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ダークフォークロア  作者: 柳沢 哲
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第十一話 携帯電話

※暴力的表現、グロテスクな表現を含んでおりますので、苦手な方はご注意ください。

 スイに留守番させられるようになり、純は学校に一人で行った。人気のない道は行かない、人ごみにまぎれる。尾行されてないか注意する。大上とキナコ言われたが、伯父には念書を書かせたし、スイが狙われるならまだしも、自分を襲ってもメリットはないと思う。内心少し大げさだと純は思った。

 ショッピングモールで純は携帯電話の店を覗いた。スイに持たそうか、賢くなってきているし使いこなせるだろう。最近キナコの携帯電話を借りて、純に電話をしてくることがある。大体が寂しい、早く帰ってきてということで、寄り道せずに純はいつもまっすぐ帰るようにした。

 ゲームに夢中になったりはしなくても、メールが打てるようになったら離れていても意思の疎通がとれる。

 保険証と学生証があれば、自分の名義でもてる。幸い新規ならそれほどの金額ではないし、バイト代がけっこうな金額だった。機種はスイと一緒に決めようと思い、少し説明だけ聞いて、パンフレットをもらって帰った。

 駅の前で純は信号待ちをしていた。ここを渡ればすぐ帰れる。自分用の携帯電話を持ったスイの顔を想像すると、わくわくした。七恵にケーキを持って行った時の気持ちに似ていて、純は一瞬へこんだ。自分がわくわくすると、ロクなことが起きない気がする。

 携帯電話が鳴った。純はカバンを探って携帯電話をとろうとしたが、何かに頭を殴られて倒れた。

 誰かが純の腕をつかんでいる。携帯電話が落ちる。着信の名前はキナコになっていたけれど、純はスイがかけているのだと思った。

 

 目を覚ましたとき、薄暗いせまい場所にいた。背中で手を縛られて、立つことも出来ない。誰かがいた。話し声がする。

「おい、目を開けた。」

 男の顔が純を覗き込む。老人もいれば、中年もいた。全員黒っぽい服装で、部屋の中が薄暗く顔がよく見えない。意識がはっきりしてくると段々混乱してきた。こいつらは何者だ。何故自分は捕まっている。

 誰かがやってきて、純はぽかんと見た。三角巾をあてた芦垣がいる。純を見てぎょっとした。

「なんでこいつがいるんだ。俺はもう赤須に関わりたくないんだよ。」

 純は、どんなひどい目に合わされたんだろうと思った。顔のガーゼも痛々しい。

「ハコを回収するためだ。」

 老人が言う。かなりの人数が純を見下ろしている。

「お前が見たのはこいつに間違いないのか? 」

 男が乱暴に純の髪をつかんであげた。毛が抜ける。まだ父のように頭頂部がはげたくない。

「間違いない、でも俺はもう関わりたくない。」

 男が髪の毛を放した瞬間、純はあごを床にぶつけた。男は芦垣に近づくとぽんっと肩に手を置いた。それからうなじに触ったかと思うと、芦垣が膝をついて倒れた。よく見えなかったが、芦垣の首から何か鋭利な刃物でえぐられたように切れていた。血が勢いよく流れ、純は思わず後ろに下がった。顔は床に真正面からくっついているので見えないが、生臭い匂いが鼻をつく。

 目の前で木の枝でも折るように、芦垣は殺された。

「おとなしくしていろよ。役に立てば生かしてやるから。」

 純はあまりの恐怖で震えて息もできないくらいだった。呼吸を整えて、深呼吸しようとしたけれど歯がガチガチ鳴っている。

「ハコを呼べ。」

 無表情に言われる。純は震えていたが言った。

「呼んだことないので、わかりません。」

拳で殴られた。

 頭をぶつけて口の中を切り、痛みに声を出しそうになったが耐えた。男の足が純の横腹を踏む。純の口から呻き声が漏れた。痛いというか、もう視界がぼんやりするほどだ。心臓が耳元に移動したように、脈が耳元で聞こえる。どうしたらいいのか、純はない知恵を絞った。男の足に肋骨を砕かれる前に、気をそらさなければいけない。

「電話させてください。」

 純はやっと言った。男が無言で純を見る。別の男が芦垣の死体から携帯電話を取り出して男に投げた。

「番号を言え。」

 腕をほどいてくれる気はないらしい。純はキナコの番号を言った。発信音はキナコが設定しているぞうさんの歌が流れる。のんきな歌がしばらく流れてから、ざーっという雑音がした。

