現在からの旅
「まずどこに行こっか」
「あれだろ、お前写真撮るのが好きだったじゃないか。
アルバムの写真を頼りにするのが一番いいんじゃないか」
「そうだね。
ねぇ、このアルバムの写真を全部私のデバイスにコピーして」
物理アルバムを持ちながらメイロは言う。
「コピー完了です」
「それじゃ、いまコピーした写真の中でここから一番近い場所で撮られた写真はどれで、どこで撮ったもの?」
「No.729、この家の一階、キッチンで撮影されたものです」
「さっそく行こうか」
キッチン、最近使われた形跡はなく、汚れも飾りとして適当な程度しか存在していない。
「えっと作ってた料理は⋯カレーライス。
うーん、無難だね過去の私」
「警告、今日はすでに十分なカロリーを摂取しています。カレーライスを規定量食べる場合明日の食事が緑一色になります」
「わかってるよ、味見して作り置くから許して」
冷蔵庫の中のものではギリギリ足りない、そこで注文する。
「じゃがいも中サイズ2つ、にんじん小サイズ1つ、スパイス一式、はちみつ小瓶」
注文すると5分ほどで配達される。
「じゃあ調理開始!」
玉ねぎ、肉、根菜類を炒める。
コンロは磁力で熱するが、臨場感のためホログラムの炎が出ている。
いい感じに色がついたら水入りの鍋に投入。
「次はスパイスを規定量⋯規定量⋯?」
「おいおい大丈夫か」
「たぶん大丈夫⋯ガイドもあるし⋯あっ!」
うっかりシナモンをひっくり返す。
入ったシナモンの量は分からなかった。
「こうなったら仕方ない、甘口にしちゃお」
茹で上がった野菜鍋にスパイス、油、小麦を投入してかき混ぜるとドロっとしたものになり。
「完成!」
アルバムの通りのカレー。
ライスにかける前に味を確かめると⋯
「うん、あんまい」
「甘いな」
カレーをパックに保存して明日食べることにして、帰路についた。
「カレー作って何か思い出せたか?」
「ぜーんぜん。初めてだよあんな甘いカレー食べたの」
「メイロ様はこのときはナツメグを入れすぎておりました」
「え、同じ轍踏んだってこと?」
テラムの家に帰って、ベッドで眠る。
結局何も思い出せなかったが、まあ強烈な思い出でも無かったのだろう。
刺激のつよい記憶に関連した場所にいけば、また何か変わるかもしれない。
わくわくする、どんな過去が自分にはあったのだろうか。
そう思いながら夢へと落ちていった。




