上げる。


「あなたが良くても我々が困ります!あなたの代わりはいないのです。あとは我々が身を挺して守ります!」


 ステファンを失えば隊全体の士気が崩れることは、目に見えて明らかだった。ステファンは馬上で抵抗するが、部下たちの手が彼を固定する。部隊長は馬を操る兵に鋭く命じた。


「行けっ、早く行くんだ!」


 馬が鞭打たれ、激しくいななきながら北東へ駆け出す。ステファンは悔しげに歯を食いしばり、顔を歪める。血の味が口に広がり、視界がぐらりと揺れ暗くなっていった。


「くそっ・・・・・・奴らを、止めろ・・・・・・」


 馬の背で呟きながら、彼は連れ去られる。部隊長はそれを背中で見送り、剣を抜いて前線に戻る。


「隊長は無事だ!あとは俺たちがここを守ればいい!」


 その直後、盾兵で固めた隊列が崩れ始めた。アジルを食い止めていたステファンが負傷して去り、内側から押し留めていた重石が無くなったことで、フランツとアジルの連携攻撃が、ついに防衛ラインに致命的な亀裂を入れたのだ。アジルの斬撃波が盾の隙間を抉り、フランツの衝撃波が北側から壁を崩す。ファニキア軍の歩兵が雪崩れ込むように突破し、槍の穂先を揃えて突き進む。金属の衝突音と悲鳴が混じり、血の臭いが濃くなる。部隊長が声を懸命に張り上げた。


いつも拙書を読んで頂きありがとうございます。


☆、ブックマークして頂けたら喜びます。


今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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