第50話 もう遁世したいのに
ついに完結のチェックボタンをクリックすることとなりました。
50話なんて3か月くらいかかるのではと、まったくの甘茶でかっぽれな事ですが、
なかなかココロにくるものがありますね。
今、職場で堂々とサボって前書き欄に記入しているというのに。
オレ、なろう系に投稿してるんですよと同僚に言えない。
投稿月時バレたらマジやばいから。
戦うことなく異世界を満喫して、あ、襲われたことあったな、あったっけ?
わからん、読み返すか。
あれから2年が過ぎた。
俺は約束通り龍王の座を降り、ただの「龍族の王子」に戻った。
ホエイパウダ(義父)は、娘のファミマを次の龍王にしたがっていたが、それは叶わなかった。
ふふふ、残念だったな。
ファミマは現在、第2子を妊娠しているのだ!
妊婦に王務はさせられない。
だからホエイパウダが復帰……。
「……となると、半年後に出産したら、またお主が龍王じゃのう」
「……あ」
ソルビトール(曾祖父)が事も無げに言った。
そうだ。
新たな龍族のしきたりでは「親が働き、祖父が育てる」。
つまり、半年間の育休(俺にとっての夏休み)が終われば、また俺が龍王代理だ。
……逃げ場がない。
ならば、この半年間、思う存分「ただの人族」を謳歌しようではないか。
◇
久々に、【転移魔法】の可能性を追求してみることにした。
足元に「転移口A」を開き、頭上に「転移口B」を開く。
Aにボールを落とすと、Bから加速して落ちてくる。
これを横向きに応用して……。
バシッ!
自分の投げたボールが前方の穴に入り、となりの穴から飛び出して、自分で捕る。
「……虚しい」
高速「1人キャッチボール」が完成した。
成果はあったが、心が寒い。
やっぱりキャッチボールは相手がいないとダメだ。クレメンスとやろう。
◇
■チーギュウ城・貴賓室
俺はキャッチボールの相手を求めて登城したが、そこで衝撃の報告を受けた。
「報告があります。……授かりましたー!」
「あ……うん、嬉しい!」
クレメンス(ハシガミ)も第2子をご懐妊だ。
悟られぬよう、テンションを上げて喜んだ。
いや、嬉しいのは本当だ。
横ではオワコン前国王が「曾孫が増えるぅ~」と泣いている。
平和だ。
そんな中、グウカワ王女が「ゼンコウダマシイ連合(南大陸)」の担当になると言い出した。
「やっぱりさー、男は南国よ。筋肉質で、小顔で、優しくて、家族思いで……
でも『私の事が一番だよ』って言ってくれる人がタイプなのよねー」
「……(注文が多いな)」
俺は無言で親指を立てた。
きっと居るよ、そんな都合のいい男。南大陸は広いからな。
◇
こうなってくると、何が何でもキャッチボールがしたい。
俺は新都市ツイフェミにある、はるか学園・野球課のグラウンドへ【転移】した。
グローブを着けて歩いていると、視線を感じた。
「あれ、龍王さまですよね?」
「ソルビトール商会の創業者でしょ?」
「RyutubeのCEOだって!」
「Pexのランカーだ!」
ワラワラと学生たちが集まってくる。
サイン攻め、握手攻め。
……これ、松坂大輔の春季キャンプの時ってこんな感じだったのかなぁ。
俺は角を曲がった瞬間、逃げるように【転移】した。
◇
■ショウタウン・料亭互助会
馴染みの店なら大丈夫だろう。
俺は裏口から厨房へ入った。
「おーい、ジャーガーくん。野球しよーぜー」
だが、そこでは何らかの「サプライズイベント」の練習が行われていた。
急にアップテンポな音楽が流れ、スタッフが一人ずつ踊り出すやつだ。フラッシュモブか。
看板には『祝・第2子!』と書いてある。俺のための予行演習だ。
「……ワンツー、ワンツー!」
見ると、あの厳格なチークワンブーまでキレッキレに踊っている。
へぇー、あいつ踊れるんだ。
……見なかったことにして、俺はそそくさと出てきた。
◇
■魔の森・最初の拠点
結局、またここに来てしまった。
誰もいない、最初の場所。
結界の中だけが、俺の安息の地だ。
「……当初の予定とは真逆の、世界一の有名人になってしもうたなぁ」
焚き火を見つめながら呟く。
いいんだよ、世界が平和であるならば。
でもね、たまには「ひとりの名も知れぬ男」になりたいんだよね。
俺は立ち上がり、虚空に手をかざした。
MP:GOD+(測定不能)。
今の俺なら、もっと遠くへ繋げられる気がする。
新たに開発した【超長距離転移門】が開いた。
◇
■???
国境のトンネル(転移門)を抜けると、そこは雪国……ではなく。
舗装された山道だった。
目の前には、立派な「二階建てのトイレ」。
そして、山頂付近まで荷物を運んできたらしい「軽トラ」。
「……高尾山だ」
間違いない。
東京都八王子市、高尾山の山頂付近だ。
神クラスの魔力でこそ実現した、世界線を超えた転移魔法。
「Ha, ハウ ドーゥ ユー デゥー?」
ナップサックを背負ったご婦人が、俺の格好(異世界の服)を見て外国人だと思ったのか、
英語らしき言葉で話しかけてきた。
「……日本語でおkです。つい懐かしくて。6号路(沢沿いコース)経由で帰りますから。
平日はいいんですよね。あ、そうですか、ありがとうございますー」
俺はグローブを外して、ご婦人と握手した。
久しぶりの日本語。久しぶりの湿気。
なんか、世界線を超えてしまって大丈夫なんだろうか?
ピロリン♪
懐に入れたスマホ(Xmove xvi)にメッセージが届いた。
送信者は『異世界神』。
『せっかくだから、八王子のココイチで「ほうれん草ソーセージカレー」買ってきて。2辛な』
「……公認なんだ」
俺は苦笑して、山道を下り始めた。
(完)
一旦商会に戻り、貴金属を取ってきます。
金属を現金化します。
カレーを買います。
一旦世界神に届けますが、自分は食ってないなと気が付いて、
後々バレたら面倒だからと、奥さんたちと勇者をつれてココイチで食います。
喰った後に「どうする?帰る」と勇者に聞きます。
「様子だけ見てくる」といいます。
実家行って、元気なののは良かったけど、失踪届取り消さなきゃといって警察へ。
適当に書いてって魔法かけて出て、スーパーで買い物して帰ります。
で、知らんふりしてフラッシュモブ。 ありがとうございました。




