断章 運命の王子様を探して
エルディア大陸。
人族、獣人族、エルフ族、ドワーフ族、そして魔族。
多様な種族が暮らすこの大陸には、数多くの国が存在している。
人族が治める国家は四つ。その代表格として知られるのがアルセリア王国であり、今回の舞台となるエルバフ国もまた、その一つだった。
そんなエルバフ国にある、とある都市。
中央広場には朝から活気が満ちていた。
商人たちの威勢のいい呼び声。石畳を進む馬車の車輪の音。露店から漂う焼きたてのパンの香ばしい匂い。
旅人や冒険者が行き交うその場所は、さまざまな出会いが生まれる街の中心だった。
そして、その広場の一角。
一人の少女が、噴水の前で空を見上げていた。
風に揺れる淡い金髪。若葉を思わせる鮮やかな緑の瞳。そして、頭の両側から伸びる、エルフ族特有の長く尖った耳。
白と深緑を基調とした冒険者装備を身にまとい、腰には短剣、背中には弓を携えている。
整った容姿に、すらりとした立ち姿。どこか気品を感じさせるその姿は、事情を知らない者ならば、名のあるエルフの家柄に生まれた令嬢だと思うかもしれない。
しかし、彼女に特別な身分などなかった。
王族でも、貴族でもない。
あるのは、確かな弓の腕と魔法の才能。そして、それらに負けず劣らず強烈な、お姫様への憧れだった。
「ふふふ……ついに、この時が来ましたわ!」
少女――アマンダは、胸元で両手を重ね、うっとりと目を細めた。
澄んだ水音が響く噴水。行き交う人々。異国の風に揺れる街路樹。
舞台装置としては申し分ない。
あとは、たった一つ。
運命の王子様さえ現れてくれれば。
「見知らぬ異国の地で、途方に暮れる哀れなわたくし……。そこへ颯爽と現れる、気高く美しい王子様!」
アマンダはそっと目を閉じた。
脳裏に浮かぶのは、輝く鎧をまとった麗しい青年。風になびく髪。優しく差し伸べられる手。そして、すべてを包み込むような微笑み。
完璧だった。
少なくとも、彼女の想像の中では。
「『お嬢さん、こんなところでどうしたんだい?』」
低く、優しく、包容力のある声。
「まあ……!」
アマンダの頬が、たちまち赤く染まる。
「『もしよければ、僕に君の力にならせてくれないか』……きゃあああっ! なんて紳士的なお方なのかしら!」
思わず、その場で身悶えした。
通りかかった人々が、何事かと足を止める。
だが、本人はまったく気づいていなかった。
今の彼女は、想像の中で運命の出会いを果たしたばかりなのだから。
「『実は、ずっと君を探していたんだ』……そ、そんな! わたくしのことを、ずっと……?」
両手で頬を押さえ、くるりとその場で回る。
「だ、だめですわ! まだお名前も伺っていないのに、こんなにも胸が高鳴るなんて……!」
もちろん、王子様は存在しない。
彼女は道に迷っているわけでも、誰かに助けを求めているわけでもなかった。
ただ一人、広場の真ん中で理想の出会いを熱演しているだけである。
「……こほん!」
やがてアマンダは、何事もなかったかのように咳払いをした。
「いけませんわ。浮かれてばかりでは、王子様にふさわしい女性にはなれませんもの!」
きりりと表情を引き締める。
「わたくしは、いつか運命の王子様に見初められるお姫様! そのためにも、まずは冒険者として名を上げなければ!」
高らかに宣言し、背中の弓を確かめる。
続いて腰の革袋に触れた。
中には、冒険者として稼いだ金貨が入っている。
夢を追うにも先立つものは必要だ。宿代に食費、旅に必要な道具。そうした現実的な問題について、彼女はきちんと理解していた。
だからこそ、エルフ族の暮らす地を離れ、はるばる人族の国家までやって来たのである。
――運命の王子様と出会うために。
「待っていてくださいませ、わたくしの王子様! いつか必ず、このアマンダがあなたのもとへ参りますわ!」
決意を新たにした少女は、颯爽と広場を後にした。
向かう先は、街の冒険者ギルド。
そこには今日も、魔物の討伐や素材の採取、護衛など、さまざまな依頼が集まっている。
冒険者として名を上げれば、高貴な身分の人物と知り合う機会もあるかもしれない。
その中に、理想の王子様がいる可能性だってある。
……本人は、わりと本気でそう考えていた。
?
