表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完結●断罪終了後に悪役令嬢・ヒロインだったと気づきました!詰んだ後から始まる逆転劇  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/47

19:誰が……?~マリー~

部屋に入ってきたリリアンは、私を見て固まっている。


それは……そうだろう。この姿なのだから。

あまりのみすぼらしさに呆れているのかもしれない。

でもそれは仕方ない。例え見た目がみすぼらしいとしても。自分の中で育んできたものは、貶められることはない。コネリー夫妻は私のことを大切に育ててくれた。男爵令嬢として常に品格を忘れず、凛としていることを。


だからきちんと挨拶をした。

例え、素晴らしいドレスを着ていなくても。


私の挨拶を見たリリアンは……驚いていた。でもそれは「ドレスも着ていないあなたが、何、優雅に挨拶をしているの?」という衝撃によるものではなかった。私の挨拶に応じた後のリリアンは、私のために立派な椅子を用意するよう、ジェフに頼んだ。それだけではない。お茶まで運んでくるよう伝えたのだ。


リリアンからお茶まで運ぶよう伝えられたジェフは……分かりやすく、狼狽していた。でもリリアンは腰に手を当て、当然という態度だ。


その様子を見て、思わず微笑んでしまった。


すべての用意が整うと、リリアンと向き合い、椅子に座った。久々の上質な紅茶の香りに、心が和む。リリアンは紅茶を一口飲むと、私を訪問した理由が二つあると言った。


二つ。


私が無実であると証言してくれる――そのために来たのかと思ったら……。


卒業舞踏会の場で、断罪されたのに何も言い返さなかったのはなぜか聞きたかったと言われた。無言でいたからこそ、様々な嫌がらせ、庭園の件、その全てを認めたも同然と皆に思われたのではないか。なぜ沈黙を貫いたのかその理由を知りたいというのだ。


その言葉を聞いた瞬間。


そこを気にしてくれていたのかと、思わず感心していた。同時に、断罪という言葉をリリアンが使うことで「あ、乙女ゲームっぽいな」と前世の自分が思っている。


あの時、無言でいたのは、庭園での記憶がなかったから。だから弁明できなかった。それ以外の過去の嫌がらせうんぬんについてまで、その時は正直、頭が回っていない。


自分は……冷静沈着なタイプだと思っていたし、周囲からもそう見られていた気がする。でも実際はなんてことない。突然の断罪に動揺する、18歳の男爵令嬢に過ぎなかった。


思わずいろいろな思いが胸に沸きあがるが、弁明しなかったその理由。隠す必要もないだろう。正直に話そうと思ったので、答えることを伝えると、リリアンは少し拍子抜けしている。だがすぐもう一つの理由についても明かした。


そう、私の無実を証明したいという件だ。庭園での出来事を、何が起きていたのか話すと。


それについては今朝、デレクから聞いている。だから一瞬、反応が遅れてしまった。しかもなんだか薄い反応になってしまった気がする。焦ったが、私より大いに反応したジェフにリリアンの関心が向かってくれたことにホッとした。


ジェフの方をジロリと見たリリアンが視線を私に戻したので、私は「無実を証明してくださるのですね!」と椅子から立ち上がり、懸命に驚きをアピールする。その様子にリリアンは満足そうになり、そしてこう告げた。


「もちろん無実であると証明します。それに……」


そこでリリアンは何か言いかけたが、飲み込み、「まずは弁明しなかった理由を教えてください」と聞かれた。何を話そうとしていたのか。それは気になるが、ひとまず私があの卒業舞踏会の場で無言だった理由を話した。


つまり、気づけばリリアンが倒れていた。手に私は血のついた石を持っている。周囲に誰もいなく、状況から判断すると私がリリアンを殴った可能性もゼロではないと思った。でも記憶がないと言っても信じてもらえないだろう。だから何も言えなかった。そして過去の様々な件については……。自分としては嫌がらせのつもりはないが、リリアンがどう感じているか分からないため、違うと否定しきれなかった。ということもあるが、正直なところ、あの場ではそこまで頭が回らなかったと打ち明けた。


これを聞いたリリアンは……。


「そうだったのですね。過去の様々な件。今、マリーさまがお話くださったこと、私も同じように感じていました。ですから、間違いありません。マリーさまは私に嫌がらせをしていません。出会い頭にぶつかったのも偶然です。紅茶がかかってしまったのはただの事故。スープの件はハエがいたのですから。むしろ私が感謝する件ですから」


そうか。リリアンもそう思っていてくれたのね。

そのことに感動するのと同時に。

私は悪役令嬢でリリアンはヒロインであるのだが。

なんというか、敵ではない、信じても大丈夫なのではと思えた。


過去のあれこれはすべて誤解であると、お互いの認識が一致している。だが……。


「そうなると、誰がスコット皇太子さまに告げ口……というか、勘違いだったのかもしれませんが、偽の報告をしたのでしょうか? まあ、スコット皇太子さま自身が目撃していた可能性はゼロではありませんが……」


リリアンのこの言葉に、私も考え込むことになる。リリアンと私の間に起きたことを、身近で見ていた人物がスコット皇太子に、勘違いであれ、嫌がらせをしているようだと報告したとなると……。


「マリーさま、学校の生徒かもしれませんね! 一人ではなく、複数。廊下であれ、食堂であれ、生徒はどこにでもいるでしょ。それで偶然見かけて、スコット皇太子にチクったとか!」


瞳を輝かせて自身の推理を口にするリリアンに、何か違和感を覚える。リリアンは……伯爵令嬢で、ヒロインだ。それなのに今の話し方は……。なんというのか、乙女ゲーム『夢見るドールは恋を知る』の、西洋中世風の世界観から逸脱しているように感じる。


私の怪訝そうな顔に、気づいたのだろうか。リリアンがハッとして、まさにお茶を濁したいのか。紅茶をがぶがぶと飲んだ。でもその姿はさらに伯爵令嬢っぽくなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