「純? 」

 スイの声だった。純はびくっと震える。男の足に力がこもった。純が思わず声を上げると、スイの声が雑音交じりにした。

「純、なんでそんなに遠くにいるの? スイまだお留守番しないといけないの? 」

 スイの声が奇妙にゆがんで聞こえた。純の腹部でいやな音がした。純は唇をぐっとかんだ。

「寂しいよ。会いたいよ。」

 スイの声がテープを引き伸ばしたように、間延びして聞こえた。

「スイ、ごめん。俺がいなくなっても、ちゃんといい子にしてろよ。」

 純はやっとそうつぶやいた。そのすぐ後に身体を蹴られて純は転がった。痛みで意識が遠のく。電話からスイの声が聞こえていた。

 

 目が覚めたとき、腹部の激痛で純はむせた。口の中も鉄錆の匂いがする。芦垣の死体が相変わらず転がっていた。まだ、殺されずにすんでいるが、すぐ彼と同じになるだろう。

 この部屋は真っ暗で、外から隣のビルが見える。そのビルも暗い。ここはどこなんだろう。静かに呼吸をして落ち着かせる。足音が響いてくる。

 扉が開いた。純は横向きにそれを眺めていた。

「原田さん。」

 駆け込んできたのは、キナコに弱みを握られてしまった少年、良一だった。大上が一緒にいるのは、どういう組み合わせなんだ。

「な、んでここが? 」

純が言うと、大上は純を無理やり抱えた。痛みで叫んだ。大上が一瞬腕の力をゆるめて、持ち直した。

「キナコちゃんが見つけた。正しくは、お前を見つけた彼女を、キナコちゃんが見つけた。」

 薄暗くてよく見えないが、大上が怪我をしている。足に黒い染みができていた。

「逃げるぞ。」

 あの男たちはよほど強いのか。大上が気合を入れるように深呼吸をした。良一が先に出て扉の外をうかがう。手を振って先導し、大上が走った。

 真っ暗な廊下には何かが散乱している。壁がもろくなってひびが入り、天井が崩れていた。暗い大きな穴が空き、そこから誰かが覗き込んでいるような雰囲気だった。走る音と別に音がする。引きずっているような、重いものが這い回っているような音だ。窓はふさがれているのか、隙間からわずかに光がさしているようだ。純は窓をじっと見た。動いている。風に揺れているようにも見えるが、波打っているような動きだった。

 良一が立ち止まった。息を押し殺して、暗闇を見つめる。

「大上さん逃げてください。」

 大上が脇にある非常口に手をかけた。開けて入った直後、良一めがけて真っ黒なものが襲い掛かった。水のようにも見えたが、細長いものの固まりに見えた。髪の毛だと純は気づいて見つめた。大上が扉を閉めた。

「なに、あれ。」

 大上にしがみついて言うと、大上が深呼吸した。

「スイ? 」

「落ち着け。お前が混乱すると終わりだ。」

 大上は純を背負いなおすと言った。

「オオカミさんは俺を置いて逃げろよ。」

 大上が苦笑いをした。

「お前を置いて逃げたらそれこそ殺される。」

 下のほうで爆発音がした。大上が非常階段を下りていく。真っ暗な闇の中なのに、見えているような足取りで降りていく。純にはもう何も見えなかった。身体が痛い。

 目を閉じると真っ暗な部屋が見えた。隅に誰かが立っている。真っ黒な長い髪をした、後姿がいた。純は目を開ける。開けても見えた。

 ぼそぼそと暗闇の中で何かをつぶやいている。さらりと、髪が揺れて横顔が見えた。

「オオカミさん、俺行かなきゃいけない。」

 純は大上の背中から降りようと腕に力を込めた。

 頭上で扉の開く音がした。勢いよく階段を駆け下りてくる。大上が顔を上げる。純も振り返った。真っ暗な闇の中、徐々に白い足と手が見えた。四つんばいで赤ん坊のように降りてくる手足が、黒い塊のような髪を引き連れて降りてくる。

 白い手が抱きつくように純に伸ばされた。純はそれをぼんやり見ていた。真っ黒な髪の塊の中から、無数の目が純を見ていた。


 いつの間にか純は車の後部座席に座っていた。叔父が運転している。いつもは助手席に律がいるのに、今日はいない。

「お前はいつもぼんやりしてるけど、こんなことに巻き込まれるなんてな。」

 叔父が笑った。純は叔父を見る。笑い方が大上に似ている。

「いつかでかいことするとか、思ったことなかった。」

 純は叔父の後ろ頭を見た。

「俺も思ってない。でも、俺がいいってスイは言うんだ。俺を選んでくれたんだ。」

叔父の苦笑いが聞こえる。

「叔父さん、降ろしてくれ。俺スイのところに行かなきゃ。」

 叔父が車を停めた。純はシートベルトをはずして扉を開ける。

「当分俺のところにこなくていいからな。律と仲良くしろよ。」

 いつもの調子で叔父は言った。

 車から降りて、純は寺の前に立っていた。寺は以前見た時よりも朽ちていた。畑も雑草だらけで荒れている。純は階段を上っていく。さわさわと木が揺れている。

 寺はなかった。広い空き地にハコが置いてある。誰かがそこに座った後姿が見えた。スイだと純は思った。綺麗な髪をそよ風になびかせて、茜色の空をぼんやり見ている。純は重い足取りで向かう。