◇
冒険者ギルドの扉を開けると、酒場を兼ねた広い室内から、さまざまな声が飛び込んできた。
依頼を受ける者。報酬を受け取る者。仲間と次の仕事について相談する者。
荒々しい笑い声が響く一方、受付では職員が淡々と手続きを進めている。
アマンダは慣れた足取りで受付へ向かった。
「こんにちは。何か新しい依頼はありますかしら?」
「はい。こちらでしたら、森での薬草採取と魔物の討伐依頼がございます」
受付の職員が依頼書を差し出す。
アマンダは内容に目を通し、報酬と目的地を確認した。
「なるほど……。では、こちらの依頼を受けますわ」
「かしこまりました。お気をつけて」
手続きを終えたアマンダが依頼書を受け取ろうとした、そのときだった。
「おいおい、嬢ちゃん。本当にその依頼を受けるのか?」
背後から、野太い声が響いた。
振り返ると、大柄な男が立っていた。使い込まれた鎧に腰の長剣。いかにも腕に覚えがあるといった風貌の冒険者だ。
男はアマンダの背負った弓に目をやり、それから彼女の顔を眺めた。
「森の魔物を相手にするんだぞ? お嬢様ごっこなら、街の広場でやってな」
周囲の冒険者たちが、ちらりと視線を向けた。
「おい、やめとけよ」
仲間らしい男が小声でたしなめる。
しかし、最初の男は気にした様子もなかった。
「エルフだからって、弓と魔法が少し使えるだけで一人前だと思ってるんじゃないだろうな?」
男は鼻で笑った。
「それとも何か? 王子様でも探しに来たのか? お姫様なら、冒険者なんかやめて城にでもこもってりゃいいだろ」
その瞬間、アマンダの表情が止まった。
――王子様。
――お姫様。
彼女が誰よりも憧れているもの。
けれど、目の前の男が口にしたそれは、夢への憧れを嘲笑うための言葉だった。
アマンダはゆっくりと男を見上げた。
「……あなた」
「あん?」
「今、わたくしのことを笑いましたわね?」
「はっ! 自分の言ってることを分かってるのか? お姫様だと? お前はただの冒険者だろうが!」
男は大声で笑った。
アマンダは、しばらく黙っていた。
やがて、小さく息を吐く。
「……そうですわね」
「分かってるじゃねえか」
「確かに、わたくしは本物のお姫様ではありませんわ」
アマンダは顔を上げた。
「ですが、お姫様に憧れることと、冒険者としての実力は何の関係もありませんわ」
「……あ?」
「あなたは、わたくしの弓の腕を見ましたの? 魔法を使うところをご覧になりましたの? それとも、見た目だけで相手の実力を判断するのが、あなたの流儀なのかしら?」
男の眉がぴくりと動いた。
「口だけは達者だな。そこまで言うなら、実力を見せてみろよ」
「……よろしいですわ」
アマンダは静かにうなずいた。
「ただし、後悔なさらないでくださいませ」
男は鼻を鳴らし、周囲を見回した。
「いいぜ。ここでやるってのか?」
「いいえ。ギルドの中で魔法を使うほど、わたくしは無作法ではありませんわ」
アマンダは依頼書を受付に預け、男に背を向けて歩き出した。
「表へ出ましょう。あなたにも分かるように、お見せいたしますわ」
◇
ギルドの外には、冒険者たちが武器の扱いを練習したり、模擬戦を行ったりするための訓練場が設けられていた。
二人が姿を現すと、先ほどのやり取りを聞いていた冒険者たちも、興味本位で集まり始めた。
「本当にやるのか、あのエルフの嬢ちゃん」
「相手は結構な腕利きだぞ」
「いや、あの子もただ者じゃなさそうだが……」
そんな声をよそに、男は訓練場の中央へ進み出た。
「さあ、来いよ。泣いて謝るなら今のうちだぜ」
男は剣を抜いた。
