表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
341/447

341


 そこは通学路にも指定されている少し道幅の広い十字路だ。

 十字路にはコンビニやファミレスの駐車場があって、空間はそれなりに取れる。

 入り組んだ『住宅街』の道なので、周囲に高い建物がなく、ヒーロー側戦闘員たちはNPCが戦闘領域から外され無人になった車両などを盾に戦闘員たちが散開していた。

 『ヴィーナスシップ』はまとまって動く方が華があるはずだが、俺たち『りばりば』に散々やられた教訓があるからか、自分たちのトラックに留まる愚は犯さず、包囲陣形を保ちながら移動攻撃を行っている。

 この道は物流上、重要な道路でもあるらしく、トラックなどが多い。

 ある意味、ヒーロー側戦闘員が車で増援を派遣しにくい地形でもある。


 今、我らが怪人『セイレーンプリンター』と敵ヒーロー『ピーチフラワー』、『フレイムキグナス』はファミレス駐車場を中心に戦っている。


 上空から戦況を確認しながら飛ぶ。


「なっ!?」「肩パッドだ!」「撃ち落とせ!」


 相変わらず、俺へのヘイトは天井知らずだ。

 一瞬でも『セイレーンプリンター』へのヘイトが逸れるなら利用しない手はない。


 俺は少し考えて、やはり上を取った方が有利ということで、ファミレス屋上に復活石をばらまく。


「イーッ!」「イーッ!」「イーッ!」


 と有志の戦闘員たちが次々とポータルで跳んで来る。


 俺は敵のヘイトを稼ぐように上空旋回して、時折【炎の鷹(ファイアーホーク)】と【氷の梟(アイスオウル)】で敵戦闘員に牽制を入れる。


「肩パッドめ!」「アイツを残すとろくなことにならないわ!」「ヒーローに近づけるな!」


 俺、嫌われすぎじゃないか?


 分かっていても、この対応はヘコむ。

 特に『ヴィーナスシップ』のアイドル候補生たちの汚物を見るような目は、結婚すらしていないのに、「お父さんのパンツと一緒に洗濯しないで!」的ダメージを俺に与えてくる。

 悔しいので、『ビームチャクラム』を【エレキトリック・ラビット】の落雷で撃ち落としてやる。


 本来なら、投げて落ちてから自動的に手元に戻ってくる『ビームチャクラム』が、

回路を壊されて落ちていく。

 これなら自動的に戻らないだろう。


 俺は上空で高笑いをする。半ば悲しい自分を慰めるためのポーズだ。

 どうせ嫌われているなら、これくらいやらないと割に合わない。


「ゐーゐっゐっゐっ!」


「きもいんだけど……」「くそ! 笑ってんじゃねえ!」「いやらしい……」


 いや、別にいやらしくはないだろう。


 そう思っていると、『ペリカン飛行団』のやつに撃ち抜かれて、俺は死んだ。


───死亡───


 いつのまに来たんだ?

 復活して周囲を見回す。


 徒歩で増援が増え、俺たちは次第に囲まれていっていた。

 そこまで俺たちに勝たれたくないか。

 俺は大声で、敵襲を示すように叫びながら、あちらこちらへとスキルを放って、注意を促すのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