~夢の中で鬼ごっこ13~
睡魔を倒した漠は急いで美緒がいるコテージに急いで戻る。
すると、そこにはコテージの入り口で泣いている美緒の姿があった。
漠は駆け寄って寄り添うが、美緒の涙は止まらない。
「ひっく…優しいママが…パパが…ママじゃなかった…パパじゃなかった…。」
「美緒さん…。」
銃から元の姿に戻った有村だが、美緒にどう声を掛けるべきか悩み、言葉が続かなかった。
「本当のパパとママは…嫌いかなー?」
漠は優しい口調で美緒に尋ねた。美緒は首を横に振る、しかし俯いたままだ。
「パパとママ…いつも喧嘩ばかり…美緒の事でね、いつも喧嘩するの…。」
「そっか、それは嫌だねー…。」
宥めるように漠は美緒の頭を撫でた。
「パパとママが怖くって…走ったらね、足が滑ってね、でね、起きたらここにいたの。」
美緒の言葉はたどたどしいが、どうやら両親の言い争いが怖くて逃げようとしたところ、階段で頭を打ったようだ。そして気付けば夢の世界にいたらしい。
「ここのパパとママは優しかったの…。いつも遊んでくれて、美緒の事、大好きって言ってくれてね、でも…パパとママは違うパパとママだった…ぐす…うぇぇぇん…。」
美緒は泣きながら漠にしがみついた。漠も抱きしめて頭を撫でる。
「美緒ちゃん、パパとママは嫌い?」
「…ううん、パパとママは好き…でも喧嘩するパパとママは嫌い…。」
そっか…と漠は頭を再び撫でる。そして美緒を優しく抱っこすると、有村を見た。有村も小さく頷く。
「美緒さん、私達は、ここの記憶を消す事が出来ます。」
「美緒ちゃんがここで遊んだ事、思い出すと辛くなるって言うなら、無理は言わないよー?」
漠は優しく言うと、美緒は泣いた顔で首を傾げる。
「でも、そうしたら、あの人達の事も、僕達の事も忘れちゃう事になるけどねー。」
「…!!それはやだ!!」
美緒は大きな声を上げて嫌がった。
「…嫌なの?」
コクンと頷くと、だってね、と言葉を続けた。
「パパとママじゃなかったけど、楽しかったもん。漠ちゃんも、ありむーちゃんも、美緒が泣いてても優しいもん。忘れたくないもん…。」
「美緒さん…。」
そっか、と言うと漠は美緒を強く抱きしめて、いつものにへらーとした笑顔を浮かべた。




