融合した世界
新作です。今回はスローライフの作品です。
『♬~♬~』
スマホから鳴ったアラーム音で目を覚ますと、横に置いてあるスマホのアラームを止めた。
体を起こして欠伸をした私は、ベッドから下りて鏡で髪を整えて、いつものハーフツインの髪型にした。
髪を整え終わったらクローゼットを開けて、この間届いた高校の制服に着替えた。
一昨日に試しで着てみた以来だからちょっと慣れないな。
少しモヤモヤしながら部屋を出た私は、階段を下りて、一階のリビングに入った。
「あら明里ちゃん。おはよう」
「おはようございます、先生」
リビングに着くと、既に何人か座っている椅子の前のテーブルに、先生が朝食を並べていた。
私は空いてる椅子に座って、テーブルの上に置かれている朝食を口にする。
私、天野明里が住んでいるのは、親がいない子供が住んでいる、言わば児童養護施設だ。
小学校の頃に、私の両親が事故で亡くなり、それからずっとこの施設、『ファミリア』で暮らしている。
最初は大変だったけど、もう慣れてきたし、友達も出来た。慣れれば意外と苦じゃない。
朝食を食べ終えて自分の部屋に戻った私は、高校の鞄を持って部屋を出ると、茶髪のショートカットの女の子が部屋の前に立ってた。
「やっほー明里。折角の入学式だし、一緒に行こ!」
「良いわよ」
部屋の前にいたのは、私と同じぐらいの時期に施設に入った高木空良だ。
同じ頃に入ったからか、この施設の中では一番仲が良い。
先月同じ中学校を卒業した私達は、今日から高校生。勿論、学校も同じ。
空良と一緒に玄関に来ると、二つのゴミ袋を持った職員のおばあさんが靴を履き替えていた。
「ゴミ出しですか? なんなら私達が出しますよ」
「あらそう? ありがとうね」
職員のおばあさんから、それぞれ一つずつゴミ袋を受け取った私と空良は、革靴に履き替えて外に出た。
若干広い庭を通ってゴミ捨て場に着いた私達は、ゴミ袋を置いて学校に行こうとした途端、私達が立っている所が一瞬暗くなった。
上を見上げると、大きな生き物が通り過ぎたからだった。
それは、翼が生えた巨大な蜥蜴の様な生き物、ドラゴンだった。
「そう言えばこの時期になると飛んでくるんだったね」
「うん。そろそろ行こ」
私達は空を飛ぶドラゴンを眺めた後、耳の尖ったエルフや、動物の耳と尻尾が生えた獣人等、色んな人達がいる街中を通って学校へ向かった。
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まだ私が生まれる前。五十年以上前かな?
突然私が住んでる世界、地球で世界規模の大きな地震が起きたと思ったら、今度は光に包まれて、なんと違う世界と繋がっちゃったみたい。
繋がったは違うかな? 正確にはくっ付いた……融合かな。
しかもその世界は、ゲームや漫画でお馴染みの、勇者と魔王を中心に、人間と魔族が争う世界。
……なんてことは無くて、むしろ人間と魔族は共存しているとっても平和な世界。
それでも世界が大きく変わった事に間違いは無い。
私が住んでる国も、昔は『日本』って名前だったけど、違う世界の国、『エイリス王国』と融合して、今は『エイニー王国』って名前になってる。
形も大分変わって、昔は船や飛行機じゃないと一番近い国にも行けなかったのに、今は大きな橋で行けるようになった。
あと、融合した違う世界には魔法があって、元々使えなかった地球の人達も徐々に使える人が増えてきた。私も一応使える。と言っても、小さな火を生み出すだけだから、ライター要らずってだけだけど。
まぁ、私が生まれた時には世界はこうだったから、あんま気にしてないんだけどね。
昔は大騒ぎだった世界も、この数年で大分落ち着いてきた。
融合しちゃった以上は、もうこの世界で生きていくしかないよね。
高校に着いた私達は、クラスが貼り出されてる掲示板へ行って自分の名前を探した。
「あ、同じクラスだ」
「ホントだ!」
空良と同じクラスになれて喜ぶ私達は、教室に行って黒板の座席表を見る。
なんと席も隣同士だ。
なんか今日は良い事がありそう。
今日は入学式だけで終わり、空良と一緒にファミリアに帰った。
「あら、明里ちゃん。空良ちゃん。お帰りなさい」
ファミリアの先生が私達に気付くと、私達も「ただいま」と返事をした。
「そうだ。帰って来てすぐに悪いんだけど、カーテンのフックが取れちゃったから、物置でフックを探してくれないかしら? 先生これから夕飯の支度をしないといけないから」
「良いですよ、それぐらい」
「私も大丈夫でーす」
「ありがとう。多分、前に雑貨屋で買ったのがあると思うから」
私と空良は部屋に行って制服から着替えて物置に行った。
中は壁に沿って三つの大きな棚が置いてあって、これのどれかだと思うんだけど。
「何処かな?」
「確か前に見た時、結構小さな袋の中にあったから、見つけるの大変かも」
空良と手分けしてカーテンのフックを探してみる事にしたけど、結構物多いから見つけるの大変そう。
せめて夕飯の時間までには見つけたいな。
探し始めてもう30分経つかな? ぜんぜん見つからない。
「どう明里? そっちにはあった?」
「まだ分かんない。見つからなかったら、先生に言って買うしかないね」
今探してる棚の一番下の段にある段ボールを開けて中を見ると、一番下にカーテンのフックが入ってる小さな袋を見つけた。
「あった!」
「あったの!? はぁ~、時間掛かったね」
「ねぇー。じゃあ先生に渡しに行こう」
袋を取り出したら、段ボールの蓋を閉めて棚に戻そうとすると、私は何か床に違和感を感じた。
「ん?」
物置の床は四角いタイル式なんだけど、この段ボールが置いてあったタイルの一部に、小さな四角い跡がある。
ちょっと気になった私は、興味本位でその四角い跡に指先で触れてみた。
すると、その四角い跡が光ったと思ったら、今度はタイルが光った。
「えぇ!?」
「明里、どうしたの? って何!?」
空良も光るタイルを見て慌てて、私も困惑していると、光ったタイルが少し沈んで横にずれて砂埃が上がった。
咳込む私達は砂埃を払ってタイルに目を向けた。
横にずれたタイルの下から、如何にも頑丈そうな一個の箱があった。
「何だろう? この箱?」
「硬そうな箱だね。しかも金とか付いてて高価そう」
「……これ、何が入ってるんだろう?」
「ちょっと開けてみる?」
「良いのかなぁ?」
気にならないと言えば嘘になるし……。
悩んだ末、やっぱり気になる私は箱を開けてみた。
「これって……」
中に入っていた物、それは一つの帽子だった。