もっとも、本気で斬りかかるつもりはないらしい。刃先を下げたまま、アマンダを見下ろしている。
その油断こそが、彼の失敗だった。
アマンダは弓に手をかけることもなく、静かに目を閉じた。
周囲の風が、わずかに変化する。
頬を撫でていたそよ風が止み、地面に落ちていた砂粒が、彼女の足元でふわりと浮かび上がった。
「……なんだ?」
男が眉をひそめる。
アマンダはゆっくりと目を開いた。
若葉色の瞳に、迷いはなかった。
「風の精霊よ、我に力を貸し、この不届き者を飛ばしなさい」
澄んだ声が、訓練場に響き渡る。
その瞬間、周囲の空気が震えた。
アマンダの周りに風が集まり、渦を巻く。目には見えないはずの流れが、彼女の金髪と衣服を大きく揺らした。
風の精霊魔法。
エルフ族が得意とする、精霊とのつながりを利用した魔法の一つである。
男の顔から、余裕が消えた。
「お、おい……!」
「――風の衝撃波!」
アマンダが手を振り下ろす。
次の瞬間、轟音とともに圧縮された風が一直線に放たれた。
目に見えない衝撃が地面を走り、男の身体を正面から捉える。
「ぐおおおおっ!?」
巨体が宙へと浮き上がった。
踏ん張る間もなかった。
剣を握った腕が跳ね上がり、足が地面から離れる。男はそのまま数メートル先まで吹き飛ばされ、訓練場の端に積まれていた藁束へ盛大に突っ込んだ。
藁が舞い上がる。
しばしの沈黙。
何が起きたのか理解するまで、誰もが言葉を失っていた。
「…………」
アマンダは乱れた髪を軽く整え、衣服の裾を払った。
「お分かりになりまして?」
藁束の中から、男がうめきながら顔を出す。
「な、何をしやがった……!」
「風の精霊魔法ですわ。ご覧のとおり、わたくしは魔法を扱えますの」
アマンダはにっこりと微笑んだ。
その笑顔には、先ほどまでの夢見がちな少女の面影が戻っていた。
「それから、もう一つ」
彼女は男の前まで歩み寄り、静かに告げる。
「相手の身分や見た目だけで実力を決めつけるのは、おやめになったほうがよろしくてよ?」
「ぐっ……!」
「次からは、相手を馬鹿にする前に、少しくらい確かめてみてはいかがかしら」
男は悔しそうに唇を噛んだが、反論できなかった。
周囲から、どよめきと感嘆の声が上がる。
「おい、今の見たか?」
「風の精霊魔法だぞ……!」
「詠唱から発動まで、ほとんど隙がなかった……」
「見た目で判断するなってことか」
先ほどまで笑っていた者たちも、今では感心した様子でアマンダを見つめていた。
アマンダはその視線を浴びながら、満足げに胸を張った。
「ふふん。これでお分かりになりましたわね!」
そして、くるりと踵を返す。
「では、わたくしは依頼がありますので。ごきげんよう!」
颯爽と立ち去ろうとした、そのときだった。
「……待て、嬢ちゃん!」
藁束から這い出した男が、悔しそうな声を上げた。
「何ですの? まだ何か?」
「お前、名前は……!」
「アマンダですわ」
彼女は振り返り、にこりと笑った。
「いつか運命の王子様に見初められる、未来のお姫様ですわ!」
言い切って、今度こそ歩き出す。
残された男は、ぽかんと口を開けたまま、その背中を見送るしかなかった。
やがて、周囲の冒険者たちの間に、こらえきれない笑いが広がった。
「未来のお姫様だってよ!」
「いや、魔法の腕は本物だったぞ!」
「とんでもないエルフが来たもんだな……」
アマンダは聞こえてくる声に、満足げにうなずいた。
もちろん、彼女が望んでいるのは、冒険者たちからの称賛ではない。
彼女が本当に求めているのは、ただ一人。
