我が使命
「お前は人間の欠点を全て集めたような奴だな!」
…よく覚えているあれからもう数年は過ぎたと言うのに
だが今でも忘れてはいない、この言葉を言われた事も
…自分の反応も
「ただ受け入れた」これが真実だ。
ああ、そうなのかと、その通りだと自分はそう考えて受け入れたのだ。
顔のない周りの人間はただ自分の事を笑っていて、自分はその中にひとり立っている。
セピア色の世界で笑う人間達、その時に知り、そして確信した。
この世界に自分の味方はいないのだと
他人の不幸を笑い名誉を乏しめ不条理に見て見ぬふりをし私欲のために誰かを踏み台にして高きに立つ
それが人間なのだと気付いたのだ。
…せめてもう少しだけでも救いのあるものであればと考えもしたが
美談に目を向ければそれと同時に悪評がそれ以上に聞こえてくる。
眼が無ければよかった 人が他人に土下座させる姿を見ずに済んだ。
耳が無ければよかった 心を抉り取る影口を聴かずに済んだ。
口がなければよかった 他人に悪口を言わずに済んだ。
心がなければよかった 傷つく事も同情する事も無かった。
胸に穴が開いているわけでもないのに、何故かそこに「からっぽ」が有るようだった。
そして自分も人間なのだと気付いた。
神を憎んだ、おぞましさに吐き気をもよおした、自分の中にドロリとした原油が流れているようだ
吐きだすために指を喉に入れた。
酷く醜かった、全てが敵に見えた。
正義はあっても悪が居なかった、結局は話し合いではなく暴力に訴えるしかなかった。
宗教にはまり思考を停止して楽になる人々に絶望した。
金と理想の為に他者の夢と血を踏みつけていた。
全てを支配し平等に幸福にするために自由を奪っていた。
空から見下ろした大地に、国境など無かった。
善であるなど信じられなかった。
悪でない証拠は何処にも無かった。
自分の生まれた意味を考えた
救ってやろう、救ってやろうじゃないか神がいなければ自分が人々の神になればいい。
人類を正義として全ての悪を用意しよう
弱よわしい祈りに救済で応えよう
貧困にあえぐ者に施しを与えよう
牙無き者に力をあたえ支配から解放し夢を実現させる自由を!
誰も不幸にならない世界を作って見せよう。
それが、私の生まれてきた意味だ!
誰にも邪魔はさせない、私の夢を阻むものはあらゆる手を使って排除する。
それがこの命の使い道なのだから…。




