第ニ話 エア・バイクの改良
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装備の冬用対策をすることにした。みんなに着てもらっているインナーは温度調節機能が設定されている。色を変えることもできる。防弾機能もある。あの戦いのあと、防刃機能を強化した。
イノカが瘴気の太刀に貫かれてしまった。ボディーアーマーとしての性能は高めていた。通常の攻撃なら問題のないレベルにしたつもりだった。ただ何度も同じ場所を突かれるのは弱い。瘴気の太刀は一突きの間に何度も衝撃を伝えるものだったようだ。神刀や防具は対応していた。布だけでは弱かった。編み方を変えた層を二層追加しておいた。
すけすけ具合を変えずに強化するのが大変だった。いや、すけすけなのは、通気性のためですワ。レオタードに似ているのは偶然でしてヨ。長時間着用できるように通気性以外も高性能にしている。伸縮性も高い。ナノマシーンが皮膚の老廃物や表面の汚れを分解するように設定している。軽量化にも気を使った。一日中着ていても大丈夫だ。
魔物退治のときはインナーの上に防具を着用してもらっている。インナーの上に普通の服を着ることもできる。防具の外見はこの世界のものに似せている。コテージ内ではインナーと簡単な服だけの人が多い。毎日着ていても汗や老廃物は自動的に分解される。色や柄も変えられる。成長に合わせて大きさも変化する。体にピッタリなのでみんなの成長が良く分かる。
──ふふ、ヒトミ?
──あ、あら、フタバさん。
──何を考えているのかな。
──そ、装備の冬対策ですワ。
──レオタードって伝わって来たよ。
──き、気のせいでしてヨ。
──エア・バイクの改良じゃなかったのかな。
──い、今、構想中でしてヨ。
私たちは第3段階。少し強く思っただけで、互いに通じ合う。少し強く思っただけで、筒抜けになってしまう。
──あまり無理はしないでね。
──フタバさんのためなら、頑張りますワ!
──ふふ、ありがとヒトミ。
──当然、でしてヨ。
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エア・バイクにキャノピーを取り付けるつもりだった。各種センサーも取り付け、雪の中でも安全に航行できるようにする予定だ。エア・バイクは前後にヘリウムの気のうを取り付け浮力を得ている。気のうの浮力だけでは人は運べない。ドローンの風だけではエネルギー消費が大きくなる。気のうの浮力で効率を上げている。
全体の形はイルカに似ている。真ん中がくぼんでバイクのように乗れる。ハンドルも付いている。ハンドルからコマンドを入力することで、前後左右に移動できる。ハンドルだけでもある程度操縦することができる。上下の移動は少しできる程度に制限している。高く上がりすぎて落ちるのを防ぐためだ。都の学園に行く前に少し改良しておくつもりだ。
飛行船と同様、エア・バイクの管の中にドローンを入れ、風を送り出している。管はドローンの光もかくす。エア・バイクに座ったまま太刀や槍が振るえるように座席まわりは余裕を持たせていた。シノハやムツミはスクーターに座るようにして乗っている。二人乗りもできる。
キャノピーはフロント部分以外は折り畳み式にした。フロントのウィンドシールドは固定式の強化プラスチックにした。それ以外はインナーの布と同じようにカーボンナノチューブと超高分子量ポリマーで編んでおいた。補修はナノマシーンがするように設定した。使わないときは後ろに折り畳める。
各方向にソナーセンサーと小型カメラも装備した。コンソールにモニターを設置した。映像を見ることもできる。障害物は自動的に避ける設定にしておいた。乗ったまま魔物と戦うこともある。コマンドでキャンセルもできるようにしておいた。ライトも強力なものにしておく。前後左右と下を照らす。コマンドで各ライトの光量や色温度も変えられるようにした。レーダーの送受信機も設置しておく。少し重くなってしまった。全体的に大きくし気のうを増やす。
風もまとえるようにした。風はナノマシーンを集めて作る。細い糸のように繋ぐ。何本もの糸を集めて強度を保っている。風をまとっていると簡単な治療も自動で行える。強い衝撃は糸が切れることでダメージを散らす。切れた糸は自動的に繋がる。強い衝撃が続くと糸の本数が増える。減ってしまったナノマシーンは周囲から集めるように設定している。
エア・バイクの守りはこんなものだろう。推力は管に入れたドローンの風で得ている。管の本数と太さを増やす。緊急用に更に太い管を何本か取り付けた。これで速度も上がる。馬が全力で走るぐらいにはなったと思う。飛行船もセンサーやライトを付けておく。エア・バイクは飛行船の貨物スペースに積んでいる。飛行船ごと大きくして積載量を増やす。飛行船にも太めの管を取り付けた。管の向きを変えることで進路を調節できるようにしている。
武器について考えてみる。この世界で黒色火薬の再現までは学園でできている。一般に普及するほどの量は作れていない。
長距離の攻撃は弓か法術になる。鳥や小動物であれば弓矢で狩る人もいる。大きな魔物や魔獣になると狩猟用の短弓では厳しい。威力が足りない。私が使う長弓であれば威力は足りる。長弓では動く相手に矢をあてにくい。何人もの人が同時に放つと何本かは当たる。弓術の日置流を使うと的中率は上がる。日置流や小笠原流は身に付けるまで何年もかかる。形を無視した引き方ならすぐにできる。威力や的中率は劣ってしまう。練習用の的に届かないことも多い。遠的で当てるのも難しい。
法術は使える人自体が少ない。巫女や精霊なら法術を使える者もいる。魔物や魔獣を狩れるような強い法術を放てるのは奥伝クラスになる。シノハはイクノブ家の奥伝で、ツグミさんはツカハラ家の奥伝になる。二人とも各家で法術なら歴代最強だと聞いている。法術は治療に向いていると思う。ツカハラ家のタネミさんは治療に長けていた。フタバも軽い怪我なら治せる。ムツミも治療が上手い。私のような使い方をする人は今までいなかったそうだ。
火薬を使う銃器はできれば避けたい。この世界に与える影響が大きくなりすぎる。影響が大きくなりすぎると、システムに負荷がかかる。ツグミさん達が行っている霊気の改良速度に悪影響を与える可能性があるそうだ。何か方法はあるかもしれないが、今は思い付かない。
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エア・バイクと飛行船の改良が終わった。
「少し大きくなったかしら」
「うん、お姉ちゃん」
「そうね。いくつか見慣れないものも付いているわ」
「はい、守りが強くなったようです」
みんなにエア・バイクの試乗をしてもらうことにした。試乗してみて扱いにくいところがあれば修正する。ムツミとシノハは霊気を読み取ったのだろう。変更場所がすぐに分かったようだ。
「具合の悪いところがあれば直したいので、少し乗っていただけませんか」
「動かし方は同じかしら」
「うん、今までと同じでいいと思う」
「そうね、ともかく試してみたいわ」
「はい、私もです」
──ヒトミ、私も乗っていいかな。
──うん、フタバも試してみて。
追加した機能と使い方を説明してから試乗してもらった。
「あら、これはホームシアターと同じものかしら」
「うん、いろいろな方向が見えるよ」
「勝手に避けてくれるのね」
「風もまとえます」
──うわ、速くなったかな。
──スピードの出しすぎに注意してね。
ムツミとシノハはもう乗りこなしている。追加の機能もすぐに使えるようになった。イノカとミツエも基本的な操作はできている。フタバさんはスピードが上がったことが嬉しいようだ。




