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47話 ショートケーキ

琴音の家を出てから、歩くこと10分。

改めてチケットを確認する。

二人で海外旅行か、二人で。ハードル高くね?

これ、ハードル競争より、ハードル高いぞ。

おもんないな俺。

賑やかな商店街を通る。ふと、横を見ると今日オープンしたばかりのケーキ屋さんができていた。

由衣にお土産買って行くか。

店内に入ると、人が多く。オープン初日でこの人気はすごい。

どれを買うかを決め、レジに移動する。

「すみません、ショートケーキ2個...って成瀬じゃん」

「おお、拓哉じゃん」

「バイトしてるのか?」

「そうだな」

「確か、パティシエが夢だったよな」

「お前、よく覚えてるな」

「まあ、親友だし?」

「なんやそれ」

疲れが吹き飛ぶかのように笑う成瀬。

「じゃあ、ショートケーキ2個」

「合計で、1800円になります」

えー、結構するな。まあ、今日はいっか。

俺はショートケーキ2個を持って店を出た。



俺が買ってきたショートケーキは、見事に2個とも食べられている。あのー、俺のケーキは?

頭を揺らしながら、美味しそうに食べている。

この笑顔が、見れるなら1800円なんて安いもんだな。いや、安くねーよ。

美味しそうにケーキを食べる由衣を見ながら、俺は静かで幸せな時間を過ごした。


カーテンを開けて、朝日を確認する。今日って早百合と遊ぶ日だよな。スマホのカレンダーを開き確認する。

12時に早百合の家か。

てか、よく考えたら俺って夏休み女子としか遊んでなくね。俺ってモテてる?

スマホの画面が暗くなり、俺の顔が映る。

前言撤回だ。

その時、スマホに通知が届く。

『海外楽しみしとくよ』

琴音からだった。

俺も楽しみだよと送る。実際不安もあるけど楽しみの、気持ちの方が勝っている。

時刻は11時、少し早めに準備を始めた。

ちょっと早く出て、お土産買って行こうかな。

ショートケーキ2個とか。



早百合の家は俺の家のちょうど4倍くらいのデカさだ。そう、豪邸だ。

インターホンを押す。

待つこと10分。誰も出てくる様子はない。

早百合が人を待たせるような人ではない、何かあったのか?

あれから30分、夏の暑さにショートケーキは溶けていた。にしても、誰もいないのか?

4時間が経過していた、ショートケーキはもう跡形もなく、溶け溶けになっていた。

今日の暑さ異常だな。

やはり、いくら待って来ることはなかった。

スマホを何度確認しても、連絡はきていない。

空も暗くなりつつある。どうするか。

後1時間待とうかな。

時刻は19時を過ぎていた。さすがに帰るか。

ショートケーキの箱を持って歩き出す。

目の前に車が止まる。

車のドアが開く。

中から早百合が飛び出してくる。

綺麗な桜が散るように、ゆらゆらと、倒れそうになりながら、走って来る。

悲しそうな顔をしながら走ってくる。後悔してそうな顔をしながら。

そして、俺に飛びつく。

「ごめーん」

ちょっぴりの後悔を含みながら早百合は言う。

「ちょっと遅いかも」

俺は、柄でもないことを言う。

何故か、数秒ほどハグをされる。

この数秒のハグが、7時間くらいの長さに感じた。



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