3.調べてみて
昼休憩に入り、俺は昼食をとることにした。鈴木さんは仕事の途中から席をはずし、しばらくして戻ってきた彼女は青白い顔をしながら「お先に失礼します」と言って早退していった。
心の片隅で「妊娠というのは俺の聞き間違いだった」なんてことにならないかと思っていたが、そんな彼女の様子を見て改めて彼女が妊娠しているのだと認識させられたのだった。
それにしても妊婦さんって大変だな。そうだ、今のうちに妊婦さんのことを調べておこう。
俺はスマホを使ってネットで妊婦さんのことを調べることにした。
調べていくと「つわりには個人差がある」、「急な動作は良くない」、「重い物を持ってはいけない」などが分かった。うわー、つわりだけでも大変そうなのに、それに行動制限が加わるなんてマジで妊婦さんって大変じゃないか。そんな中、仕事をするなんてさらに大変じゃないか。
そんなことを思いながらいろんなサイトを見ていると関連ページとして「子供にかかるお金」というページがあった。そういえば鈴木さん、相手の男は同い年なのかな?
そんな疑問を思いながらそのページを見てみる。見てみるとかなりのお金が掛かることが書かれていた。
わー、もし相手の男が同い年だとしたら今年から働き始めたってことだよな? だとしたらよほど給料のいいところでなきゃお金なんて貯まってないだろうなぁ。親御さんからしたらムチャクチャ心配だろう。
将来のことを考えればせめてあと2、3年は待てなかったんだろうか? まぁ、妊娠にはタイミングというものがあるのかもしれないが、1年目にこれというのは上の人達に鈴木さんのイメージを悪くしてしまうんじゃないか?
あと、これは2人だけの問題ではなく、鈴木さんの高校の母校に悪いイメージを付けてしまうことにもなるわけだし……う~ん、もしかして俺の考え方が古いのか? できちゃった結婚なんて言葉があるくらいだからもう社会人になれば別にいいのか? ……ってもうこんな時間か!
俺は急いで片付けて仕事に戻った。