自分を見初め、手を差し伸べてくれる運命の王子様だった。
◇
ひと騒動を終えたアマンダは、改めて依頼を確認するため、ギルドの掲示板へと向かった。
森の薬草採取。魔物の討伐。街道の護衛。
いつもと変わらない依頼が並ぶ中、彼女は森に関する情報が書かれた紙に目を留めた。
掲示板の近くで、冒険者たちが話している。
「最近、森の奥で見慣れない魔物を見たって話があるらしいぞ」
「見慣れない魔物? 新種か何かか?」
「そこまでは分からん。目撃したって奴も、遠目に見ただけらしいからな」
「そもそも、本当に魔物だったのか?」
「さあな。大きな獣だったって話もあるし、見間違いかもしれん」
アマンダは足を止めた。
見慣れない魔物。あるいは、大きな獣。
どちらにしても、冒険者としては気になる話だった。
森は、この街で暮らす者たちにとって身近な恵みの場所である。薬草や木材が採れ、獲物もいる。冒険者にとっては、魔物の素材を集めるための仕事場でもあった。
しかし、森の奥には、人里から離れて暮らす魔物もいる。
生態がよく知られていない種類や、通常の生き物とは異なる性質を持つものも存在する。情報の少ない相手に対して、むやみに近づくのは危険だった。
「見慣れない魔物……ですか」
アマンダは顎に手を添えた。
その目が、きらりと輝く。
「はっ! まさか……王子様が魔物に襲われているのでは!?」
想像の飛躍が、あまりにも早かった。
そもそも、話に出てきたのは森の奥で目撃された正体不明の存在であって、王子様など一言も登場していない。
それでも、アマンダの頭の中では、すでに一つの物語が完成していた。
森の中で魔物に襲われ、窮地に陥る麗しい王子様。
そこへ颯爽と駆けつける自分。
弓を構え、風の精霊魔法を放ち、見事に王子様を救い出す。
そして、彼は感激した表情でこう告げるのだ。
――君こそ、僕が探し求めていた女性だ、と。
「いけませんわ!」
アマンダは勢いよく顔を上げた。
「もし本当にそうなら、わたくしが助けに行かなければ!」
弓を背負い直し、胸を張る。
しかし、すぐに足を止めた。
「……いえ、待ってくださいませ」
真剣な顔で考え込む。
「王子様をお助けするのは素敵ですけれど、わたくしが危険な目に遭ってしまっては、再会したときに心配をかけてしまいますわね……」
どうやら、救出後の展開まで想像しているらしい。
アマンダは腕を組み、しばらく悩んだ。
やがて、何かを思いついたように顔を上げる。
「そうですわ! まずは依頼の内容を確認する。それから必要な準備を整えて、慎重に行動するのです!」
満足げにうなずいた。
「危険を見極めることも、立派なお姫様のたしなみですわ!」
実に都合のいい結論だった。
とはいえ、情報を集め、準備を整えてから行動するという判断そのものは、冒険者として間違っていない。
夢想家で、思い込みが激しく、少々暴走しがち。
それでも、アマンダは決して無謀なだけの少女ではなかった。
冒険者として生きるために必要な知識も、危険を避けるための判断力も、これまでの旅で身につけてきたのだ。
「まずは情報収集ですわね」
彼女は掲示板に目を戻した。
薬草採取の依頼書には、採取場所が記されている。別の依頼書には、森の浅い場所で目撃された魔物の討伐依頼があった。
しかし、例の正体不明の存在について、詳しい情報は見当たらなかった。
「うーん……。まだ依頼になるほどの情報は集まっていないようですわね」
少し残念そうに肩を落とす。
そのときだった。
「そういえば、北東の遺跡でも妙なことがあったらしいぞ」
