プチ外伝1 少年よ、君は強くなる……かも
「おぬし、本当に良いのじゃな?」
「ああ、何が出るか分からないなんて面白そうじゃないか」
「ならば名付けをするがよい」
「そうだな、金の卵だからルフォールでいいか? って言っても返事はないよな」
「いやそうでもないぞ。見ろ、卵が光っている」
「本当だ! じいさん、これは承諾したってことか?」
「そうだな。魔法陣も光っておるし、そういう事だろう」
「そうか、なら続きを頼むぜ」
ここは、人族、エルフ、ドワーフ、獣人族そして魔族と魔物が存在する剣と魔法の世界。
人族は高度な魔力を持つ者は少なく、ほとんどの者は生活魔法と言われる程度の魔力しか持たない。
その代わり、神の造りし召喚魔と契約をするにより、より高度な魔法を行使したり行使させることで、他の種族と同等の力を得ることが出来る。
この世界では15歳になると成人とみなされ、召喚魔との契約が行える。
一度契約した召喚魔は、召喚魔が消滅するか、契約者が死ぬまで契約は破棄できない。
そして召喚魔が消滅した場合でも、再度別の召喚魔とは契約することはできない。
つまり、一生に一度しか召喚魔と契約できないという事である。
そして今、ひとりの少年がその契約を行おうとしていた。
「主神よ、召喚の神よ、そしてすべての神々よ、ザンバ・ビュシェルベルジェールと召喚魔との契約を名付けによって締結いたします」
「その名は“ルフォール”、“ルフォール・ビュシェルベルジェール”!」
彼は……15歳になったばかりのザンバ・ビュシェルベルジェールは、一生に一度しか許されない召喚魔との契約を、たった今行った。
何になるとも、どんな能力があるとも分からぬ、そして意思の疎通すらままならない“金の卵”と……だ。
「鬼が出るか、蛇が出るか……何が出るかお楽しみ、ってね!」
ちなみに出てくるのは、鬼でも蛇でもなければ、もちろんオーガでもヒュドラでもない。
剣だ。
正確には卵から出てくるわけでもない。
卵は、状況に応じて様々な刀剣へと変化する。
持ち主の意志とは関係なく……
だが、その事は今の彼には知る由もない。
このお馬鹿な少年、ザンバ・ビュシェルベルジェール。
のちに竜殺し(ドラゴンバスター)と呼ばれる男に、なるかならないかは………
本人次第である。
タイトルは、長淵 剛「少年よ、君は強くなる」より拝借




