No.10 程度の能力
はい、10話です。相変わらず、展開は遅いですが、あまり長い話にするつもりはありません。
あまり引き伸ばしても面白く書ける自信ありませんので…では、お楽しみください。
空を飛べ、と言われても、正直無理と言うしかない。ちょっと前まで、ただの人間だった俺に、翼を生やしても、動かし方がわからないのと同じで、空を飛べとか、弾幕を張れって言われても、無理なものは無理なのだ。
ただ一つ、力の使い方について標記してあったのを除けば…
「きゅってしてどかーん…」
そう、ただ一言呟いた心算だったのだが、皆の反応は違った。
凄い速度で飛ぶ様に距離を取り、さっきまでの暗さは何だったんだと言わんばかりの真剣な面持ちで、武器を構えていた皆に慌てる様に、首と両手をヒラヒラと振って、何もしませんとアピールする。
「勘弁してよ…」
「ちょっと、それは洒落にならないぜ?」
「やっぱり、危険よ!!フラン、大人しく屋敷に帰るのよ!!」
「人の事は言えないけど…まあ、落ち着きなさいな?それで、何かわかったの?」
「えっと、俺の世界に、この幻想郷についてのうぃk…文献?見たいな物があるんですよ」
「へぇ、そう言えば、外来人は結構物知りだって言うわね?」
「あぁ、私もそれ不思議に思ってたんだ」
俺の言葉に、アリスと魔理沙が納得したように話してきた。
「なるほどね。そう言えば、私はまだ自己紹介してなかったけど、もう必要無いのかしらね?」
「あっ、八意永琳さんですよね?始めまして」
そう言えば挨拶してなかったなと、笑顔で頭を下げる。
「えぇ、始めまして、司…それにしても、結構変な感じね?知らないのに知られてるって言うのは…」
ふと言われた事に、最もだと思い苦笑いを浮かべ謝った。
「あぁ、そうですね…ごめんなさい」
「良いのよ。それで、その事とさっきの一言には何か関連してるの?」
そんな問答を繰り返してる内に、警戒が薄れたのか、永琳さんはベッドの側の椅子に座ってきた。
「その文献に、一応、力の事は書いてあったんですよ。永琳さんは、『あらゆる薬を作る程度の能力』とか、魔理沙さんなら『魔法を使う程度の能力』とか、アリスさんは、『人形を扱う程度の能力』、レミリアは、『運m…」
「ちょっと待ちなさい!!何で、あの3人にはさん付けで、私が呼び捨てなのよ?様を付けなさい!」
レミリアの怒鳴り声に中断させられ周りを見ると、皆は、驚いた様に目を見開いて此方を見ていた。
「それで、司は、そう言う能力なら理解、出来ているって事なのかしら?」
優しそうな笑顔ではなく真剣な表情で目と目を合わせる様に見てくる永琳さんに気圧された。
「い、いえ!知っているだけで薬にしても材料とか調合法とか知らなきゃ出来ませんし、魔法も、どう言う力なのか全くわかりませんから、使うのは無理なんです」
「そう…じゃあ、やっぱり力は使えないって事で良いのかしら?」
「その、一部だけ…力の事について表記されてる物があったので…」
「それが、さっき呟いた言葉なの?」
「…はい」
「ダメ!!その力は無闇に使って良い力じゃな…「きゃぁ!!」」
いきなり飛び掛る様に、俺の両肩を掴んだレミリアに驚き、俺はレミリアごとベッドの下に倒れてしまった。
「痛っ…ぅ…わ、悪かったわね」
倒れた時に背中を打ち付けたのか一瞬苦しくなったが、目を開くと、涙目の赤い瞳と目が合った。
ふにゅふにゅ
起き上がろうとした所で、手の平に小さく慎ましげな感触に、視線を落とすと、レミリアの胸に手が当っていた。
「んっ…ぁっ…やめっ…このぉぉぉ!」
目線を再度上に移すと、真っ赤になったレミリアが怒りをあらわに手を振り上げた所で、永琳さんが拳骨を落として止めてくれた。
「いたぁ!何すんのよ!!」
「貴女こそ、いったい何をしているの?病人が怪我人になっちゃうでしょうが…」
「…う~っ!!」
そんなやり取りを、目を白黒させながら見てると、永琳さんが助け起こしてまたベッドに寝かせさせられた。
「…その…ごめんなさい」
「……ふん!」
「話の腰折れちゃったけど、そうね。使えるにしても無闇と使わない方が良いと私も思うわ」
「そうですよね…」
自分の手の平を見詰め俯く俺の背中を、優しく撫でてくれる永琳さん。
「力の事は兎も角、吸血鬼の能力についてはどうなってるのかしらね…」
「やっぱり、その憑依の影響って奴なんじゃないか?」
「私も、そう考えるのが自然だとは思うわね…」
永琳の質疑に、魔理沙とアリスが口を揃えて答えると、レミリアは真剣な表情で俺の顔を見ていた。
「…人形遣い、貴女にフランを預けるわ!必ず、フランを元に戻して返しなさいよ!!…咲夜、帰るわよ」
「はい、お嬢様」
俺達が引き止める間も無く、レミリアと咲夜さんは、扉の向こうへと出て行った。
「…まったく、しょうがないわね…言われるまでも無いけど…」
「良かったな?ふr…司だったか」
「もう大丈夫とは思うけど、今日しっかりお休みなさい。あと、私もそろそろ帰るけど、もし何かあったら永遠亭まで来なさいな。知ってるとは思うけど、迷いの竹林に妹紅って子が居るから、その子に案内して貰えれば来れるはずよ」
「藤原妹紅ですね。わかりました。ありがとうございます」
笑顔でペコリとお辞儀をすると、苦笑いで返してくれた。
「ホント不思議ね…あっ、あとこれを渡しておくわ」
手に持たされる様に渡されたチューブには、『日焼け止め』と書かれていた。
「これは…日焼け止め?」
「あくまで、保険だけれどね?貴女も、吸血鬼の力が無いかもって日の下に出たら丸焼けになったってのは嫌でしょ?」
「あぁ、そうですね。何から何までほんとにありがとうございます」
「それじゃあ、また機会があれば会いましょう」
「それじゃあ、途中まで送るわ」
「お、なら、私もそろそろ帰るぜ」
解散と言う空気に釣られ見送りくらいはしようと体を起そうとしたら怒られた。
「それじゃあ俺も…」
「「「貴女(司)は寝なさい!!」」」
「…は、はい」
それぞれが、俺の頭を撫でて部屋から出て行った。
「俺…気が付いたら幻想郷で妹様なんだが…どうしたらいい?」
一人になった部屋で、ラノベのラベルとなりそうな事を呟いた。
どうやら俺は、幻想郷が少し楽しみになって来ているようです。
「そう言えば、水が大丈夫って事は…一緒にお風呂も入れそうね…クスクス」
「はっ……くしゅん!!ぅ…なんか凄い寒気が…」
果して俺の運m…貞操や如何に!?




