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死んで転生したら自作最強メイドNPC達と共に異世界攻略やろうとしたらゲームと全く違う世界線でした。  作者: 山田孝彦/ダーヤマ・タカヒコ
第二章 今のあなたに必要な事は仕事をする事でもショタの貞操を守る事でもありません。目の前の仲間を信じなさい。
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第十八話 初めてのお使い……薬草でも届けてれば良いじゃないですか。

 ギルドに貼ってあった依頼を始める……バーバリティは報酬である骨が目当てらしいが……報酬よりもその依頼内容をよく確認するべきだった……。

「いけぇえええええ!!バーバリティ!!」

「わんわん!!」

 クレアトラ街から離れていない、とある平原で依頼をこなす……骨を投げて遠くへ飛ばすとバーバリティが足と手を地面につけ四足歩行で走り抜ける……どういう状況だ!!

 すると、骨を咥えてこちらに戻ってくる……お前は犬か……いや、犬だけどさ……。


「どうだね?私の作った魔力骨は?スケルトンの骨に魅惑の術をかけた……これを量産しペット業界に進出するのだ。」

「えぇ……これ人の骨?」

 依頼人は魔法関係のアイテムを取り扱う店の女主人だ……名前は『ミスカイル』と言い街の噂では研究の為なら手段は選ばないらしい。ゲームやアニメじゃ、よくいるタイプ……変な事に巻き込まれそうだが……。

「しかし、犬が来ると思っていたが……まさか獣人とはな……だが、効果は的中……素晴らしい……。」

 今度から依頼内容はちゃんと見よう……電化製品のマニュアルを見ずに勘で使っちゃう癖もやめよう……ゲームの利用規約も見ないで同意するのも今日までだ……なんて愚かなんだ僕は……。

「へっへっへ……ワン!」

「よしよーし……今度は私の番だ。」

 気を落としていると、カストディーアが骨を拾い遠くの山に狙いを定める……。

「や、やめろおおおおおおおおおおお!!」

 こいつの馬鹿力じゃ余裕で国境を越えっちまう!!それだけは避けねばならない!!

「おらああああああああああ!!」

 カストディーアが投げると案の定骨は音速で飛ぶ……もう見えねぇ……。

「バウバウ!!」

 バーバリティが目を輝かせて骨の方向まで信じられない速さで走る……バフがかかっているだと?

「ずあああああああああああああああ!!」

 やばい……このままではバーバリティが不法入国してしまう……犯罪者になってしまう前に止めるんだああああああああ!!

 早速、バーバリティの後を駆ける……速すぎるってもんじゃねぇ!!

 

 バーバリティの足は早いが……レベルはこちらの方が上だ……負けてたまるかあああああああああああ!!

 未だバーバリティの背後を走る、スタミナがゴリゴリに削れる……どんだけ足速いんだよ!!あの骨のせいか!?

「ぐおおおおおおおおおおおお!!」

 最後の力を振り絞りバーバリティの横に並ぶと彼女に抱きつき阻止する……犯罪をこの手で止めた。


 ——一方帝国領内の森の中では……。

 例の骨は『チュドーン』と大きな音を立てて地面に突き刺さる……。

「えぇ……。」

「何これ?」

 見回っていた帝国兵士がその骨を発見すると引き抜こうとする。

「しっかし抜けねぇな……。」

 骨は中々引き抜けない。

 

「な、なんだ?」

 森の中から犬型のモンスターが数百体以上姿を表す。

「おい……あれ。」

「な、何?」

 召喚門が出現しフェンリルが顔を覗かせる……。

「「あああああああああああ!!」」

 兵士達はその場から退散した。


 ——そんな事はつゆ知らずハルマ達は依頼を終えようとしていた。

「はぁ……はぁ……やっと捕まえたぞ……バーバリティ……。」

「あー私の骨がぁ……。」

 そんなこと言ってもあと少しで犯罪者になるとこだったんだぞ?ギルド登録を終え速攻で取り消されるとか……退会RTAもいいとこだ……。

「おーい大丈夫か?」

 カストディーア達が駆け寄ってきた……なんて、呑気な……。

「わりーわりー、加減が分かんないんだよ。」

 こいつ反省してねーな?

