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夢占い亭 霞の館  作者: ゆう
第三夢
21/37

~夢の中で鬼ごっこ10~

美緒が駆けて行った道を漠達は辿って走る。森の道は草花で覆い茂っていて足が取られ、思うように走れない。

そんな中、有村は俯きながら漠に話しかけた。


「漠さん…睡魔は…おそらく美緒さんの…。」


「んー、そうだね、睡魔は、美緒ちゃんのパパとママの姿をしてるだろーねー。」


有村の言葉を引き継ぐように漠は答える。

睡魔が美緒の両親の姿をしている…と、いう事は、美緒に両親と対峙する姿を見せてしまうだろう。

それを気兼ねた有村の声は次第に小さくなり、そして萎んでいってしまった。


「まぁ、かと言って、睡魔を放ってはおけないからねー。」


「そう…ですね。」


漠の言う事はもっともである。有村は無理矢理に納得すると、頭を振って気持ちを切り替えた。


「そう言えば…漠さん。」


「んー?」


「美緒さんが逃げる前、何故すぐにでも捕まえなかったんですか?」


有村は素朴な疑問を漠にぶつけた。有村の疑問はもっともだ。

逃げる前に美緒を捕まえていたら、今こうやって追いかける必要なんてない。


「ん?んー。」


走りながら漠は、先ほどから変わらず顎に手を当てる。


「えっとねー、ほら、美緒ちゃんってまだ子供でしょー?んで、もし不安になったら誰に助けを求めると思うー?」


「…!そうか!」


漠の問いかけに有村も気づいたのか、ハッとした顔をして漠を見る。

漠はゆっくり頷くと、有村の答えを待った。


「不安になったら…美緒さんは両親…つまり睡魔のところへ向かいますね…!」


「ピンポーン。そー言う事ー。」


漠は有村の答えに満足そうに笑うと、美緒が向かったであろう僅かな足跡を見ながら追いかける。


(あんなに何も考えてなさそうな人なのに…この人は…。)


有村は、ここを曲がってー、と、独り言を呟く漠の横顔を見て感心した。

いつもは能天気な漠ではあるが、睡魔のあの言葉、美緒の反応、行動だけで瞬時に考え、そして最良の判断をしたのだ。のんびりしているようでいて、漠という男は、なかなかの切れ者の策士である。


しばらく走っていると、代わり映えしない景色に変化があった。

前方に何か建物らしきものが見えたのだ。


「あれは…?」


「コテージ…かなぁ?」


森の一角の木を切り、開放感のある空間が目の前に現れる。

切った木で建てたであろうコテージに、美緒が入っていく姿を確認すると漠達は止まる。


漠は額を拭い、深呼吸をすると有村を見た。有村も漠を見て無言で頷くと『夢装神』と呼ばれる拳銃に姿を変えると、漠はゆっくりとコテージに近づくと戦闘態勢を取ったのだった。

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