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21話 愛は愛で愛が愛だ

「私のこと幸せにできなかったらいつでも地獄に落とすからね」

 綺麗な夕焼けをバックにとんでもない発言をする志保。

 「あのさ、なんで私が拓哉の噂を流してるって知ったの?」

「まあ、予想が当たっただけだ、まず、最初にお前が流した噂あっただろ?俺が相馬を殴ったみたいな噂。あれは俺のことを知ってる人しか流せない噂だ。もし、相馬が噂を流せば動画も一緒に広まるだろう。けど、動画を知ってる人はいなかった。だから、相馬は噂を流してる人ではないと思った。そして、早百合や純恋先輩は噂を流さないだろう。だって、俺が相馬を殴った時あの二人は俺を見て怯えていた。怖そうな顔をしていた。だから、噂を流すことはないと思ったんだ、だって、怖いから。怖い人と関わりたくないだろ?だから、あの二人は違うなと思った」

「それで、志保にいきついた。ありえないと思ったよ。けど、全部辻褄が合うんだ。あの時別れ話をしていたのになぜ相馬は都合よく学校に居たのか。俺はよく考えたよ、そして罠を仕掛けた。もう1回噂が流れると予想していた。それで、次は身内に関する噂だなと予想した。俺と、早百合は教室で話さないようにしていた。クラスの人や学校の人は俺と早百合が友達だとは誰も思っていないし知っていない。それを利用した。そしたら案の定お前が流した噂は、早百合と琴音を騙してるクズ拓哉。だった、その時確定したよ、俺の噂を流してるのは志保だって」

「そっか、全部あってるよ!!凄いよ、本当にすごい、本当に興奮するよ、だって、ずっと待ってたもん。でもさ、成瀬は何だったの?」

「もちろん今日のことはある程度予想できた。だから、成瀬には協力をお願いした。琴音と志保にバレないようについてきてくれって」

「そうなんだ、もー最初から教えてよ、拓哉以外全員邪魔なんだから傷つけるところだったよ」

 16歳とは思えない発言だった。志保、君はいったい何があったんだよ、志保は美人で、どこにでもいるような女子高校生に見える。

 けど、闇が深い感じが目を見てわかる。その目には一切の光なんかなかった。

「ああ、てかナイフ捨てろよ」

「嫌だよ、だって私のことを殴るかもしれないでしょ?」

「どんだけ、信用無いんだよ、俺もそんな性格じゃないって分かってるだろ」

「そうだね、今は0に近いかな、私の家に来たら全部捨てるよ」

「無理、絶対に無理」

「なんでよ?もしかして想像したの?もおー」

「いやいや、だって殺されるだろ、多分」

「最低ね、じゃあ、いいやここで死のうかな」

「わかった、行くよ」

「本当に?嬉しいよ、ありがとね私の彼氏」

 そして、俺の腕に抱き付く。なんだよこの状況と思いながら暗い道を歩く。まるで、遠い先にある光を目指して歩いていく。

 


 あれから、歩くこと15分、俺の腕に抱き付いてる志保はずっと無言だった。

「私の家に上がるの拓哉が初めてだよ。うわー私の初めてが拓哉に奪われる」

「言い方が悪意あるだろ」

「今からたくさん遊んで傷つけるからね!楽しみだね」

「いや、ぜんぜん」

「は?のり悪いね」

 声のトーンが低くなっていた。いや、怖いよ普通に。でも、逃げない。

 「じゃあ、上がって」

「うん」

「まって、証が必要だよ」

 悪魔みたいな顔を見せる。

「証?」

「うん。私たちの絆の証」

「手を出して」

 手にはナイフを持っていた。無理、無理。絶対に痛い。

「それが証になるのか?」

「うん」

 俺は黙ってハグをした。すると志保は笑顔になっていた。

「正解だよ。上がって」

 志保の家に上がると部屋に案内された。

 部屋に入ると、驚きだった。壁全体に俺の写真が貼ってあった。気分が悪い。

「ねえ、どうしたの?早くこっちに来てよ。はーやーく」

 俺は、思考が止まっていた。逃げたい。噂を流したのは志保だとわかっていたけど、ここまで深刻な状況だと思わなかった。

「はーやーく」

 楽しそうに俺を呼んでいる志保。だんだん顔が暗くなっている。

「はーやーく」

 俺は、志保の隣に行く。

「ようやく来てくれた。遅いよ。待ったんだから、ご褒美頂戴」

 志保は急に立ち上がる。

 そして服を脱ぎ始める。綺麗な顔以外にはたくさんの傷があった。

「ねえ、これ見て私のことを幸せにできる?」

 俺は、ただ見つめることしかできなかった。

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