「全く……悪いで済まないぞ……。」

 己が脳筋だって事をもうちょっと理解してもらわないと困る。あと、どれほど己の力を認識してるのだろうか……ずっとこの調子で続けられると俺の体が持たん。

 

「でも、依頼は大成功だよ。」

 ポンテ・モーレはミスカイルの方を指さす。

「ほほう……これはこれは……犬であれば……なるほど……いいぞ……」

 なんかよく分からないが、メモを取っており、独り言が尽きないようだ……。何をメモしてるんだ?


「ヤマザキファミリアよ、今回の依頼を君達に頼んで正解だった。」

「お、おう……。」

 ゆうて何もしてないけどな?

「これが報酬だ、いいデータが取れた……金額も少し弾ませたからな。」

「あ、ありがとな。」

 金貨数枚と骨をもらった……結構ヌルッと終えたな……。

「ほ、ホネ!!」

「うお!!」

 報酬の骨にバーバリティが反応する……早くアイテム袋に入れなければ……。


 ——依頼を終え次の仕事をもらうべく再びギルドへ……移動時間が地獄だな……ファストトラベルなんて使えないし……ミトラスに頼ってばかりいると『少しは自分の力で何とかして下さい、だるいです。』って言われる始末だ……確かに転移魔法はMPを使うし、転移系マジックアイテムも存在するが、回数制限が設けられていてあまり使いたくない……FOOには『転移塔』というものが存在し通貨があれば好きな時に転移できてたけど、そんな便利なものはこの世界にはない。

 

 ——クレアトラ街に戻るとバーバリティが四つん這いになって地面に顔を埋める……何してんだ?

「クンクン……。」

 こいつ犬として完成されてるだろ……。

 バーバリティが『はっ!』と顔をあげる。

「き、緊急事態です!!」

「どうした?」

「バイアトリットが瀕死になっています!!」

「な、何いいいいいいい!!」

 バーバリティのスキルに『レスキュー犬』がある。フィールド上において分裂し遠くに離れたパーティやメンバーが緊急事態の際に知らせるスキルだ。

 急いでバイアトリットのいる出店まで走る……確か、クレアトラ街で商いをするとセンシアから聞いたが……安全圏でいるはずのこの街で瀕死になるなんてあり得ない……これからは一人で任せるのではなく誰かメイドを一人つけてやらねば。


 全力で疾走し、ただひたすらに祈っていた……。悪いことは起きないでほしい……戦闘能力も乏しい彼女を送り届けた僕の責任だ……野盗か何かに襲われたか……とにかく無事でいてくれ。

 

 クレアトラ街の細い道に行くとそこにはバイアトリットが……。

「しっかりしろおおおおおおお!!」

 彼女は倒れており意識が朦朧としていた、ステータスにはスタミナが尽きており急いでスタミナ回復のアイテムを飲ませた。


 しばらくすると起き上がり周りを見渡し始める。

 彼女の説明をすると、バイアトリットは獣人であり『ポコテール』というタヌキ型だ。職業は『商人』でありプレイヤーに物を売る事が出来る、ただそれだけなのだが、職業レベルが上がると『品質管理』というものがある、FOOのアイテムにはレアリティが分からない物も存在するためそれを鑑定する必要がある為だ。この場合『鑑定士』が有利だが、物を売れる訳ではない。商人に鑑定を任せるとたまに間違えたレアリティで出されるため、ネット上では商人という名の詐欺師と言われている。もちろんレベルが上がれば鑑定士並みの力は手に入るが、バイアトリットにはまだその領域にはいない。

 

「バイアトリット、何があったんだ?!」

「ご、ご主人様あああああ!!」

 すると、泣き始め胸に顔を埋めてくる訳だが……きっと怖い事があったのだろう。

「さぁ、話すんだ。」

 仲間を泣かせるとは……事と次第によっては許さん。

 

