服飾屋では
今日の更新です
服飾屋では
「こっちは結構簡単に見つかりましたね」
「そうだな。特殊な素材を使った服ならここって言われたしな」
俺たちは今度は少し派手な見た目をした服飾屋に来ていた。少し派手な以外は至って普通っぽいのだが、中身は普通では無いそう。
理由として服に使う素材が全て魔物から出来ているからだとか。別に魔物と言っても皮だけが素材という訳ではなく毛が長い魔物ならばその毛が素材になったりするらしい。実際、防御性能が高かったりするから王都の女性ハンターはこの店御用達が多いのだとか……と、俺たちはこの店の店主からそう説明された。
「どう?どう?ウチで作ってみたくならなイ?」
「え、ええ……」
珍しい。いつも冷静なシャリアが押されている。しかも相手には悪意が無さそうだから質が悪い。
「で、でもその素材が扱えるかどうか……」
「なに?見せてみなさい!アタシに任せなさい!」
まあ確かにここまで圧があると誰でもビビるわな。ちなみに俺が何をしているかと言うと
「なるほど……こういう服もあるのか」
はい。交渉事とか全てシャリアに任せて服を見てます。
でもな?しょうがなかったんだ。店の前で話してたらノリノリになってたシャリアがいきなり店から出てきた派手なおじさ……いやあれはなんだ?お姉さんと言うべきか?こういう人への対処法を俺は知らないんだが。
「あらあら、こんなのを使わせてくれるのぉ?」
うん。こう言っちゃ悪いが、地球にいるその類の人とはベクトルというかレベルが違う。それにイントネーションがおかしいせいか聞き取りづらい。
「は、はい……この龍の翼膜を使って外套を……」
「うふふ、任せてチョーだい♪扱ったことあるワ。でもあちらのお兄さんの意見も聞きたいわねぇ」
野太い声で言われてもあんまり嬉しくないのだが。
それよりもあの人、龍の翼膜扱ったことあるって言ったよな。何者なんだ?
「そうだな……ロングコートとかそういうのの方が俺としてはありがたいな。森の中とかだと身を守れるし」
「そうなのねぇ♪わかったワ」
超一般的な答えを言うことで難は逃れたか。あ、でもルルに何も聞いてないな。ルルはちゃんと杖を新調出来ただろうか。
「そういえばアナタたちは二人だけなの?それともまだお仲間ガ?」
「あ、まだあと一人仲間がいます」
「そうなのネ。そうね……明日の午前中にまた来なさい。その時にどんなデザインにするか決めましょウ」
「は、はい……」
結局シャリアはここで作ることに決めたらしい。実際王都じゃここしか龍の翼膜は扱えなさそうだし……
「じゃあ任せてちょうだイ。最っ高の物を作ってあげル」
「はい、よろしくお願いします……それでは」
シャリアはクタクタになりながら俺の方に歩いてきた。そのまま俺たちはなにも喋らず一旦店の外に出る。出る時に「また来てねェ〜」と聞こえてきた気がするが聞かなかったことにしよう。というか明日行くことになってるし。
「ヤマトさん……」
「ど、どうした!?」
いきなりシャリアが俺にもたれかかって来て驚く。でもシャリアを支えるために咄嗟に肩に手を置いたのは褒めていいはず。
「私……疲れました……なんでしょうあの人。ずっとあっちのペースでした」
「ああいう人が商売上手いんだよ。でもあの人は仲間はともかく腕は良さそうだ。とりあえず明日ルルを連れて行ってみよう」
「そうですね。じゃあまだ宿に行くには早すぎるので、デートしましょう!」
え?デート?それってあれか?男と女が二人で出かけるやつ?
それにしてもシャリアが一気に元気になったな。
「なーんて、ふふっ。冗談です。でもルルちゃんはいませんから二人きりですね。ほら行きますよ!見るところはたくさんありそうですから!」
そう言ってシャリアは俺の手を引く。
まず向かったのは大きな噴水がある広場。ここで恋人がよく生まれるとかどうとか。お金を投げると幸せになれるとかっている話があるらしいが、実際は教会が資金集めのために流したデマで時折深夜のうちに教会によって回収されてるのだとか。それでも王都に来た人は記念代わりにやっていくらしい。全く、どこぞの泉だな。
次に訪れたのは王都の中心に聳え立つ王城だ。この王城は別名白麗宮とも呼ばれており、その名に恥じない白さと美しさを兼ね備えている。
「これはすごいな。ほんとに真っ白だ」
「こんなに真っ白な建材、どこから持ってきたんでしょうね」
地球にも真っ白な巨大建築物は存在するがあれは実はお墓である。そのため、完全に政治の中心として建てられているこの城とは用途が根本から違うのであれは別だ。
他にも徒歩で行ける場所にある観光出来そうな場所を巡ったらいつの間にかちょうどいい時間になっていた。
「ルルちゃんもそろそろ終わった頃ですかね」
「日も暮れ始めているからな。もしかしたらもう帰ってるんじゃないか?」
「かも知れませんね」
そこからしばらく沈黙が続くも、シャリアが話し始める。
「こうして、二人で話すのは久しぶりですね」
「そうか?いや、インク作り以来くらいか」
「それもあれは作業の説明じゃないですか。私が言ってるのは中間都市に向かってる馬車でのことです。あの時はこうして一緒に旅をするなんて思いませんでしたけど……」
「それは同感だな。俺たちもあの時はシャリアのことを面白そうな人って思ってたんだぞ?」
「えぇーっ!それは酷いですよ!」
シャリアが驚きの声を上げる。ぷっくり頬を膨らませているが多分怒ってるアピールなんだろうな。とりあえずかわいい。
「でもこうして話してるとさ、確かに面白いよ。もちろん、良い意味でな」
「そ、それはありがとうございます……」
シャリアが何故か反対側を向いて声が小さくなる。
「どうした?なんかあったか?」
「い、いえ!大丈夫です。あ、ヤマトさん。ルルちゃんが手を振ってますよ」
シャリアはそう言うとルルに手を振り返す。俺も同じように手を振る。
どうやらルルはちゃんと杖を新調したらしい。
さて、明日はまた工房に行かなきゃいけないが今夜はゆっくりとするかね……
次回100話目ですが、特に何もありません!
強いて言うなら新作のSFの設定考えるの楽しすぎわろた
あと、ブクマなどよろしくお願いします




