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タバコ畑に風が吹く  作者: るりまつ
13/17

ケンカ



 それからあったかい春が終わって、雨がいっぱいいぱい毎日降って、それでもボク達は崖の上のレストランに行った。


 幼稚園はサボってばかり。

 でもママもボクも、そんなの気にしやしない。

 その頃には、ママはすっかり運転が上手になって、ボクも車酔いしなくなった。

 そしていつの間にかボクの顔は日に焼けて真っ黒。

 体もどんどん元気になって、崖の下の階段も、ぴょんぴょん走って一番に昇れるようになった。

 ママとその人は、相変わらず手をつないで、ゆっくりゆっくり昇って来るんだけどね。


 それから、本当に暑い夏が来るちょっと前の頃、ママとパパは、またすごいケンカになった。

 でもボクは、二階には逃げなかった。キャラメルの箱には入らなかった。

 だってボクは、少し強くなったんだから。


 パパがママのほっぺを叩いて、ママが部屋の向こうまで転がってった。

 ものすごい音がして、机の上の物が床に飛び散って、色んなものが割れた。

 ボクはパパの脚にしがみついて、やめて、やめて、って言った。

 ボクは頑張ったんだけど、パパはボクを簡単に片手で吹っ飛ばした。

 ママがボクの方に這って来た。

 泣きながら這って来た。

 髪の毛はボサボサ、顔は涙でグチャグチャでお化けみたい。

 そうしてボクの上に覆いかぶさって来た。

 パパがのしのしやって来て、ママを蹴る。大きな足で蹴る。

 何度も何度も、それがボクの方にもズシズシと伝わって来る。


 やめて、やめて、


 ボクはママのお腹の下でずっと言ってた。


 ずっと、ずっと、言ったのに。


 大好きなママ、綺麗なママ、可哀そうなママ。

  ゴメンネ、ゴメンネ、助けてあげたいのにゴメンネ。

 ボク、まだママを守ってあげられないみたい。


 ゴメンネ……
















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