 ——遡る事数時間前。

「いらっしゃいませー、ゴブリンの巣穴近くに自生したマンドラゴラはいかがですか?」

 出店にはマンドラゴラが並んでおりカゴの中で仲良くしている。言葉は通じないものの暇な時はバイアトリットとコミュニケーションをとっている事がある。

 売れ行きは上場であり食べ物になる他、錬金や調合で薬にもなるため意外と買っていく人が多かった。

「ヤァ、お嬢さん。」

「はい?」

 すると、変な格好をした男が現れる。スーツというべきだろうか……この世界の人間とは少し違うように感じた。

「その、マンドラゴラはいくらかね?」

「一本銅貨3枚です。」

「ほほう……素晴らしい値段だな……。」

 すると、懐から剣を取り出す。その懐には入りきれないはずなのに、にゅっと出てきたのだ。見た目はボロボロであり明らかな価値を感じない。

「どうだね?物々交換だ……この剣は金貨10枚の価値がある、君の売っているマンドラゴラを全て買おうじゃないか。」

「き、金貨10枚?!」

「そうだ……どう考えても乗らない手はない。そのマンドラゴラを全て買ったとしても銀貨5枚ほどだ。こんなに上手い話はないぞ?」

「か、買ったああああああ!!」

「毎度あり。」

 男の手には持ちきれないほどのマンドラゴラが溢れいてる……カゴの中から寂しそうにバイアトリットを見つめていた。

『ママー』

 マンドラゴラが喋る。

 

 そんな言葉を聞かずバイアトリットは急いで武器屋に行き、買い取りをしようとすると。

「うーん……こんな剣、銅貨一枚にもならねぇよ。」

「ファあああああああああああああああ!!」

 

 そして、出店にトボトボと戻る……。

「ああ……なんて事でしょう……これではご主人に合わせる顔がない……私なんて……私なんて……うう……。」

 そこから長時間落ち込みお腹の減りにも気付かなかった……。


 ——と、いうのが全貌なのだが……。

「それってさ……バイアトリットが悪くね?」

 ヤミコが的確に意表をつく。

「まぁ……仕方ない……バイアトリットは『おバカ』だから。」

 ポンテ・モーレが擁護する、そうだ……おば……素直だからこそなってしまったのだ……。

「ゆ、許さん……よくも、よくも……。」

「ご、ご主人?」

 バイアトリットが目を赤く腫れさせながら僕の顔をまじまじと見る。なんて……事だ……許せん……こんな顔をさせるなどと……。

「許さんぞおおおおおおおおお!!素直なのをいい事に、利用しやがってええええええええ!!野郎ぶっ殺してやらあああああああああ!!」

「「「えぇ……。」」」


 ——例の男は荷馬車にマンドラゴラを詰めどこかへ向かっている。

「ふんふん〜しっかし良いカモだな……正直騙される訳ないと思ったが……意外といるものだ……。」

 鼻を鳴らしながらご機嫌な様子だが……ここまでだ……生きて帰れると思うなよ?

「待てえええええええええええ!!」

 後ろからドガガガガガガガと足を鳴らしながら荷馬車に近づく、今は僕とバーバリティだけであり、バーバリティに首輪をつけリードを持っている状態だ。彼女の鼻を頼りにここまで来たぞ……。

「なんだね?平凡な人間。」

「うるせええええええ!!マンドラゴラ返せ!!ボケェえええええええええ!!」

「は?まさか……あの『バカタヌキ』の主か?」

「タヌキじゃねぇえええええ!!バイアトリットっていう名前があんだよ!!殺すぞオラアアアアアアア!!」

「えぇ……。」

 男は困惑した。

 

「テメェ!!よくもうちのメイドを騙しやがったな!!覚悟はできてんだろうな?!痛いで済むと思ってんじゃねぇぞ?!」

「ふん!あんなもの……騙される方がいけないのです。」

 この野郎……立場を分からせてやる。

「やれ!!バーバリティ!!」

「アイアイサー!」

 すると鉄拳制裁が始まる。バーバリティが馬車に乗り込み男の顔面をボコボコにする。

「ま、待て!!ぐはあああああ!!」

 

