第12話
今現在、ダンジョン最下層666階にラスボスの部屋らしき物を作り、少女の看病をしている。
歳は9才ぐらいだと思う。
「ハァ…ハァ…ハァ……!」
第三者視点から見れば非常に危ない人に見えるだろう。
僕は荒息を立て、興奮している。
少女に対し欲情してると間違えられそうだ。
(どどどど、どうしよう?!)
相手幼女といえ二人っきりの空間は色々と死ねる。
看病といっても、今幼女は寝てるので寝顔を見てることぐらいしか出来ない。
することないなら着替えさせろって?
無茶言うな!
ただえさえ女性は苦手なんだ!
あの柔らかい肌に触れながら衣服を脱がせていく。
考えただけで口から吐血しそうです。
「克服したと思ったのにな……。再発症するの早くね?」
何か食事を作るのも良いけど、目を離した隙にいなくなりそうで、心配で心配で仕方ない。
しかし、いずれは食べるのだ。
用意しなければ……。
しかし、物凄く心配て中々動けない。
(もし起きて、自分に絶望して舌を噛み切ったらどうする!?
寝返りして運悪く落ち、後頭部に直撃して死んだらどうする!?
もし、まず有り得ないが、誰かがここ来て誘拐し……肉便に……。
鬱だ死のう……)
しかし、マジどうしよう(号泣)
変わり身でも立てるか?
立てなきゃ動けないし……仕方ない……。
今製作中の中でも最高クラスのデーモンを見張りに付けよう。
パチン!
魔法陣から人型のデーモンを1体呼び出した。
「主人なんでしょうか?」
中性的な顔付きに、すらりと伸びる背筋。
雰囲気的に今日からコイツをセバスチャンと名付けよう。
「セバスチャン、僕が離れている間この子の見張り頼むよ。
もし、もしなにかあったら……セバスチャン……スライムの餌にするからね……」
「上々理解しました。お任せ下さい」
僕は食事を用意するため、近くの首都まで買い出しに行った。
<Side冒険者A>
俺の役職は戦士。
まだまだギルドでの日も浅く、初心者というやつだ。
この頃最近になって、新しいダンジョンが出来たと聞いたので、興味本意でそこまで行くことになった。
「なぁ、此処だよな?」
どこで入手したか分からないビラを元に、どうにかしてたどり着いた。
「そうですね……。この地図が間違っていなければ正しいはずです」
コイツは俺と一緒に組んでいる魔法使いだ。
とりあえず周りを探索していると一つ扉が見つかった。
「これだよな?」
「これですね」
扉に手を掛け、引くが扉は開かない。
押すが扉は開かない。
「なぁ、開かないんだけど?」
引いても押しても反応が無い扉を指差し、魔法使いに聞いた。
「故障でしょうか?」
「いや、俺に聞かないで」
「ちょっとすいません」
俺を退かし、魔法使いは扉の近くに行くと突然考えだした。
「横ですね」
そう言って扉を横に引くと、全く動かなかった扉が開き始めた。
「ナイス!」
「どうも」
俺を先頭に中に入っていった。
「なぁ、このダンジョンってスライムしか居ないんだよな?」
「はい、ビラによるとそう書いてありますね。他の階は開発中の様ですが」
スライムといえばモンスターの中でも最弱と呼ばれている種族だ。
実は俺、ギルドに入る前からウルフ族ぐらいなら狩れる実力があるのだ。
今更スライムなんて怖くもなんともない。
それに、今回は魔法使いも居るのだ。余裕だな。
「おや?スライムが一匹このラインの中からコチラを狙ってますね」
足元を確認すると赤い線が綺麗に引かれていた。
どうやらスライムはこのラインから外に出る事が出来ないようだ。
「行くぜ!」
「了解!」
そして俺達はラインの中に入っていった。
しかし、これが間違えだったとは知らなかった。
ラインに入った瞬間、俺達の身体はスライムに喰われた。
そう、数万を越える数のスライムが一斉に襲い掛かって来たのだ。
声を上げることも出来ず、俺達は地下1階でスライムにやられた。
……畜生……。
それが俺の最後の言葉だった。