表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完結●断罪終了後に悪役令嬢・ヒロインだったと気づきました!詰んだ後から始まる逆転劇  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/47

29:逃げ場なんてないのに~マリー~

「マリーさま、何をおっしゃるのですか? まさかそんな卑怯なこと、騎士である自分がするわけが」


「もういい、ジェフ」


スコット皇太子が被っていたフード脱いで、ジェフの方へと振り返った。その瞬間、ジェフは「殿下!」と口を動かしたのだろうが、あまりのショックで声が出ていない。


ジェフからすると、まさかここにスコット皇太子がいるとは思っていなかったのだろう。衝撃的過ぎて、顔色まで変わっていた。


すると。


今度は扉がものすごい勢いで叩かれた。

ジェフはハッとしたが、返事をしたのはスコット皇太子だ。


「開けていい」


怒鳴るように叫び、鉄の扉が開くと。

ノートル塔の職員が、慌てた顔で中を見て、そこにスコット皇太子がいることに驚きながらもジェフに報告する。


「リリアンさまが見つかりました」


その言葉にいよいよ顔色が青くなったジェフだったが、まさかの行動に出た。腰に帯びていた剣を抜くやいなや、私に駆け寄り、首に腕を回したのだ。


それは……あまりにも咄嗟の出来事。


スコット皇太子もすぐに剣を抜き、構えた。さらに大声で「警備の騎士を呼べ!」と叫んだ。ノートル塔の職員は「ひいいい」と大声を上げた。だがすぐに少しだけ開いていた鉄の扉が、一気に複数人の騎士により開けられる。


首に回された腕の力は強く、私の手で掴んだところでどうにもならない。ジェフはスコット皇太子、開け放たれた入口に群がる騎士達に目を向けながら、文机への方へと後退した。


逃げ場なんてない。ジェフは何をするつもりなのか。


「ジェフ。やめるんだ。今ならまだ戻れる。わたしもお前が剣を向けたことには目をつむろう。わたしとお前の仲ではないか。そんなこと、お前の本意ではないはずだ。わたしとお前の友情は」


「黙れ!」


これまでのジェフとは思えない、怒りを帯びた低い声だった。スコット皇太子もこんな声を聞くのを初めてだったのだろう。完全に固まっていた。


「友情だと? ふざけるな。自分は一度も貴様に友情など感じたことはない」


ジェフの言葉に、スコット皇太子の顔が悲しそうに歪む。だがそれにはお構いなしで、ジェフは話し続ける。


「子供の頃からずっと、貴様を守る近衛騎士として、強制的に貴様と一緒に育てられてきた。何にもおいて、貴様を優先し、守ることを叩きこまれたきたんだ。だが貴様は年齢が近いことから、自分を近衛騎士であり、遊び相手として扱った。だが、そこからが地獄の始まりだ」


吐き捨てるようにジェフは言い、スコット皇太子を睨む。


「お茶の時間だ。好きな物を食べていい。そう言ったくせに、自分がお菓子を選ぶと、『それ、美味しそうだから、食べたいな』と言う。おもちゃで遊ぶ時も、本を読む時も、なんでもそうだ。自分が選ぶと貴様はそれを欲しがる。……マリーさまだってそうだ。最初に見つけたのは自分だった。だが自分が目をつけたと分かると、また貴様に奪われる。だからバレないようにしていたのに。貴様はそういうところには鼻が利く。そして自分に尋ねた。『ジェフ、あの令嬢のこと気になるのか? わたしも気になるよ。美しい方だ』と」


「ジェフ、違う。わたしはそんなつもりでは」


「うるさい。話しているのは自分だ!」


間違いなく不敬罪に問われる状況だが、ジェフの強気な言動は変らない。それに対してスコット皇太子は、集まっている騎士を動かすことなく、ひとまず話を聞いている状況だ。


「自分の気持ちを知りながら、あっという間にマリーさまと婚約を結び、挙句、マリーさまの護衛に非公式でつけるなんて。貴様は悪魔だ!」


容赦ないジェフの言葉に、スコット皇太子の顔が歪む。警備の騎士達にも緊張が走る。


「だがな。傑作だな。せっかく婚約したが、マリーさまの気持ちは貴様になかった。ざまぁ見ろだ。そこで自分は姉が読んでいた巷で流行している物語について知った。それはフィクションで登場する王太子が、平民出の主人公の娘を愛し、自身の婚約者を断罪する。そして平民の娘と結婚するという物語だった。平民出の娘は、王太子の婚約者からいじめられていると告げ口をして、王太子の心が婚約者から離れるように画策していた。本当はいじめなんて受けていないのに。ヒドイ話だと思ったが。使えると思った」


使えると思った。

ジェフが使えると思い、とった行動こそが、スコット皇太子への嘘の報告だった。


護衛をしていてジェフは気づいた。リリアンと私がしきりと絡むことが多いことに。廊下でぶつかったり、食堂でハプニングがあったり。それはすべて偶然の事故。それを必然として捉えることにした。つまりは私がリリアンにいじめをしていると。


それをスコット皇太子に報告することで、一つの結果をジェフは導こうとしていた。


まずはスコット皇太子にリリアンへ目を向けさせる。さらにジェフ自身がリリアンに関心を寄せているように思わせた。次に私に対するマイナスの印象を受け付ける。


こうすることで、スコット皇太子の関心はリリアンへ移る。同時に私に対する愛情がなくなるだろうと。そして物語のように、スコット皇太子が私をリリアンへのいじめで断罪し、婚約を破棄する。


そうなるよう、画策したと明かした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