18話 止まない雨は無いとは嘘である
「拓哉お願い私と連弾して」
時刻は17時天気曇り。教室で俺は琴音にお願いをされていた。
「俺でいいのか?」
「うん、私のことをちゃんと知ってるの拓哉しかいない」
琴音はあの日からピアノが好きになっていた。けど、みんなの前で弾くのが怖くなっていた。
期待がストレスとなっていた。弾くときに手が震えてしまうと。相談された。
俺は驚いた、だって俺の前ではピアノが弾けるのに、他の人がいたら弾けなくなるようだった。
琴音も困っていた。私、どうしたのかなと悩んでいた。そんな彼女が俺に連弾をしないかと誘っている。
「でも急に連打なんてお願いしてどうしたんだ」
「実は、来週の木曜日に演奏会があるの、全生徒の前で、けど、私今弾けなくて、
だから助けて欲しい」
「なるほど、助けるよ。てかどんなことでも助ける」
「ありがと」
「じゃあ、私音楽室で練習してくるから暇だったら来てね」
「おう、頑張れ」
琴音は音楽室に向って行った。
後1週間しかない。俺も練習しよ。
「私はもう関係ないんでしょうか」
悲しい演技をしている早百合。
「さてと行くか」
「ええ、もちろん」
俺たちは部室に向かった。
部室に着くと事件は起きた。
「最近私を全く相手にしてくれない」
早百合が真剣な表情で言う。早百合ってこんな性格じゃないだろ。多分。
「俺がいなくて寂しいよな」
確かに早百合とは最近遊んでいない。
「そうよ、だって奴隷がいないもん」
前言撤回だ。俺、コイツ嫌い。
「相談があるんだが」
俺はあることを相談した。
「もしこうなったら、後は頼むぞ」
「ええ、でもいくら何でも優しすぎない?」
「大丈夫だ、成功したら世界で一番おいしいパフェ食いに行こう」
「そんなの当り前よ」
嬉しそうな早百合を見て笑顔になる。今は幸せだな。
今日は早めに部活が終わったので音楽室に向かった。
話し声が聞こえた。
「もし、俺が琴音に演奏会で勝ったら付き合って欲しい」
漢字で表すと美のような男子が琴音に言っていた。
「は、はい」
ぎこちない返事をする琴音。性格的に断るのは難しいだろう。
「本当?でも彼氏いるんじゃないの」
「彼氏?あの人はその彼氏じゃないというか」
これ以上は駄目だなと思い音楽室に入る。
そして、挨拶をする。
「よ、琴音」
すると、美男子は俺の胸倉を掴んできた。そして、美男子とは思えない発言をする。
「お前みたいな最低辺が、天才ピアニストに近づくなよ、ストーカやろうが」
違います。すべて違うよ。ストーカ?てか、最低辺ってコイツ性格悪。
こいつも、天才ピアニストだから早百合に近づているだろ。お前みたいなやつが彼女を傷つけているんだよ。
心の中で考え事をしていると、俺は殴られていた。
ピアニストは手が一番大切と聞いたことあったけどな。
こいつの考えも分からなくもない、俺みたいなモブが近づくのは癪にさわるだろう。
でも、殴られる理由が分からないけどな。
ああ、そっか、まだ噂は消えてなかったな。俺が相馬を殴ったていう噂が。
「相馬を殴ってよく学校来れるな、ごみ」
コイツは二年生か。
大丈夫、大丈夫。
「もしかして、琴音もされたのか」
余計な心配をする、美男子。余計ではないか心配になるのは当然だ。
だって、俺は相馬を理由もなく殴った人だと広まっている。
コンコンとノック音が鳴る。
早百合だった。
そして美男子は態度を変えていた。まるで俺はこんなクズでも仲良くできますよとアピールをしたていた。
「僕に用があるのかい?」
美男子が言う。
「そうです。ちょっと相談したいことがあって。お願いしてもいいかな?」
本当に演技が上手いな。
美男子は早百合について行った。
早百合から、スマホに連絡が来ていた。
『パフェ』
その一言のメールで理解できる自分が恐ろしい。
「ねえ、聞いてもいいかな、相馬先輩を殴った理由」
気になった様子で言う。
ことの経緯を話した。俺がなんで相馬を殴ったかを。
「そんなことが、じゃあ、拓哉は何も悪くないじゃん」
どこか悲しくどこか暗くなんとも言えない表情をしていた。
「ああ、噂なんかすぐに消えると思ってたけど案外そんなことなかった」
左頬に手を当てる。痛かった。けど、こんな痛みなんか志保からしただ擦り傷くらいだろう。それほど、彼女の傷は大きい。
てか、よく考えたら志保って二年だよな。まあ、今度話そう。
そして俺は琴音に言う。
「本当に俺でいいのか」
「うん、拓哉しかいないよ」
「頑張るか」
「うん、あとずっと私の隣にいる約束守ってね」
「いるよずっと」
微笑ましい会話をした。
そしてその次の日噂が流れた。
『拓哉はゴミ人間で琴音や早百合を騙していると』
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