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39.前世最大のミスと秘密の共有

感想にて明日の9時と書きましたが、予約投稿をせずに投稿してしまったので、そのまま掲載します。

明日9時にも1本投稿しますので、よろしくお願いします。

分かった。全て分かってしまった。

苦節36年の人生で、まさかのシングル以外でホテルの予約をしたことがないというこの前世最大のミス!


「ベッド1つだね」


普通にダブル(大きめのサイズ)で良いですよねって聞かれ、はい。ダブル(ベッド2つ)で。キリっ!という自分を殴ってやりたい。無知にもほどがある。

男女であっても2人で一部屋に泊まるんだからベッド2つが普通だと思っていた…。


あっ‼︎


そう言う事か。

サラムさんの笑顔の意味と、レムの状態は……。イヤないよ。何にもないよ。成り行きで奴隷にした女の子にいきなり手を出す事なんてないよ!


「はい。ユウ様がダブル(ベッド1つ)でと言っていましたし。ユウ様。私。大丈夫ですから!」


そんな気も知ってか知らずか、シルネがとことん大丈夫アピールをしてくる…。ん〜。


「言ったよね」


「はい。言いました」


「今更ツインでってわけにはいかないよね。」


「ツインですか?」


あれ?この世界にはツインってないのか?それなら初めからベッド2つでって言えばよかったのか!


「ん?ベッド2つでってことなんだけど」


「あぁセパレートですね。ただあれだと1つ1つのベッドが小さくなってしまうので、私は大丈夫です」


あれ?やっぱりシルネの好感度が凄い高い気がする。ほんと何があったんだ?


それよりもしょうがないか、このままうだうだやっていても仕方がない。腹を決めよう。


「じゃあダブルのままでいいかな。お互い離れて寝ればいいしね」


「はい!」


嬉しそうなシルネの顔は、ふとした時に見せる不安な顔を、全て払拭したかのような満面の笑みだった。

喜んで貰えるならば、まぁあまり気にする事はないだろう。


「それじゃあ今後の事を話そうか」


ツインダブル問題は置いておいて、この後の僕の方針とシルネに何が出来るかを把握しておきたい。


そして僕の秘密。

こうなったら隠し通せるものではないだろう。命令で秘密の他言禁止を命じて、大体のことは話そう。


そして夕食までの間に、今後の事を色々決めておこう。


「はい。よろしくお願いしますユウ様」


床に座り直し、三つ指をつき頭を下げるシルネ。その姿は元のエルフの姿に戻り、シルクのようなと表現された長めの髪がサラサラと耳の後ろから前と流れてくる。


髪の境と服の間から覗く真っ白なうなじ。その神秘的な美しさに固唾を呑みこんだ。


「どう。されました?」


無言の僕に不安になったシルネが顔を上げる。


「い いや何でもない。こちらこそ宜しくね。早速だけどシルネに一つ聞きたい事がある。ギルド長のことなんだけど」


「お義母さんですか?はい」


「ギルド長の龍眼は過去を見れる。そうだね?」


「はい。」


「それならば。例えば僕が、今から言う事を他言無用、秘密厳守とした場合。それを覗かれたらどうなる?」


そうこれが最も重要な事だ。シルネに言った秘密が、ギルド長に筒抜けになる可能性が一つ。そして秘密厳守が守れなかったシルネに罰が下る可能性が一つ。どうしても確認しなければならない。


「えっと。奴隷契約で縛られている秘密厳守事項は固有能力であっても知られる事はないはずです。前に義母さんが、犯罪を犯した証拠を奴隷から見ようとして、失敗していました。その奴隷主がその犯罪に関して秘密厳守の命令をしていたそうです。義母さんはその部分だけ真っ黒に塗り潰されたようだったと話していました。ただ義母さんとしっかりと十数秒は目を合わせない限り覗かれる事はないので、日常的に覗かれる事はないですよ。それに過去といっても半日位の過去らしいので」


なるほど。さすがは奴隷紋だ。遺伝子レベルまでその効力が発揮される程の魔法は簡単には破られないか。


「うん。それなら安心だね。それじゃあ今から話すことに関しては秘密厳守・・・・だ」


「はい」


ここからは僕の目的を、転生した事実を除き、シルネに話した。


料理のスキルがある事。そして、ここまで料理に関心のない世界で、料理に光を与える事。

それらをシルネに語った。


「僕は固有能力持ちだ」


この話の中で最もシルネの表情が変わった瞬間だった。僕の最も秘匿すべき能力について、シルネには隠さずに語った。

《しらべる》の鑑定能力

《どうぐ》の収納能力と環境設定能力

《ちず》のマッピングと検索索敵能力

《そうび》の換装能力

これら全て、実際に能力見せ、説明した。


「さすがユウ様です。まさかお義母さんと同じく、固有能力持ちだとは……。いや成長する固有能力なんて聞いた事がないです。やはりユウ様の奴隷になれて私は幸せです。ご存知かと思いますが、是非私のステータスもご確認下さい」


「じゃあ見せてもらおうかな」


名前:シルフィーネ

年齢:17

性別:女

職業:無

スキル:魔法【樹木・水】短剣術 木工 計算

備考:終身奴隷【契約主:ユウ】


「ん?」


「どうしました?」


「あぁスキルが増えてるなって」


「ホントですか!何ですか!弓術ですか⁈」


《しらべる》でシルネを鑑定すると、4つ目のスキルが発現していた。


この世界では、生まれた瞬間に必ず一度【神在板かみありいた】でスキルを確認した後は改めて自分のステータスを確認する事は少ない。


なぜならばステータスは見れても、ステータス値があるわけでは無い。

レベルはあっても、感覚的に上がったとわかるだけで、これもステータスには出ない。


更にスキルが増える事は一般的ではなく。

余程の修練の成果として、新たなスキルが増えるため残念美神ざんねんびじんが言ったように、途中で諦め習得できない。


結果、新規スキルの獲得は運だとすっかり定着してしまっている。


だからこそ、だからこそこの世界での新規スキルの獲得は、非常に幸運だとされていた。


「いや。違う……」


「そうですか……。では何ですか?! この際何でもいいです!」


ガクっとこうべを垂れ、すぐに持ち直しグッと拳を作り、こちらに身構えてみせるシルネ。

何でも良いと言いながら、随分と期待しているのが、こちらにもしっかりと伝わってくる。


「えっと計算?」


「計算?計算ですか!」


「うん。一時期半強制的に、計算ばっかりやっていた時期はないかな。結構な期間。たぶんそれでだと思うんだ」


何故計算?という顔をしていたシルネが顔を上げる。


「あれかー。あります。ギルドの職員が何人か一気に辞めた時があって、1年近く経理とか報酬計算とかを私がまとめてやっていた時期があります……。冒険者のほぼずべての分をですよ……。そういえば後半になってやけに計算が早く正確になってきて私って天才?って思った事がありますね…。まさかスキルが発現していたなんて」


うんうん。相当キツかったんだね。げんなりするシルネのコロコロ変わる表情を楽しみながら、シルネが落ち着くまで、キハクを膝に乗せその感触を楽しんだ。



ドン!ドン!ドン!


その時慌ただしく鳴り響く足音と共に、大きくドアを叩く音が鳴り響いた。

本日2話目の更新です。


面白ければ、是非ブックマークしていってください。

お読み頂き有難う御座います。

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