無能騎士 【13】
「それじゃ行こう! ワンちゃん退治♪」
「ノエルちゃん転換早すぎ。本当のワンちゃんがかわいそうだから」
「てへ」
「ジキルもいちいち気にしないでよ」
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「で、あそこで突っ立てるのが例の天薙紅刃っていう異界から来た奴なんだな」
ジキル達は屋上から討伐状況を確認する。
「そうだよ。あの男がセシリーさんが言ってた今後、私達に関わる男。顔は好みだけど、あれじゃださださだね。ねぇほな」
「私はとくに何も。ただ、あそこにアリス様と一緒にいるのが私じゃなくあいつというのが少し」
「そう言えば、ほなって何で生徒会長の前では猫ってるの?」
「猫ってる?」
「普段のほなと違うというか、謙虚って言うかさぁ」
「べつにたいした事じゃ。ただ、近付いた方が学園で立場がいいし、いろんな情報収集できるからよ」
「そっかーでさぁどうする三人だから忠誠の儀なしでもいいけどさぁ?」
「忠誠の儀するなら一条で願いする」
「私も戦闘に疼いてるからやりたい。それはそうと何で私の王役駄目なの。ジキルの忠誠の儀の服はウケるのに」
「ウケ!? 駄目というか恥ずかしいからだよ。俺男だぞ! フリルのついた少女らしい戦闘服は勘弁してくれ」
「それもそうね。目に毒だものね」
「ほなまで言う……。笑えるのにムキムキ魔法少女……。」
「ノエルの魔技はすごいけど残念だ。貴重な一回があれとかもったいない」
「残念言うなし! もったいない言うなし! 漫画の主人公なんだからな」
……。
「とりあえずここはジキルに一気にガルム片付けてもらうからノエルちゃんは忠誠の儀なしで戦ってもらえる?」
「いいよ。わかったわかった。ほなが言うなら忠誠の儀はジキルに譲る。二人できればいいのにね。しかたないから私は絵でも描いてるよ」
「じゃあジキルお座り」
「おう。なんか俺が犬みたいだな」
ジキルは片膝をつき一条穂波の手に手を添える。
「汝、ジキル・ヴォルフガング・ハイドに命ずる我が剣となりて獣鎧を駆逐せよ」
「我、ジキル・ヴォルフガング・ハイド貴公を主とし我が身は剣となり守る盾にもなりましょう」
二人はオーラに包まれジキルの戦闘服を構築する。
黒い軍服は岩を思わせる甲冑に変わる。




