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SNSに思いをぶつけたら奇想天外な人生を歩むことになりました  作者:


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密入国者か正義のヒーローか 2

 国へ入国させても問題がないかを調査するのが出入国管理庁のはずですから、どちらかと言えば厳しい態度で臨んでくるお役所というイメージがあり、警察署以上に狭くて暗い取調室ような所へ入れらて詰問される所だと思っていた三人。


 ところが応接室のような立派なソファーが並ぶ部屋に入れられ、ティーコージーが被せられたティーポットと立派なティーカップがテーブルに並び、温められた紅茶用のミルクとクロテッドクリームやジャムが添えられたスコーンまで置かれている。


 ごつい体のプロレスラーのような職員が、


「なぜこの国へ来たのだ!」


と、厳しい取り調べを行うのかと思っていたら、女性の出入国管理庁長官が目の前に座っている。考えていたこととのギャップにも驚いたのですが、それ以上に女性が長官を務めていることがもっと驚きでした。一応は女性の社会進出が必要だと口では洗浄党は宣伝していますが、オルダヤの国家の重要なポストは今でも男性で占められていますから。


「私はここで長官を務めるコサナ・ヒカイラと言います、ウーム・ペトロさんはペト、ジェット・ブルートさんはブル、ミッドハット・ホールさんはハットとお呼びしたらよろしいのかしら。あなた方三人についてはヒカルゴ大統領のアリス・ホフマンからの指示にもとづき対処することになっています」


「え? 取り調べではなく、もう私たちの処分は決定しているということですね」


 ペトが長官に尋ねると笑みを浮かべながら一度だけ首を縦に振り、どのような処分が決まったのかを話し始めた。


「あなた方三人をオルダヤへ強制送還することは、現状の外交事情から言ってかなり難しい状態です……」


 警察署でも同様の説明を聞いていた三人は、密入国者なのに送り返すことも現状では難しく、だからと言ってこのまま拘置施設等に入れておけば費用もかさむ。だから大統領の命令で処刑されるのだろうと考えたのですが、


「あなた方三人を当ヒカルゴの客人として歓迎いたします」


 三人の頭の中は〝?〟マークだらけになった。客人として招かれる理由などあるはずがなく、密入国者、たまたま流れ着いた不審者、よくて政治的迫害から逃れるための難民といったところなのだから。


「すみませんが、私には意味がわかりません」


 ペトが三人の代弁をするように長官に尋ねると、長官はその理由を答えてくれた。


「オルダヤは国民の多くが一丸となって洗浄党を支えていると聞いていたが、あなたたちは洗浄党を真っ向から反対しているし、独裁国家だとも言っておられる。そこでオルダヤ内の本当の様子、洗浄党の実態を生の声として大統領が聞きたいそうなのです」


 ――洗浄党はオルダヤの政党でヒカルゴとは何の関係もないはず。たしかにオルダヤ国内では洗浄党に対するちょっとした悪口であっても、絶対に許してはくれないほどの独裁体制が敷かれている。このこととヒカルゴとは何か関係があるのだろうか。そういえば拘置所で話した警察官たちの言動からは、洗浄党にかなり興味があるように感じたし。


 ハットはこのようなことを考えていた。


 とりあえずは処刑されずに済みそうなので三人ともホッとはしているが、本当にたったそれだけのことを聞くために大統領と話をするのだろうか。ヒカルゴの大統領が洗浄党に興味があり、同じような独裁国家を目指したいと考えているから話を聞きたいのかもしれない。


「この後、大統領府へ移動していただき、大統領と直々にお話をしていただくことになっています」


 しかし逮捕された時もそうだったけど、とにかく展開が早すぎて付いていくことが難しくて目が回って嘔吐しそうだ。アナログ時代のゆっくりとした大河のような流れから、デジタル時代になって大河はなくなり小さな側溝が無数に、そして鉄砲水のように激しく流れる、そんな世界に変化したようです。


 スコーンを食べ終わりお茶を飲み干すと、出入国管理庁の職員にエスコートされて黒塗りの大きな車に乗せられた。車には出入国管理庁長官も同乗しており、車の前後には白バイ隊が付き添っている。何だか訳がわからないうちに偉くなったような気分になりながらも、これまでに乗ったことがない高級な車のシートにお尻を落ち着ける場所がわからず、妙に身体を固くして車に乗せられた三人は大統領府へ移動した。




 大統領府に隣接する公邸に招かれた三人。内装は落ち着いた色合いだが調度品は美術館と見間違うほど豪華な物が並び、まるでヨーロッパの宮殿に招かれたよう。そして大統領以下ヒカルゴの首脳たちは立ち上がってハットたちを出迎えてくれた。


 給仕にエスコートされて着席したが、目の前には豪勢な料理でテーブルが埋め尽くされている。まったくの場違いな空間で落ち着かないし、どう振舞えば良いのかもわからない三人。体を小さくしてちょこんと座るしかなかった。


 三人の目の前には大統領や副大統領、中央議会の議長に諜報機関の長官たちが座り、その横にも大臣たちが並んでいる。未成年のハット以外にはワインが注がれ、大統領の簡単な挨拶が終わるとまるで晩さん会のような光景が繰り広げられた。

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