真っ黒
「だから、原因不明なんだってさ」
金髪のロリ美少女エルは困ったような笑みを浮かべレイスとフィリノに答える。その表情はどこかレイスに彼よりも年上という事を再確認させてくるような大人の笑みだった。
「つまり... なぜ悪魔が国内に現れたのか理由は何もわかっていないってことですか!?」
「だから、そうだってさっきから言っているだろう!」
何か素晴らしい発言をしたつもりのレイスにエルは少しばかりの怒りを込めながら言葉を返すと、フィリノが「そんなんだから、魔法構造学...(?)に入れないんだよ。」と、必殺の一撃をレイスの心に突き刺す。自分がそこまで頭が良くないことを理解しながらも、『それを今言わないでくれよ』とレイスは心の中で本気で思う。
「うぅぅ、フィリノさん... はぁ、ともかく話を戻しますと『原因は不明!』なんですね? なにか手がかりになるものはないんですか!?」
「...興味ありげだね?」
目をキラキラと輝かせるレイスにエルは若干『私こいつ苦手かもしれんな』と考えながら、レイスに言葉にどう答え返すか困っていると、
「はい。一応僕がもつ初めての事件なんで。」
意外にも最後の『僕が持つ初めての事件なんで』以外の『はい』のみを落ち着いて返してくることにエルは少しの関心を抱くがすかさずフィリノが
「レイスくんはワンパンチでやられちゃったけどね!」
と元気よく天然発言をしたことによりエルの脳内からレイスの評価の変更案が消えさる。
「フィリノさん...」
レイスの気落ちした姿に彼はイアンと同等のおもちゃになる可能性があるとエルは期待しながらも、
「フフ、君たちはいいコンビになるね。あとレイスくんはこの事件の捜査班に入っていないけど、特別に二人には教えてあげる。」
とレイスとフィリノに興味を持たせる発言をする。
「何をですか!?」
意外にもフィリノが目を輝かせエルに向かって身を乗り出す。そのフィリノの姿をレイスは横目でチラチラと見ながら心臓の鼓動を体全体で感じ、これを誰にも悟られたくないと強く鼓動の止まらない心のなかで思う。そんなレイスの姿をエルは横目でスッと見ると彼女は事件の秘密を話しだした。
「これは、口外禁止。わかったね二人共」
「はい」 「うん!!」
冷静に返事をするレイスはともかく、何故かいつものような落ち着きがないフィリノにエルは少しの不安を覚えていた。最近のフィリノは集中力がなく落ち着きもない。それに加えぼんやりすることが増えた。何かいいことがあったのだろうか? それとも誰か恋人でもできたのだろうか? 『これは後で絶対聞いてやる』
エルは心のなかで強く誓うと、事件の不可解な点をレイスとフィリノに語り始めた。
エルの語った内容というのは、国内に悪魔が現れる数時間前に黒フードのいかにも怪しい男が村に来ていたこと、そしてその男が村の結界付近で数日ウロウロしていたことなどが、村の住人によってわかったのである。
「つまり、その男を探し出せば事件の真相に近づくってことですね。」
「そうなるね」
エルがレイスの呟きを肯定すると
「でも、その黒フードの男をどう探すの?」
とフィリノがエルに問を投げかけると、エルはニヤッとしてフィリノの問に答える。
「君たちは、切り裂き魔事件を知っているかい?」
「あっ!」
レイスとフィリノが同時に顔を上げ声を出す。
「もしかして...」
最初に口を開いたレイスにエルは頷くと
「そのとおりだ、切り裂き魔の犯人は黒フードの男と分かっている。」
「もしかして、その切り裂き魔が犯人なんですか?」
レイスの目を直接見ながらエルは首を振る
「それはわからない...だが必ず何か関係性はあるだろうね」
頬杖をつきながらエルは答える。手をグーにしてレイスは立ち上がると
「これは...すごいぞ!! 切り裂き魔と悪魔の召喚をした人物が同一だなんて!!」
「召喚?」
「同一人物? どういうことだいレイスくん?」
「ぃ、いえ、これは僕が...ちょっと何か思いついたといいますか...ハハ、気にしないでください...」
エルとフィリノが目を丸くしながらレイスに問うが、レイス自身自分が何を言ったかわかっていなかったが面倒なことになることは容易に想像できたので適当な理由を答える。そんなレイスにまだ納得がいかなそうなエルとカレーについてきたサラダを口にしているフィリノをレイスは気まずそうに眺めていた。
少しの沈黙が続い後エルが口を開くとレイスとフィリノを真剣に見つめる。そんなエルの姿に二人の背筋は自然と伸びる。
「明日には公式に通達があると思うけど、レイスとフィリノにはこの黒フードの男の捜査をしてもらうことになったから」
「...えぇぇぇぇ!!」
と叫んだのはレイスだけであって、さっきとは打って変わってフィリノは興味なさげに「わかった」と答えただけであった。
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『僕にとっての初捜査!!』
『やったねレイス、僕もとても嬉しいよ』
『活躍できるといいな!!』
『怪我だけは気をつけてね。前回みたいに無茶はしないように。ボクノカラダナンダカラ』
『ありがとう、真っ黒色の僕!!』
闇のなかでレイスは体育座りをする黒髪の少年と向き合っていた。