近くにいた冒険者の声が、アマンダの耳に届いた。
「北東の遺跡?」
「ああ。廃墟になって久しい場所だが、最近になって妙な光を見たって話が出ている。灰色の光だったとか……」
「灰色?」
「見間違いかもしれんがな。あそこは昔から不気味だって話もあるし、わざわざ近づく奴も少ない」
「魔物でも住み着いたんじゃないか?」
「さあな。詳しいことは分からん」
男たちの会話は、そこで別の話題へと移っていった。
アマンダは掲示板を見つめたまま、考え込んだ。
森の奥で目撃された、正体不明の存在。
そして、北東の遺跡で見られたという灰色の光。
両者に関係があるのかどうかは分からない。単なる偶然かもしれないし、まったく別の出来事である可能性もある。
だが、冒険者として見過ごすには、少々気になる話だった。
それに――。
「遺跡……」
アマンダの瞳が、再び輝き始めた。
彼女の脳裏に浮かんだのは、故郷を訪れた旅の商人が見せてくれた、古びた一冊の本だった。
そこに描かれていたのは、天へと伸びる巨大な塔。
そして、その塔にまつわる奇妙な伝承。
――塔を登り、試練を乗り越えた者には、灰の王の恩寵が与えられる。
当時のアマンダには、ただの伝説にしか思えなかった。
しかし、あの本に記されていた塔と、灰の王という存在。
もし、遺跡に何か手がかりが残されているとしたら。
それは、長い間探し求めてきた謎に近づく、貴重な機会かもしれない。
「……これは、調べてみる価値がありそうですわね」
アマンダは小さくつぶやいた。
もちろん、遺跡に王子様がいるとは限らない。
そもそも、そこに何があるのかさえ分かっていないのだ。
それでも、未知の場所を調べることは冒険者の仕事の一つである。危険があるのなら、情報を集め、準備を整えたうえで臨めばいい。
それに何より――。
「もし、あの塔につながる手がかりが見つかれば……!」
アマンダは胸元で両手を握りしめた。
塔を登り、灰の王の恩寵を得る。
それが本当に可能ならば、いつか運命の王子様に出会うという夢にも、一歩近づけるかもしれない。
根拠があるわけではない。
だが、彼女にとって夢を追う理由は、それだけで十分だった。
「決めましたわ!」
アマンダは勢いよく顔を上げた。
「まずは森の情報を集める。それから北東の遺跡についても調べてみますわ!」
言葉にしてみると、やるべきことがはっきりした気がした。
彼女は依頼書を手に取り、改めて内容を確認する。
まずは目の前の仕事をこなし、必要な資金と情報を集める。危険な場所へ向かうのは、そのあとだ。
夢ばかり見ているようでいて、こうした手順をおろそかにしないのが、アマンダという少女だった。
「ふふふ……待っていてくださいませ、わたくしの王子様!」
彼女は弓を背負い直し、ギルドの扉へと向かった。
運命の王子様を探す旅。
その道の先に何が待っているのか、今のアマンダには分からない。
ただ、北東の遺跡で目撃されたという灰色の光だけが、彼女の知らないところで、静かに謎を深めていた。
◇
同じころ。
街から離れた森の奥でも、また一匹の狼が新たな一歩を踏み出そうとしていた。
大切な人から受け継いだ夢を胸に、まだ見ぬ世界へと歩き出した狼。
そして、運命の王子様を探すエルフの少女。
今はまだ、互いの存在すら知らない二人。
それぞれの旅路が交わる日が来るのかどうか。
それは、まだ誰にも分からない。
けれど、広大なエルディア大陸で動き始めた二つの物語は、やがて一つの場所へと導かれていく。
北東の遺跡。
そこに眠る謎が、二人の運命を結びつけることになるとも知らずに。




