プチ外伝2 ファッション召喚魔(モンスター)
ヴィオの魔道具店。
その奥にある書斎に、一人の少女がいた。
ミディアムボブの黒髪にオリエンタルな顔立ちの美少女は、日本の女子高生と言っても通用しそうだ。
「うふ♪ うふふふふ♪」
書斎と言ってもそれらしいものは机と椅子があるだけで、本棚は一切ない。
あるのは洋服棚と、そこに掛かった大量の服、そして化粧台と大きな鏡。
書斎とは名ばかりで、まるでモデルの控室である。
「最近、ヴィオもセンスが良くなってきたわね」
数着の服を手に、少女は独り言を言った。
「っていうか、ヴィオが選んでる訳無いか!」
少女の名はトリヴィア。
そう、ヴィオの召喚魔である。
彼女は、店の中では人語を話すことが出来る。
そして書斎の中でのみ、人化も可能なのだ。
彼女は本来、みずからの力の身では人語を話すことも、人化する事も出来ない。
ヴィオの魔法で強化しているからこそ、可能な事なのだ。
「次はアクセサリーでも頼もうかなぁ」
彼女の能力は、見たもの総てを記憶し、映像化できる能力だ。
その“脳内図書”という名の能力は、本においてはさらに便利な能力を持っている。
本の中身を見ずとも、内容を全て記憶できるのである。
ヴィオは彼女に、魔道士ギルドの本部にある図書館の、すべての魔道書を見せている。
つまりトリヴィアの脳内には、ギルドの魔道書の内容が、ほぼすべて収められているのだ。
ヴィオはそれをトリヴィアに写させ、旧知の魔道書店に売っている。
売った金の半分はトリヴィアの服代に、もう半分はヴィオの酒代へと変わっているとか……
ちなみにトリヴィアに本を写させているのは、ヴィオが字を書くのが“苦手”だからだ。
決して字が“汚い”からではない。
レネットが言うには、ヴィオの字は判読不明らしいが……
「クロムとルーナが来てから、頻繁に大鍋亭に行くようになったわね」
今夜もヴィオは大鍋亭で一杯やっている。
最近は、家ではなく、大鍋亭で飲む回数が増えたようだ。
「私はその方がいいんだけどね♪」
主のいない魔道具店。
その奥にある、書斎という名のウォーキングクローゼットでは……
夜な夜な黒髪の美少女が、ファッションショーを繰り広げているとか……
いないとか……
タイトルは、きゃりーぱみゅぱみゅ「ファッションモンスター」より拝借




