ジオ 二部十一話 ジオの怒り
ジオ等はノルデノルンに戻った。ジオの様子を伺っていた皆は、ジオの落ち着いた様子を見て、安心したようだ。
『ジオ、どうするの?』と広間でのんびりしているジオにレディティアが声を掛ける。
『特に何もしない。普段通りじゃな。』とジオ。
そして、目を瞑るジオ。
しかし、ジオの心の中は荒れ狂っている。自分の心が操作されるとは、そんな事を考えてみたこともなかった。その事が悔しくて仕方が無い。まして、それが、指摘されるまでわからなかった事に、余計に腹が立つ。
しかし、それを考えても仕方ない、とにかく自分の心の内を見つめ始める。
オレは何処に行くつもりだ?北か、東か?南か西か・・・
ゆっくりと、深く、自問自答を繰り返しながら、違和感を探していく・・・
砂漠に用はあるか・・・ジョングを何故探している・・・
夢とは何だ・・・何故、夢を覚えている・・・夢の中で誰に会った・・・会った者を覚えているか・・・何を言った・・・南に向かえ・・・ちっ、暗示か・・・
やはり夢の中か・・・オレは親切にしたはずだが、断りもなく力を持っていった・・・命が欲しかったか・・・それが目的か・・・我が一族との確執・・・オレの存在を消すつもりか・・・この世界でのオレを消すか・・・
ジオはゆっくりと目を開ける。傍らにレディティアが居る。
『母者、森に行ってくる。』とジオ。
『そう。気をつけてね。』とレディティア。レディティアはそれしか言わない。
ジオは、玄関を出ると、座布団に座り、上空に上って行く。そして、西の森に向かう。西の森のいつもの位置に停まると、話始める。
『主、いるか?』
『何だ?』
『永遠の事だ。永遠を消しても良いか?』とジオ。
『ああ、構わぬ。この世界に必要の無いものだ。』
『必要の無いものが何故に、居る?』
『あれは変質したものだ。やがて消えて行くものだ。消えて行くのなら、早く消したほうが、影響が少ない。』
『あれは、オレを消そうとしたぞ。』
『ああ。お前が永遠を消すものだからだ。』
『オレが消す役目を持っているのか?』
『ああ、お前は巡回者だからだ。』
『巡回者とは何だ?』
『巡回者は巡回者だ』
主の気配がきえる。これ以上言うことはないようだ。
ちっ、変わらず役に立たん奴だ・・・とジオは思う。
皆で、夕食を囲んでいる。
『母者。明日、南に行く。南に、この世界に居てはならん者がいるらしい。それを消して来る。』と淡々と言う。
『そう。』と、レディティアは他に何も言わない。
『で、一人で行こうと思う。』
『それは駄目よ。行くなら、母も行くわ。』
ジオは口に入れたまま話す。
『しか・・・し、なに・・・があるか・・・わから・・・ん。』
『坊。話す時は飲み込んでからにして、といつも言っているでしょ。だから、私も行くわ。』と、ジオの顔を見ないで、ベロニカが言う。
『・・・飲み込んだ、なんでじゃ?危ないぞ。』とジオ。
ベロニカの返事は無い。
皆も口々に一緒に行くと言い出す。
仕方ない・・・黙って行ってもいいが・・・母者には怒られるだろうし、サラは泣くだろう、ハーバーはぐちぐち嫌味を言いそうだ・・・




