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第十二 木漏れ日
冬の街はきらびやか。
あちこちに溢れるイルミネーション。
赤や青の星のかけら。
人々は、それを見るためここへ来る。
どうして気がつかないんだろう。
強調しすぎる光に魅せられて
身近な木漏れ日には目を向けない。
どうして気がつけないんだろう。
いつもあるものに意識は向かず、
新しいものには引き寄せられる。
それがいけないわけじゃない。
けど、なんかもったいない、損してる。
そんな気がして仕方ない。
きっとどこかで損してる。
家族、親友、先生、恋人……。
そういう人って身近すぎて
時々気づかないことがある。
いてくれるだけで嬉しいのに、幸せなのに、
その喜びに気づけないことが。
きっとそういうときってさ
失ってから気づくんだ。
葉っぱを失くし、裸になった
枯木を見たときみたいにさ。