「スイ。」

 しぼりだすように言うと、真っ黒な髪が振り返った。スイが笑った。ハコから降りて純に向かってくる。

 その背後に真っ赤な顔があった。鬼がいる。金棒をスイめがけて振り下ろした。純は駆け寄ろうとしたが何かに肩をつかまれた。小さな手で純をつかむのは、やはり赤い顔をした鬼だった。

「見つけた。捕まえた。」

 キナコの声がした瞬間、純はキナコに頭をつかまれていた。

 周りは騒然としていた。顔を隠した、白い服の人たちがけが人の手当てをしている。キナコは純を離すと、別の誰かに駆け寄った。服装で大上だとわかる。彼の腕や足には髪の毛が絡みついていた。

 純が振り返ると、頭から血を流している赤須がバットにもたれかかり、肩で息をしている。おばあさんが透明な水晶で作った数珠を手に巻きつけ、スイを押さえていた。顔は髪の毛で覆われて見えないが、今朝、スイが着ていたのを見たワンピースが、髪の毛の間から見えた。

 暗く広い、おそらくビルの広間だった。映画で観た、野戦病院に雰囲気が似ていた。

「原田さん、動かないでください。」

 純の肩を良一がつかんだ。生きていたとほっとするまもなく、良一の腕には血が滴っていた。細かい傷が腕に髪の毛のようについている。

 良一は純の頭をバリカンでそり始めた。抵抗する気力も力もない。おばあさんの顔に脂汗がにじむ。白い服を着て、顔を布で隠した女性が純の髪の毛を集めた。身体の形や、ふわりとした長い髪で女性だと思った。彼女は米のつまった布袋の中に純の髪の毛を詰め込んだ。手早く黒い糸で縫いつける。

 女性が純に布袋を差し出す。よく見ると、人のような、不気味な形だった。

「息を吹き込んでください。早く。」

 良一にせかされ、純はわき腹の痛みをこらえて袋に息を吹く。すぐに女性が取り上げると、赤須に投げつけた。赤須はつかむと、髪の毛で見えないがスイの胸の上に置いた。おばあさんがスイから手を離す。

 髪の毛が生き物のように動いた。スイは胸の上にある袋を嬉しそうに抱きしめた。スイは純の携帯電話を布袋に見せる。

 純だと思っている。米のつまった、布の人形を純だと勘違いしている。

 赤須が純の口をつかんだ。

「声を出したら殺すぞ。」

 純は口をつかまれたまま、見ていた。

 おばあさんがスイにハコをさした。スイはきょとんとしているが、人形を見てから、何か会話をしたようにうなづいてトコトコとハコに向かう。そしてハコの中に入った。スイはずっと嬉しそうに笑顔で人形を抱えていた。純の目から涙が落ちた。

 またあのハコに彼女を閉じ込めなくてはいけない。五百年彼女が眠り続けたハコの中に、スイは騙されたと知らずにいってしまう。

 赤須の手に力がこもる。ここで純が声を漏らせば、彼は間違いなく純を殺すだろう。

 けれど純には叫ぶ気力も声もなかった。これから先、スイを守ることなんて自分にはできないとわかっていた。

 スイは人形を抱きしめたまま、安心した表情で微笑んでいた。純が声を漏らすより先にハコは閉じられた。そのまま溶接されていくスイが中にいるのに、硬く閉じられていく。

 おばあさんがため息をついた。

「ありがとう。」

白い服装の女性におばあさんが言うと、彼女はぺこりと頭を軽く下げた。

 せきこむ声がして見ると、大上が立ち上がった。キナコが抱きついて泣いた。

 純はふと上を見た。建物の天井にはびっしりと髪の毛が絡みつき、さきほど純を誘拐した男たちが縫い付けられるように天井に張り付いている。純はぼんやりハコを見た。白い服の男たちが持っていく。赤須が離れていく。大上が担架で運ばれ、キナコは赤須に抱きついた。

 おばあさんが純の前にしゃがみこむ。謝っていいのか、怒っていいのか、純にはわからない。ただ引っ掻き回しただけじゃないか。何も知らない部外者のくせに、この人の努力を無駄にしたのだ。

「純君。」

 おばあさんは優しく言って、純の肩に触れた。

「怖かったね。よくがんばったね。」

 おばあさんが気遣うように言って、純の肩を優しくさすった。純は首を横に振った。

「俺がスイを外に出さなければこんなことにならなかった。」

 おばあさんは微笑んだ。

「純君。あの子は五百年よりずっと前から、苦難の時を過ごして生きていた子たちの魂の塊だよ。生きることがどんなことか知らずに死んで、親に裏切られ、贄にされた魂たちだった。けれど、純君は光をあげたね。ぬくもりをあげたね。」

