想像はするのは自由!
もう一年かぁ。もっと早く終わると思ってた。
SIDEナズナ
彼の体で実験がしたいが、死に掛けてやっと復活した人にそんなことは医者として許可できない。
なので彼と話してみることにしたのだが…。
私にはコミュニケーション能力なんてないし、盛り上がるような話題もないがいくしかない!
「今日はいい天気ね」
「もう、日が落ちて夜ですけどね」
「「………」」
いきなり積んでしまった。
「ええーと、能力者の発生条件は遺伝子理論派ですか?精霊信仰派ですか?」
「…」
やばい…やってしまった。今、能力者研究者たちの
こんな話したらドン引かれてしまう!
「能力者の遺伝子理論に精霊信仰ねぇ」
「あ、無理に答えなくいいのよ」
「どっちかといえば、能力者の遺伝子理論派だけど正確には、どっちでもないかぁ」
「!?」
能力者の遺伝子理論は簡単に説明してしまえば、DNAにより能力が決まっている。
精霊信仰は、精霊が人に奇跡という名の能力を授けるというものである。その授かる能力は精霊によって変わりその一族には代々伝わる精霊がいるという考えである。
基本はこの2つである。
「遺伝子理論派だけど違うってどういうこと?」
「ほら、3年ぐらい前にあった、どっかの博士の独断でやった実験での失敗で理論全部を否定する気はないけど、どっか違うと思うんだよな」
3年ぐらい前にあった遺伝子理論派が揺らいだ実験。
『マイケル博士のクローン実験』
内容は、能力を持った人間以外生き物である魔物の遺伝子を採取し、それからクローンを作って観察するものである。
クローンは軍事戦力拡大行為とみなされているため、国際条約で禁止されているため、実験後マイケル博士は捕まった。
だが、どこからか実験の結果が漏れた。結果はクローンの魔物はただの動物だった。
そのため、能力者の遺伝子理論は間違っているのでないかと世間に疑問を与えて、
精霊信仰こそが真実だと唱える輩まで現れる能力研究業界の近年では最大の事件である。
「君は精霊が能力に関係していると思うの?」
「いや、俺はそんなオカルトは信じないし、見えないものを信じろなんて無茶な話だ。そもそも、その精霊信仰はどっかの国の主宗教だ。そのどっかの国は王様より教皇が偉い国みたいだし、一種の侵略目的かもしれないね。まぁこの国のほとんどは邪教徒だからこんな方法なんだろうけど」
どっかの国…宗教国家キリストン。
「じゃあ、遺伝子理論派のどこが違うと思うの?」
「うーん、まぁこれは俺の勝手な妄想だけど、産まれてきて成長して勝手に能力者になるものでなくて、それにプラスαがあると思う」
「そのプラスαって何?」
「元からあるものではないとなると、外部からの因子かな。例えば『ウィルス』とか」
「そんな病気みたいに感染したら能力者になるっていうの!?」
「まぁ落ち着いて、さっきも言ったけど勝手な妄想だって」
「どうして、そんな考えになったか聞いていい?」
「いいけど、ナズナさんって邪教の聖書って読んだことある?」
「ん?ある程度は読んだことあるけど、ウィルスの話と関係あるの?」
「まぁね、俺一応熱心な邪教徒で聖書を熟読したことあるんだけど、他の聖書と比べるとおかしいんだよね」
「熱心な邪教徒はオカルトは信じないって言わないし、聖書読んでおかしいって思わないわよ」
「話を続けるけど、宗教って称える存在…つまりアイドルについて書いてあるはずなんだけど、邪教の話ってほとんどが初代国王の無双話で、邪神様は力を授ける存在ぐらいで邪教の教えも裏切らないってもの。正直、邪神じゃなくて国王を称えよって感じなのが邪教の聖書なんだよね」
「確かにそんな話があったけどまだ全然話が繋がってないわよ!」
「俺はそれでも国王が邪神をアピールしているのは、邪神への感謝じゃなくて有効性だと思うんだよね。そもそも邪神って人ではなくて、何かの別称だったんじゃないかとすら思っている」
「ちょっと待って!?君もしかして邪神の正体って…」
「初代国王が完成させた人体を強化する薬とかなんかじゃない?」
「仮にそうだとしてもなんでその薬は現在にないの」
「聖書の裏切りって部分に何かあるんじゃない?で、そんな薬漬けの初代国王が死んだ後どうなったか知ってる?」
「王様なんだし、豪華な葬式があったんじゃない?」
「聖書では、最後は国の礎になったと書いてあるんだよね。邪神の出会いで血を浴びるって表現があることから、つまり初代国王の死体という薬漬けの肉体の血液からある程度劣化の薬が作れたんじゃない?」
「劣化の薬ってどういうこと?」
「能力の発生にムラがあることから、その薬まだ研究段階なんじゃないの。急激に肉体を変化させるんだから基本は薄く散布して様子見かな。聖書でも死んだ人いたみたいだし、副作用が大きいのでしょう。あと薬というよりウィルスかもしれないから先にウィルスっていったよ」
「なんで秘密に行ってるの?もっと人を使えば研究がすすむんじゃないの?」
「情報の流失を恐れたから、もしくは、中央集権国家にしたかったんじゃない?初代国王様貴族嫌いみたいだったし。王族が中心で後は平民の体制を崩したくなかったんでしょう」
「……」
無言の間が流れた。
「最初に言ったけどこれは、ただの妄想で証拠も何もない話だよ。病気によっては人間なのに動物と同じ血液になる病気だってあるからね。憶測だけの話だから深く考えないでね。じゃあ、すみませんが、もう一度寝させていただきますね」
彼は何事もなかったかのように就寝した。
今さっきまで寝ていたのに…また起きないんじゃないか…不安に駆られたが、寝息を立て安らかな顔をして安心した。
私は、水を飲みながらさっきの話を考えた。私は彼の話に飲み込まれてしまった。
納得してしまった。否定できるところはあるし、矛盾点もあるが、気になる点は確かにある。
だが、私の研究者魂に何か火が付いたよう感じがした。前から燻っていた火種が彼の話で燻った火が今、燃え上がった。
ああ、やっぱり彼は最高の男だ。




