第39話 パーソナルなお悩み(前)
いろいろ書いていると、もんもんと思う事とかありますよね。
それが、前・後です。
この異世界にて、急激な文化革命が進行中である。
識字率の向上、農業の効率化、所得の倍増、男女共同参画社会の実現……。
特に、南北の大陸を繋ぐ鉄道(ヤマダカツテナイ線)の影響は大きく、
新都市アタオカには**【アタオカ国際外国語大学】**が設立された。
北の魔法と南の文化、双方の教養を学ぶ外国人が急増し、
今やアタオカは「第2の首都」とも呼ばれている。
名前は「頭おかしい」なのに。
◇
さて。そろそろ、アイツの登場だとは思うのだが……。
基本スペックや概要を、どの世代のアーキテクチャから始めていいのか分からない。
つまり、**「コンピューター(PC)」**である。
転移してきた勇者たちはスマホ世代だ。
彼らは「Webアプリから始まる」と思ってやがるが、甘い。甘すぎる。
こっちは秋葉原でパーツを買い集め、自作PCを組み上げ、
DOS/Vでconfig.sysを書き換えていた世代だ。
通信といえば、深夜23時からの「テレホーダイ」で、電話回線を占領して
「草の根BBS」に接続していたんだ。
そりゃ、「これは便利な魔道具でございます」と言って、
スマホっぽい板を渡せば国民は納得するだろう。
だが、それは違う。
ちゃんと「ここ(基礎)からスタートです」と提示し、アタオカ工科大学で揉まれ、
世界基準の規格(OS)を固めて、やっと俺がアプリケーションを作ってからの……
インターネットだろうが!!
「……あー、もう! モヤモヤする!」
思考のループに陥った俺は、衝動的に【転移】した。
◇
■魔の森・最初の拠点
久々に来たが、結界のおかげでそんなに荒れてはいなかった。
静寂が心地よい。
俺は焚き火の前で、膝を抱えた。
「……昔のPCで、同人ソフトは作りましたよ。アセンブラで」
誰にともなく呟く。
「たださー、OSの仕様策定とか分からんし。
メモリ管理とか、ドライバとか……高級言語もいろいろあるしなぁ~」
俺は【収納】から、大きな黒曜石の塊を取り出した。
硬い石だ。
だが今の俺なら加工できる。
無心になりたかった。
短剣と魔法で、一心不乱に石を削る。
半日かけて、転生初日に出会った「あの神様」の全身像(記憶スケッチ版)が完成した。
「……ふぅ」
俺は出来上がった像に手を合わせた。
「神様。毎日楽しくやらせてもらってます。感謝しております」
愚痴が溢れ出す。
「最初は目立たぬよう、一村人としてスローライフを送ろうと思ってました。
でも、龍族に保護を求めたあたりから、なんかプランがずれてきたみたいで……」
「まあ、それがあったからこそ、色々な出会いがあって良かったんですが」
俺は夜空を見上げた。
「本来、この世界になかったものを増やすというのは、侵略になるのではないかと悩みました。
でも、『知らないから怖い=戦争』みたいな無駄なことはしたくないなーって。
攻めてきた勇者たちの未熟さを見て、考えちゃったんですよね」
情報の格差は、悲劇を生む。
「で、今はテレビ放送を始めました。でも、私がここに来た時代のテレビは、
ブロードキャスト(一斉放送)として大衆の思想を誘導する側面がありました。それを危惧しています」
「だからこそ、個人の意見を発信でき、手軽に中継できる『インターネット』を波及させたいのです」
俺は石像を見つめた。
「そのためには、PCの確立が必要です。
誰か一人が管理するホストコンピュ-タではなく、個人のための計算機が」
「……ですが、私の持っている知識では足りません。アプリ屋にOSのカーネルは書けません」
「ゴボテンはハード屋だし、チークワンブーは文系だし……構造で揉めれば何年もかかるでしょう」
俺は深々と頭を下げた。
「なんとか助けてほしいなぁって……嘆いちゃったりするんですけど」
溜めに溜めていた愚痴を、全て吐き出した。
すると――。
カッ……。
黒曜石の像が、内側から発光した。
視界が白く染まる。
あの時の感覚だ。
俺は再び、白い空間に立っていた。
通いましたわ~ソ〇マップ
もう老害にしか聞こえないでしょうが、あの頃の秋葉原はアニメイトがなかった。
ハードディスクが高かった。
そんな時代もあったネット