 純はいつの間にか泣いていた。おばあさんの手が何度も純の頭をなでた。

「スイをまた置き去りにした。」

 純が声を押し殺すように言うと、おばあさんがじっと黙った。

「純君には、まだ家族がいるでしょう。ご両親や妹さんがいるんでしょう。」

 純はおばあさんを見た。純は唇をかむ。

「あの子を大切に想ってくれてありがとう。でもね、純君を大切にしてくれている人たちもたくさんいるから。忘れないで。純君の命はあの子だけのものじゃない。」

 頭の中にいろんな感情がこみ上げる。純は手を借りて立ち上がった。


 純の怪我はおばあさんがくれた薬草のおかげで始業式までには治った。美加にも律にも心配されたが、純は気のない返事しか返せなかった。友人たちはこの夏の暑さでぼけたんだと笑っていたが、美加だけは笑わずになにがあったか聞いた。

「彼女と別れた。」

 事情を知らない友人たちは坊主頭だということもあり、七恵と別れたんだと思い込んで同情した。七恵はいつの間にか学校をやめていた。

 ある日家の掃除をしていると、長い髪の毛が出てきた。この部屋に一度だけスイが来たことがあったのを思い出した。スイは純が荷造りをするあいだ、もらって使わないで置きっぱなしにしていた、ふわふわの白いクッションの上に座っていた。大人しく、純のすることをじっと見ていた。思い出して純は髪の毛を捨てられず、なんとなくクッションの上においておいた。

 それから特別変わったことはおきなかった。ただ、毎日のように非通知の着信が純の携帯電話に入った。純の携帯電話はスイが持っていってしまったが、カードを再発行すれば同じ番号が使えた。電話帳も知らない間に、自動でサーバーに預かるサービスをつけていたらしいので、復活した。ただ、大上やキナコたちから一度も連絡はない。まるではじめから会ってないようだった。

 大学の机の上で、純は着信履歴の非通知を見た。時間帯はばらばらだ。深夜にかかっているものもある。

「純、あんた大丈夫? 」

 美加が純の隣に座った。

 純は新しい携帯電話を美加に見せた。

「新しくてわからないんだけどさ、非通知からめちゃめちゃかかってくるわけ。どうやったら設定できんの? これ。」

 美加が純の携帯電話を手に取る。

「純、彼女となんで別れたの? 」

 美加が尋ねた。純は机にあごをのせたまま、言った。

「俺にはもったいない子だったんだよ。」

 スイはあんなにも純を慕っていたのに、信じていたのに、純は彼女に何も返してあげられなかった。

「スイの、保護者みたいな人に言われたんだ。俺は、スイだけじゃなくて、他にも生き方があるって。」

 純と手をつなぐときの嬉しそうな顔。安心しきった寝顔。あんなに自分を求めてくれるものには、もう二度と会えない気がする。

「俺にどんな生き方ができても、俺もスイを選びたかった。」

 恐ろしかった。人が殺されるのが、傷つけられるのが。話しも通じない、抵抗も出来ない。災害のようになす術もなく襲いかかる存在だった。それでも純には、スイはやっぱりそばにいたい女の子だった。

 美加が純に携帯電話を見せる。

「これ、最初から非通知拒否設定になってる。着暦にも残らない。」

 美加はため息をついて言った。

「あのさ、もったいないとか言うけど、純にとっては結局その程度だっただけでしょ? もったいないとか、俺には無理とか言うなら、自分はどれだけ努力したの? 彼女に合わせたりした? 彼女に近づこうとした? 」

 美加はずけずけと言った。

「スイちゃんは純に合わせようとがんばってくれたんじゃないの? 」

 講義室の扉が開いて、友人たちが入ってくる。

「また美加が怒ってる。」

「怒ってない。叱ってるの。」

 美加と同じような髪型と服装をした女の子たちが入ってきた。美加が席を移動するために立ち上がったとき、携帯電話が鳴った。純が見ると非通知の文字が出る。とろうとしたとき、講師が入ってきた。純は携帯電話の電源を思わず切った。それなのに、携帯電話がまだ鳴っている。周りから冷たい視線が集まる。

「純、出てあげたら。」

 美加がこそっと言った。

「あんたのカバンからすっごいさらさらの黒髪が出てるんだけど、その子でしょ? 」

 純はカバンを掴むと教室を出た。

 廊下から外に飛び出して、受話ボタンを押した。雑音がし、しばらくすると、うかがうような声がした。吹き出した。電話の向こうで一生懸命説明する声がする。

「ごめん。もう少し待たせるけど、必ず行く。」

 電話の奥で、嬉しそうに笑う顔が眼に浮かんだ。


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