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吾輩は召喚魔(ねこ)である  作者: 画猫点睛
第一章 ズッカ編
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16話 いま、倒しにゆきます

タイトルは、いま、会いにゆきます/市川拓司 より拝借です

 ワルフラン武装店を後にして、俺とルーナは冒険者ギルドへ向かうことにした。


 俺はもちろん新調したバッグの中だ。

 ルーナは抱きたがっていたが、ご丁重にお断りした。




「あ、ルーナ! よかったわ。宿に呼びに行こうと思ってたの」


 ギルドに入ると、すぐにエフィルが傍にやって来てそう言った。

 なにかあったのだろうか?


「あら、服を買ったのかしら? 似合ってるわ、冒険者って感じよ!」 


「そうですか〜♪」


 デレデレするなよ。

 というか、服の話は後でもいいだろ! 急ぎの話がったんじゃないのか?


 しかし、元々寂れたギルドなのか時間帯のせいなのか今日も冒険者がいないな。


「ここのギルドは暇なのか? いつも人がいないな」


 どうせ誰もいない。

 誰もいなければ驚くやつもいないということだ、普通に話しても何の問題もない。



「どちらかというと忙しいギルドではないけど、人がいないのは時間帯のせいよ」


 普通の冒険者はあまり昼時には来ないようだ。

 考えたら当たり前か。


「そんなことより、ギルド長があなたたちに会いたいそうなの」


 ギルドの話が“そんなこと”とはどういうことだ。

 それより服の話の方が、相当“そんなこと”だと思うのだが……


 まあいい。それこそ“そんなこと”だな。

 大事なのはこっちの方だ。


「ギルド長が何の用なのだ?」


「昨日調査に行っていたので、魔物退治の件だと思いますよ」


 ふむ……とにかく会ってみるか。




 エフィルに案内され奥の部屋に入ると、そこにいた男に挨拶された。


「はじめまして、ギルド長のジェイクだ」


 ズッカのギルド長は、まるで湘南にでも居そうな細マッチョで日に焼けた壮年のイケメン親父だ。

 湘南なんて行ったこともないけど。 


 ここはたぶんギルド長の部屋なのだろう。それなりのソファーが置かれていてそこに座るよう勧められた。


「えー、ルーナ君と、その召喚魔のクロム君だね。昨日の活躍はエフィル君に聞いたよ」


 女性にも猫にも君付けする奴のようだ。


「ところでクロム君は話せると聞いたが、本当かな?」


「ああ、そうだ」


「長年ギルドにいるが、猫の姿で話せる召喚魔はさすがに初めてだな」


 ふむ……裏を返せば、猫の姿じゃない話せる召喚魔ならを知っているという事だな。

 まあいい。

 話せる召喚魔は珍しいってだけで居ない訳ではないようだしな。



「では早速だが、本題へ移らせてもうおう」


 さて、何の話が出てくるのか楽しみだな。


「単刀直入に言うと、アグロス村近くの森へジャイアントアントの討伐に行って欲しいのだ」



 ジャイアントアントと言えば、50〜60cmほどの蟻の魔物だよな。

 たしか洞窟に巣を構えて、女王蟻クイーンの中心に数十匹ほどの集団を形成する、さほど凶暴な性質ではない魔物のはずだが……

 契約召喚の前に詰め込んだにわか知識だから、間違ってるかも知れんな。


 

「ジャイアントアントが討伐対象とは珍しいですね」


 後ろに立っていたエフィルが、俺の疑問を代弁してくれた。


「うむ。ジャイアントアントは特に人を襲う魔物ではない。しかし今回はなぜか凶暴化しているのだ」



 ジャイアントアントは鋭い大あごと腹部に毒針を持っていて、思いのほか素早い動きをする。

 凶暴化しているなら少々厄介かも知れんぞ。



「それでは報酬額の上乗せはどうします?」


 エフィルはお仕事モードに突入したようだ。

 実際問題、冒険者たちが動くか否かは報酬額次第だろうから当たり前かもしれない。



 エフィルとギルド長のジェイクが相談して決めた報酬はこうなった。



 ・ジャイアントアント

   魔臓10レオネを20レオネに増額

   毒針50レオネを80レオネに増額

 ・ジャイアントアントクイーン

   魔臓100レオネを200レオネに増額

   毒針500レオネを800レオネに増額

 ・巣の破壊

   1000レオネの報酬





「これでどうだろう? 君たちが引き受けなければ他を当たるしかないが」



 スライム大量討伐の実績を買われてのだろうが、装備をさっき揃えたばかりの新人冒険者に対して、微妙に期待値が高くないか? 

 退治するのはその“真っさら装備の新人冒険者”ではないけどな。


 報酬的にはアント1匹で100レオネ、女王クイーンを倒して、巣を破壊して2000レオネか。

 アントが50匹なら7000レオネ……70万円か、まあいいとこだな。


「ルーナはどう思う?」


 一応ご主人様にもお伺いを立てないとな。って……



 ……寝てやがる。



「おい、ルーナ。起きろ!」

「ふぇ? ……な、なに?」


 ルーナに聞いたのが間違いだったな。



 普通に退治するよりは全然儲かるし、受けるとするか。

 しかしスライムの件といい、こういう事は頻繁にあるのかね。

 いやそうだとしたら、ズッカの冒険者ギルドはもっと人がいるはずだ。たまたまだろう。



「よし、依頼を受けるか!」


「よろしく頼む! で、出来たら明日の朝には向かって欲しいのだが、どうだろう」


 明日だと? こいつジェイクは何を戯言を言っているのだ?

 


「明日となんだ? 急ぐのだろう、今すぐに行く気だが」


「えっ! 今すぐ? 大丈夫なのか?」


「問題ない。アントなんて半日あれば充分だ。ルーナ、行くぞ!」


「ふぁ? 何? 朝なのですか」




 ……だから寝るなよ。



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