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救援要請

フロイン王国 王都カルスターニ 城内


王城とは思えぬほど荘厳(そうごん)さ。

最低限の装飾は施されているものの、煌(きら)びやかさとは正反対。

魔族との戦乱の世に改築された王城は武骨と呼んで差し支えないほど重々しい雰囲気を宿している。

そんな城内の一室で王国内の重鎮たちが集まっていた。

「3日前、黄竜帝国がクオン皇国へ侵攻開始。皇都は陥落し、現在は抗戦しながら撤退中。

皇国西部を治めるクロガネ家次期当主から我が国に救援要請がありました」

「私はその要請を受けようと思う。皇国とは同盟を結んでいるわけではないが、友好国であり、交流を深めている」

上座に座る威厳ある男が全員に聞こえるように宣言する。

「陛下のお言葉ならば従いましょう」

一人の賛同、それに続くように皆が賛同する。

ただ一人、末席にいた青年はそれに賛同せず質問を投げかける。

「お言葉ながら陛下、我々の軍事力は帝国に一歩劣ります。単独での参戦は危険では?」

「その点については考えた。帝国の身勝手な侵攻は許せるものでは無いが、軍事的な抑止は困難だと」

「末席とはいえ私も将官の一人、友好国とはいえ他国のために兵の命を散らすことはできません。何かお考えがあるのですか?」

「勝算ならある。皇国は連盟にも救援要請を出していた。連盟はこの要請を条件付きで受諾、その条件が我が国の参戦だ」

「なるほど、アヴァロン連盟軍が。主力である『円卓の騎士』が参戦するのであれば勝算は高いですね」

「ああ、連盟軍は『アーサー』が直々に指揮を取る。我が国もセウスとお前を参戦させる予定だ」

ニヤリと笑う男と、聞いていなかった事実を知らされ驚き戸惑う青年。

いつもの無茶振りだと部屋にいた全員が悟り、部屋の空気が弛緩した。

「ではセウス、ルーナお前たち二人に援軍の任を与える。帝国侵攻軍を殲滅(せんめつ)し、皇国首都奪還を助けよ!」

「「王命、しかと承りました」」

二人の青年が左膝をつき、右手を胸に当てる。

フロイン王国最強の騎士たちが出陣する。



フロイン王国 近衛騎士団兵舎


兵舎内の作戦室には大柄な青年と細身の青年の二人。

罵り合いとも口喧嘩とも取れる話し合いが行われていた。

「なぜお前はいつも・・・」

「仕方ないだろ。いくら王命だからって兵の命を無駄に散らすわけにはいかない!」

「深慮深い国王陛下は、我々のことを常に考えていらっしゃる。お前程度が考える事態など」

「ああ、そうだな。悪かったよ」

小言が続きそうな気配を感じ、言葉を遮り謝罪した。

大柄な青年も意図を察し、話を終える。

「今更小言を言っても仕方ないな」

二人同時にため息をつく。

そして援軍の軍編成について話を進める。

「さて、何か作戦はあるか、ルーナ?」

「何かって言ってもなあ。アーサーがどう動くかでかなり変わるだろ」

「それはそうだが、大枠は決めておかねば不測の事態に陥るぞ」

二人揃って頭を悩ませること十数分。

考えても結論が出ないことを悟る。

「くそっ、考えても仕方ねえ!どうせアーサーの馬鹿が突っ走るんだから俺たちはそのフォローにまわればいいさ」

「同意見だ。反撃拠点を作り、そこを私が死守しよう。お前とアーサーが敵勢力を削れ」

「わかった。軍編成だが、支援部隊をどの程度編成に組み込む?」

「エイナがいればベストだが、我々が王都を離れる以上それは難しいな」

二人は王国内の適材者を検討する。

「ならフラメルの部隊を連れて行くか?あいつなら回復魔法を使えたはずだ」

「そうだな、フラメルとファストの部隊を同伴させよう」

「ファスト!?あいつ、謹慎解かれたのか?」

「3年ほど謹慎期間は残っているが、緊急事態だ。国王陛下には私から説明しておこう」

「まあこういう時には役に立つ奴だからな。ならあとはいつ出発するかだな」

「5日後の正午を予定している」

「5日後!?準備は間に合うのか?」

「間に合わせるしかない」


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