 ——数分としない内に男はノックダウンした。

「わ、分かった……私が悪かったよ!!」

「ああ?お前、謝れば済むとか思ってんじゃねぇだろうな?!誠意を示せって言ってんだボケ!!」

 

 恐喝してる中、バーバリティに変化が現れる……レベルが上がったようだ。ステータスを確認すると特に力と賢さが上がっていた、以前賢さはそんなに上がっていなかったが、インテリ犬になったおかげで伸びが良い……何かと性格改変も役に立つようだ。

「騙し取ったマンドラゴラは全部返す……これからの行動は改めるから!!私を帰してくれ!!」

 男は土下座し懇願してくる……それが貴様の誠意か?

 

「バーバリティ……本当にこいつ悪魔なのか?」

「はい、間違いありません。」

「な、なぜそれを!?」

 話が急に変わるが……説明すると、交換したボロボロの剣の匂いをバーバリティに覚えさせ追跡した訳だが、匂いがどうにも悪魔臭いとの事だった……これはいつしか我々の脅威になり得るので……制裁ついでで聞いておこうと追ってきたのだ。

「んで?悪魔がクレアトラ街で何してんだ?」

「くっ……おのれ……そんなもの口が裂けても言わんぞ!!」

「あっそ、バーバリティ。」

「はい。」

 バーバリティはクソデカハンマーを取り出し、悪魔を叩き潰そうと振り上げる。

「あああああああ!!分かった!!分かりました!!」

 お前アホやなー(ブーメラン)。

「私はただ、このクレアトラ街を視察するように言われた悪魔でありまして……なんでも日雇いの身でありますから、上の事は分からないものでして……お金もありませんし……貴方のメイド様の商品を騙し取ったのは、ボロ剣一本で騙し取れれば良いかなっていう……なので、マンドラゴラに関しては個人的なアレでして……それで……」

 悪魔は早口で事の経緯を話す。

 また、このパターンか……前もアリスの屋敷にいた悪魔も下級だったな……あいつはマルクレイブ卿に雇われていた訳だが……だが、解せないな……マルクレイブはどうやって悪魔界に取り入ったのだ……まぁ、過ぎた話とはいえ聞いておくべきか。

「なぁ、マルクレイブ卿って知ってるか?」

「え?ああ、はい……ここ最近私たち悪魔界に顔を出してきた聖王国の貴族だとしか……でも、突如謎の失踪をしたのでしょ?」

 失踪……あっちではそう捉えられてるのか……あいつは僕が倒したけど、いつでも蘇生できるよう肉片もとい岩片を持っている……とはいえ、また脅威になるからな……今は蘇生させず様子を見るとしよう。

「そうか……では、マルクレイブを手引きした人間は知っているか?」

「いえ……ただ、聖王国の人間である事は間違い無いのでは?帝国とも繋がりのある人間でしたので聖王国の中でも偉く高い地位にいると思います。」

 なるほど、確かにたった一貴族が他国と繋がりを持つのは厳しいだろうな……。

「分かった、ありがとう。これは選別だ。」

 マンドラゴラを二匹悪魔に手渡す。

『パパー』

 えぇ……マンドラゴラって言葉覚えるのか……なんかごめんな……。

 

「良いのですか?」

「ああ、情報料だ。」

『パパー』

「あ、ありがとうございます!!」

『パパー』

 すると、マンドラゴラを手に持って悪魔はスタコラ走って行ってしまった。

 そんな事より、バイアトリットの奴はマンドラゴラに何を覚えさせたんだ?


「良いんですか、ご主人?」

「ああ。無闇に命は奪わない……よほどの事が無い限りな。」

 とりあえず、今はギルドの仕事を優先しよう……マンドラゴラも取り返したし……一件落着……でも、今後はこのような事がないようにバイアトリットには何かアイテムでも持たすか……それと、鑑定士の職業も覚えさせなければ……彼女は防犯という要素を高めないと……そのためにはバーバリティとポンテ・モーレのレベルを早いとこ上げる事だ。何事も順序が大事であり、マルチタスクの苦手な僕では一つ一つ実直にこなさなくてはいけない。


 十九話に続く……。

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