騎士になる為に 【1】
「だから言ってるだろ!」
俺は現在、葵に怒られている。
「はい。ごめんなさい」
「ちょっと葵、唐揚げ取れないんだけど」
「動くなって言ってるだろ包帯が巻けないだろ」
怒られているのは間違いか、怪我した腕を手当てしてくれているらしい。
葵も怪我しているので後で仕返しでもやってやろうか。
昨日のガルムの群れは後から登場した他の奴らに討伐された。あの軍服はメイドのアリシアさんの仲間だろうか。わからないけど、あの三人は強かった。魔技やら剣擊やら連携がとれてて戦闘の迫力がすごかった。俺は初めてで偉そうな事言って実際に戦えていないから今は恥ずかしく二人にも申し訳ない気持ちなのだ。まぁ何にせよ討伐できた事はいい。
しかし、昨日のどこに二人とフレンドリーになったきっかけがあったのか不明。
俺は役立たずだ。
「ちょっま、その肉は私の」
「いいじゃん食べないんだから」
「お前が暴れるから私の肉食われただろ」
「知るか! つうか葵が下手なだけだし自分でやれるしべつにいいよ」
「ム、ロイントで負った怪我は騎士であった私の責任だ」
「そうは言うけど気にしてないから。それにこう言うの魔法か何かで直ぐ治せるんだろう?」
「私には出来ない。治癒の魔技使う者ならできるが」
「そうなのか……。」
会話しながら俺達はテーブルを囲んで朝食のコボルトのカラアゲを食っている。ちなみにこれは俺が揚げたやつです。
まぁそれより今は。
「食べようぜ。暖かいうちに」
「あぁ……」
「そうよ」
「また私の肉食べたな」
「遊んでるのが悪いんじゃない」
「おーい。口に咥えたまま喋るな行儀悪いだろ」
昨日の騒動のせいで集会は中止になり、今日は休日らしい。ろくに顔合わせのないまま休み明けには授業があるようで心がついていけそうにない。
「なぁ二人はどうやって戦闘技術身に付けたんだ?」
「私は昔小さい頃に師匠から生きる為には戦う術を磨けって言われてからそれを信じて今があるみたいな」
「葵は?」
「私か。私は元より家系の血筋って奴かなでも、私は女だと父に言われ直接教わる事はなかった。だから兄弟の修行を見よう見まねで学んだな」
「そうか二人とも小さい時からか。俺も修行して二人と戦えたらいいんだけど」
「技術を学ぶ為に私等の学園に入ったのだろう?」
「そうだろうけど俺事態なんで転入したのかさっぱりでな。俺、ここの世界の住人じゃないから」
「……。」
「……。」
何この間は異世界トリップは信じてくれるのかそうでないのかわからんぞ。
「いや、別に気にはしてない。ここじゃない世界と言ったがそう言ってる者は結構居るらしいからな」
「えっ他にも居るの?」
「なに、私の家系もだが朔乃もメモ書きがあったんだったよな」
「うん。なんかそうだったらしい」
「あの九条先生もここじゃないらしいこと聞いたかな」
「そんなに境界ゆるゆるなの?」
「私は異世界人じゃないぞ生まれはここだからな」




