番外編 早百合の夏休みの過ごし方
長いテーブルの奥に座り、静かに朝食を食べている。もう片方の奥側に、母と父が楽しそうに朝食を食べている。
私と、親は仲が悪い。このテーブルの長さと同じくらい壁があり、距離がある。
姉は、朝早くから海外に行っており。家には私と、親と、家政婦しかいない。
はあ、疲れるな。朝から、豪華な朝食を口に入れる。
美味しけど、どこか寂しい。なにも楽しくない。
はあ、やっぱり夏休みなんて楽しくない。この家には私の居場所なんてない。それは誰が否定しても真実である。
けど、私もこの家に生またからには、色々やらないといけない。
はあ、再度ため息を吐く。
ああ、遊びたいな。私は急いで朝食を食べる。だってここには居たくなかったから。
私は自分の部屋に向かう。
スマホを取り、カレンダーを見る。カレンダーの予定表にはみっちりと予定が書かれている。逃げだそうかな。
けど、そんな、嫌な予定表の中に1つだけ幸せな予定がある。
八月の上旬に拓哉が家に来る。
それだけは、救いであり、楽しみである。けど、後の予定表はずっと退屈だ。
私の夏休みってこんなに酷いもんなのかな。
誰かと遊びに行くことさできない、そんなのつまらないし、価値なんてないよ。
スマホの予定表をただずっと眺める。友達からの誘いが来ても、断るしかない。そんなことを繰り返していたら友達は消えてしまう。
それは、わかっている、私だって友達と遊びたい。けどさ、現実はそんな都合よくできてないんだよな。
外は明るいのに、私の気持ちは沈んでいた。
私はその気持ちを振り払うため外に出た。
私は、拓哉と会う時の服を買いに近くのショッピングセンターに来ていた。
あんまり派手な服は駄目よね。どんなのが良いのかしら。派手過ぎず、可愛い服。
小さい頃から、すべてが用意されていたから、自分で買うのは初めてである。
ふーん、まずは見てみようかしら。近くの服屋さんに入る。
まず、目に留まったのは、小さいサイズの服だった。そう、最近流行っている、お腹を見せる服だった。
私には無理ね。
次に目に留まったのは、黒ガラのタンクトップで背中などが見えるような服だった。
これも、私には無理ね。
少し休憩するために近くの椅子に座る。
周りを見渡すと、あの、腹見せの服を着ている人が多かった。
やっぱり、あれが流行なんだ。
頭の中でイメージする。
まあ、私にも似合ってるね。
けど、人に見せるのは少し恥ずかしいな。
どうしようかしら。
5分ほど考える。
よし! 決めた。
私は立ち上がり、さっきの店に入る。
小さいサイズの服とタンクトップを手に取る。
こんな時は2つ買っとけば問題ないよね。だって、両方私に似合うし。
会計を済ませて店を出る。
紙袋を持ったまま、他の店やカフェなどに行って時を過ごした。
家に着き、買ってきた服を取る。
これを、着るのか。
恥ずかしいよ~。
服を抱きしめ、ベットに横になる。
ああ、拓哉に会いたいな。そう思いながら少しだけ眠りについた。服を抱きしめながら。